2016年03月 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

犬島「家プロジェクト」

           
0074:犬島家プロジェクト メイン(A邸)

0074 - 犬島「家プロジェクト」
竣工:2010年(F・I・S邸 , 中の谷東屋)
   2013年(A・C邸)
設計:妹島和世
住所:岡山県岡山市東区犬島〈各所〉
賞歴:2015年村野藤吾賞

皆様どうも. 19日を締め切りに控える瀬戸内芸術祭の前売り券をようやく買えてホッとしている最近、いよいよ開催もあと1.5日ぐらいとなりました. それに伴い、当サイトで継続して紹介してきた芸術祭直前特集も今回で最終回になります. また芸術祭の方に訪問でき次第、新しい情報を含めてバンバン更新していきますので、今後もご期待ください.

直前特集最後となる舞台は、芸術祭では唯一岡山県に属する犬島です. 以前当ブログでは、当島の代表的アート施設である三分一博志氏設計の「犬島精錬所美術館」をご紹介しました. 今回はこの美術館ができた翌年から始まった古民家改修型アート建築 犬島「家プロジェクト」をご紹介しましょう.

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香川県立東山魁夷せとうち美術館

           
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 メイン

0073 - 香川県立東山魁夷せとうち美術館
竣工:2005年
設計:谷口吉生
住所:香川県坂出市沙弥島字南通224-13

皆様どうも. 最近西武鉄道が建築家 妹島和世氏がデザインした特急電車を2018年に導入すると発表しました. 建築家がデザインした特急といえば若林広幸氏の『南海ラピート』や岡部憲明氏の『小田急ロマンスカーVSE』などデザイン性の高い特急車両を手掛けてきた印象があるので、私は非常に注目しています. そんな思いでイメージイラストを見ると…なんか風景に溶け込むということをド直球で表現したデザインに驚きを隠せませんが、2年後の西武の動向に目が離せません.

それでは瀬戸内芸術祭特集シリーズの続きです. 今回の舞台は瀬戸内芸術祭で春シーズンしか開催されない唯一の島 沙弥島(しゃみじま)から、この島にただ一つ存在する美術館 香川県立東山魁夷せとうち美術館をご紹介していきます.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 瀬戸大橋を眼前に望む

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 『階層・地層・層』

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 ナカンダ浜から瀬戸大橋を眺める

島へのアクセスは、鉄道の最寄りとなるJR坂出駅から市営バスを利用します. 今年も瀬戸芸期間限定のシャトルバス(時刻表URL)が運行されるので、それに乗れば島まで約20分ほどです. この説明を聞いて「え? 島なのにフェリー使わないの?」と疑問を持った人もいるでしょう. じつはこの沙弥島、瀬戸内芸術祭に参加する島としては四国本土と陸上で繋がる唯一の島です. 元々は離れ小島だったのですが、工業地帯を造成するための埋立事業によって、四国本土から続く埋立のエリアがどんどん北へと伸び、最終的には島と合体して陸続きとなりました.

沙弥島自体は万葉集の歌人 柿本人麻呂ゆかりの地ということから『万葉の島』とよばれ、島内には文学碑や「人麻呂岩」なる岩も存在します. また本四連絡橋のひとつ『瀬戸大橋』の四国側の袂(たもと)に位置することから、瀬戸大橋を眼前に一望できるビュースポットとして名高い島です. バス停すぐの広場には2013年からの継続作品であるターニャ・プレミンガー氏の『階層・地層・層』という小高い丘の作品が設置されており、その丘上からも瀬戸大橋を一望することができます.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 正門アプローチからの外観

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 西側から建物外観をみる

公園広場から北へすぐ向かったところに、今回紹介する美術館があります. 白い石材が敷かれたアプローチの先に、白と青銅色の2色の色合いの冴える外壁. 西側からはこの青銅色の壁が薄い一枚壁であることが確認でき、白いハコ型のボリュームの奥面に青銅色の大きな一枚板を貼り付けた外観形態であることが伺えます. ハコと板というシンプルさも相まってか、実際にアプローチの手前からこの美術館を見たとき「かっこええ…」とボソッと口から出てしまいました.

この美術館は昭和期に活躍した風景画家 東山魁夷(ひがしやま かいい)氏が描いた絵画およそ270点を収蔵・展示する文化施設として2005年に開館しました. なぜ瀬戸大橋の袂にこのような美術館があるのかというと、この場所からさらに北にある櫃石島(ひついしじま)が東山氏の祖父の出生地であるということで、その島を望むに適した地としてこの場所に決まったということです.

