日本基督教団 南大阪教会 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

日本基督教団 南大阪教会

           
0103:日本基督教団南大阪教会 メイン

0103 - 日本基督教団 南大阪教会
竣工:1928年(塔屋)/ 1981年(礼拝堂)
設計:村野藤吾
住所:大阪府大阪市阿倍野区阪南町1-30-5

皆様どうも. 先日ニュースにてル・コルビュジエ唯一の日本作品である「国立西洋美術館」が世界遺産入り確実という報道を耳にしました. 厳密にはフランスのコルビュジエ作品を中心とした『ル・コルビュジエの建築作品』の一部としての登録となりますが、個人的にはとうとう築100年も経たない20世紀の建物が世界遺産入りする時代か〜とリスト入りの早さに驚いています. 正式な登録は今年7月となる見通しです.

さて今回ご紹介するのは大阪市阿倍野区にある教会建築 日本基督教団南大阪教会です. 設計は村野藤吾氏. 村野氏の教会ならば「世界平和記念聖堂(カトリック幟町教会)」や「カトリック宝塚教会」など他にもありますが、特筆すべきはこの教会に村野氏の建築として現存する最古作(wiki調べ)にして処女作となる「塔屋」と、村野氏が晩年に手がけた最後の教会建築となる「礼拝堂」があることです. そんな村野建築の始まりと終わりが並び立つ教会にいってきました.
0103:日本基督教団南大阪教会 ハルカスをバックに

0103:日本基督教団南大阪教会 外観を遠方から

0103:日本基督教団南大阪教会 教会入口

0103:日本基督教団南大阪教会 道路側から塔屋を撮る

教会の最寄りは地下鉄御堂筋線の昭和町駅です. この昭和町という地区は1945年に勃発した『大阪大空襲』の戦災を辛うじて免れ、戦前に建築された長屋住宅やレトロビルが数多く残ります. 最近はリノベーションして古民家カフェなどにする動きも活発で、大阪の観光雑誌にもよく出るようになってきています. 教会へは駅から大通り(あびこ筋)を北上した先にある小学校の角を曲がり、その先にある幼稚園が見えてくれば教会はすぐそこです.

3〜4階建ての建物が並ぶ2車線道路の沿道に生い茂る森林の中に建つ、遠くから見るとICチップのような模様が目立った塔状の建物が南大阪教会の目印となる「塔屋」です. 1枚目写真の奥には「あべのハルカス」が映っているのが確認できます. 教会のお隣にある『南大阪幼稚園』もこの教会の付属施設で、訪問時は園児が元気に遊んでいました. 塔屋の扉の上にあるペディメント(写真4枚目)は綺麗な三角形ではなく、頂上でプツンと途切れたようになっているのが謎でした.
0103:日本基督教団南大阪教会 塔屋①

0103:日本基督教団南大阪教会 塔屋②

0103:日本基督教団南大阪教会 塔屋③

ここからは村野氏が手がけた2棟を別々にご紹介、まずは処女作である「塔屋」です. 竣工は1928年(昭和3年)で、当時は「綿業会館」や「旧ダイビル」の設計でも有名な渡辺節(わたなべ せつ)氏の事務所に在籍していました. 塔の中央には十字格子の中に丸模様と十字模様が交互に配置された幾何学模様が塔のてっぺんまで伸びています. 村野デザインはこういう模様からのスタートだったんですね. 奥には扉(写真3枚目)もあったのですが締め切りのようでした.
0103:日本基督教団南大阪教会 礼拝堂外観①

0103:日本基督教団南大阪教会 礼拝堂外観②

0103:日本基督教団南大阪教会 礼拝堂外観③

そしてこちらは「礼拝堂」です. 礼拝堂も元々は塔屋と同時期に竣工したのですが、大空襲の戦火などの厳しい周辺環境も重なって急激に劣化したため取り壊されました. 新礼拝堂の設計を担当した当時の村野氏は既に90歳. 1981年の竣工後は「谷村美術館」や「宇部興産ビル」など手がけたものの教会建築としてはこれが最後の作品となりました.

一般的な教会と違って建物高は全体的に低く、緑の庭を抜けて横向きに玄関が設けられたそのアプローチは教会というよりは個人住宅のような佇まいを感じます. アプローチから見える「宝塚教会」に似た緩やかなカーブを描く独創的な屋根は、直方体でスクッと建つ塔屋と形態的な対比を成しているように感じます.
0103:日本基督教団南大阪教会 内観全体①

0103:日本基督教団南大阪教会 内観全体②

0103:日本基督教団南大阪教会 祭壇上部

0103:日本基督教団南大阪教会 礼拝堂横の窓デザイン①

0103:日本基督教団南大阪教会 礼拝堂横の窓デザイン②

0103:日本基督教団南大阪教会 ペンダントライトのデザイン

0103:日本基督教団南大阪教会 背部にあるステンドグラス

それでは礼拝堂内部へ. 館内は飾りっ気が極力除されたモダニズムな礼拝空間. ベル状になったペンダントライトと、十字架を模したかのように天井に敷かれた木仕上げが印象的な祈りの空間です. 上からのトップライトと、両サイドからの開口を通して自然光が祭壇を一際明るく照らしていました. 両側の壁に3つずつ開けられた開口(写真4枚目)は、上部分にガラスブロックが組み込まれた独特なもので、枠内に椅子を入れ込むという面白い使われ方がされていました.

ペンダントライト(写真6枚目)は内部に花弁模様が組まれてた美しいライトで、おそらく村野氏自身がデザインしたものでしょう. 礼拝堂の背面方向からは青と赤のツートンカラーが印象的なステンドグラス(写真7枚目)から差し込む光が館内を緩やかに照らします. 方角的には東になるので、このステンドグラスは『日の出』を象徴しているようにみえましたが真相はいかに…

方や建築活動の始点となった処女作、方やそこからさらに半世紀が経った晩