このとき設計を担当したのは「京都国立博物館 平成知新館」や「法隆寺宝物館」を手掛けた建築家 谷口吉生氏です. 装飾性のないシンプルかつ美しいモダニズムな外観をもつ谷口建築ですが、この美術館で独特に感じるのは美術館手前のアプローチが建物に対して垂直方向(90度)ではなく斜め角度であるため、当館の全体的な立体感が際立って見えること. 谷口氏の建築をこういうアプローチから眺められるというのは、個人的にはとても新鮮な感じがしました.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 ショップスペースの様子

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 カフェスペースから瀬戸大橋を眺める

2013年の芸術祭では、鑑賞券を見せれば1〜2割ほど鑑賞料が割引になった覚えがありますので、利用する場合は予め受付に確認をお願いします. 一人の画家の数百ほどの収蔵品しかない小規模の美術館であるため、他と比較すると展示作品数は非常に少なく、ザラ見程度なら15分程度で見終わってしまいます. 東山氏の風景画の特徴は、どこか絵本のような世界観を想起させる豊かで明るい色使い. 数少ない絵画作品をじっくり眺めて、感性豊かな東山ワールドに入り浸るのもイイと思います.

そんな展示空間を抜けた先には、カフェスペースとショップが一体となったラウンジへと到着します. 視線を外に向ければマリンブルーに輝く瀬戸内海と、その上を通る瀬戸大橋を一望できるなんとも素晴らしい絶景スポットとなっています. 青銅色の板が大きいため、裏側の様子がアプローチの位置からではわかりませんでしたが、実際はこんな感じの絶景を望めるカフェがあるとは恐れ入りました.

瀬戸芸では春限定となる沙弥島、冬の寒さも去って暖かみが増したときにでも島を訪問・周遊して、一服の際には芸術鑑賞も込みで絶景カフェを楽しむというのもアートイベントならではの楽しみ方です. 春開催は4月17日まで、旅行のご検討はお早めに. ではでは今回はここまで〜


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


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ANDO MUSEUM

           
0072:ANDO MUSEUM メイン

0072 - ANDO MUSEUM
竣工:2013年
設計:安藤忠雄
住所:香川県香川郡直島町736-2

皆様どうも. 本日は瀬戸内芸術祭ガイドブックの発売日で、書店に到着するや否やすぐに探し出し速攻で購入をしてしまった今日このごろ、作品情報だけでなく時刻表やグルメ情報も満載でお値段1400円前後です. 新刊なのでお高く感じてしまいますが春夏秋の3シーズンに対応し、芸術祭後も一部の常設作品マップとしても転用可能なので、気になる方は本屋でザラッと見てみることをお奨めします.

ではでは瀬戸内芸術祭特集8件目、舞台は前回の「家プロジェクト」に引き続いて直島本村地区から. 今回紹介するのはなんと、直島のアート建築の数々を手掛けてきた建築家 安藤忠雄氏をテーマとした美術館 ANDO MUSEUMです.

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家プロジェクト「南寺」

           
0071:家プロジェクト「南寺」 メイン

0071 - 家プロジェクト「南寺」
竣工:1999年
設計:安藤忠雄
住所:香川県香川郡直島町本村

皆様どうも. 瀬戸内芸術祭開幕が一週間前となり、公式サイトでも様々な情報がリリースされています. 訪問予定の皆様は芸術祭のチケットは購入ましたでしょうか. 有料鑑賞作品もかなりの数があるので、じっくり色々と鑑賞したい方は購入しておくと便利です. 私も前売券買いたいのですが、まだ買えていません… 前売販売は3月19日までです.

ではでは瀬戸芸直前特集7件目になります. 舞台は直島東部、「地中美術館」「李禹煥美術館」がある直島の南エリアと肩を並べるほどのアート施設が点在し、役場などの行政施設も置かれる本村地区. 今回はこの地区のメインとなるアート施設 家プロジェクトと、その中で唯一の安藤建築である南寺をご紹介します.
0071:家プロジェクト「南寺」 本村港

0071:家プロジェクト「南寺」 八幡山から本村地区をみる

0071:家プロジェクト「南寺」 石垣のある水路①

0071:家プロジェクト「南寺」 石垣のある水路②

直島の玄関口である宮浦地区と並ぶ集落エリアであり、直島-豊島間の連絡高速船においては主要港となる本村港がおかれた本村地区. かつては直島・男木島・女木島を統治していた旗本 高原次利(たかはら つぐとし)率いる高原家が築城した直島城の城下町として栄え、白壁と焼板で設えられた当初の町並みが色濃く残るエリアです. 石垣で整備された水路など、島民の生活の中にこのような城下町の遺構がひっそりと残っているのが、町並み好きにはとても羨ましく感じます.
0071:家プロジェクト「南寺」 その他のプロジェクト『角屋』
家プロジェクト『角屋』
0071:家プロジェクト「南寺」 その他のプロジェクト『護王神社』
家プロジェクト『護王神社』
0071:家プロジェクト「南寺」 その他のプロジェクト『碁会所』
家プロジェクト『碁会所』
0071:家プロジェクト「南寺」 その他のプロジェクト『石橋』
家プロジェクト『石橋』
0071:家プロジェクト「南寺」 その他のプロジェクト『はいしゃ』
家プロジェクト『はいしゃ』

1992年に「ベネッセハウス」を開館させたことで、福武氏が主導する直島のアート事業が本格化することとなりますが、島民の関心は薄かった(wiki談)といいます. そこで福武氏によって1997年に構想されたのが、本村地区内の古民家を現代アート作品に生まれ変わらせる『家プロジェクト』でした. 廃屋を壊さずアート作品としてリノベーションするこの試みは、後の芸術祭や他のアートイベントでも見受けられるようになる先進的な試みでした.

プロジェクトとして整備されたのは第一号である『角屋』をはじめ、『きんざ』『護王神社』『はいしゃ』『石橋』『碁会所』『南寺』の7棟で、どの施設も基本的には芸術祭のチケットだけで入館でき、各施設には内藤礼氏・杉本博司氏・千住博氏など著名な現代美術家の作品が展示されています. 個人的には『はいしゃ』のイロモノ感はハンパじゃなかった思い出があります. 注意として『きんざ』だけは完全予約制ですので、HPサイトでの予約確認が必要です.
0071:家プロジェクト「南寺」 公園側からの外観

0071:家プロジェクト「南寺」 施設の説明看板

0071:家プロジェクト「南寺」 並ぶ行列

0071:家プロジェクト「南寺」 同じ外壁仕様のトイレ(安藤建築?)

そんな第一号である『角屋』ができた翌年の1999年に、本村地区の南エリアにできたのがこの『南寺』です. 設計は安藤忠雄氏、施設内にはジェームズ・タレル氏の『Backside of the Moon』が展示されています. 濃い色調で彩られた木貼りの外壁、遠目からでないと見えない屋根は入母屋の形状をしており、安藤建築としては珍しい純木造の建築ではないかと思います. かつてこの場所に明治時代まで寺院が建っていたことが、この施設の由来となっているようです.

南寺を訪問するとおよそ30分、長ければ3時間後の整理券が配布されます. というもの、この南寺は鑑賞スタイルが独特で、15分ほど設けられた鑑賞時間には15〜20人ほどしか入場できないという少人数鑑賞となっています. 内部に入ると中は真っ暗、前も見えないほどの真っ暗です. 初めは列の前後の人と手をつないで壁沿いに歩き、部屋の真ん中くらいで一度座ることになります. そうすると次第に……これ以上言うと面白くないので、この先は実際にあなたの目で確かめることをお奨めします.

鑑賞後に南に隣接した広場に併設された円筒型のトイレを使ったのですが、外壁の設えといい南寺とそっくりで「これも安藤建築では!?」と疑ったのですが、詳細な記録は一切見つからず真偽は不明のままです. だれかこのトイレについて詳しく知っている方がいたらご教授お願いしたいです. ではでは今回はここまで〜


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


※「南寺」の位置情報がないため、Mapでは「角屋」の位置を掲示しています. 正確な「南寺」の位置は「極楽寺」と記された施設の南側付近になります.
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宮浦ギャラリー六区

           
0070:宮浦ギャラリー六区 新メイン

0070 - 宮浦ギャラリー六区
竣工:2013年
設計:西沢大良
住所:香川県香川郡直島町2310-77

皆様どうも. 瀬戸内芸術祭特集6件目というこで、このシリーズの紹介可能な建築も半分は超えたような気がします. 今回はフェリーターミナルのある直島宮浦港から徒歩数分、島民の生活エリアの中にひっそりと隠れるように建つ展示施設宮浦ギャラリー六区のご紹介です.

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MATŌ

Author:MATŌ
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介するブログです. 西日本多めです. 今までにご紹介した建築記事の一覧を見たい方はこちらへ→「全国建築マップ

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・『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました.

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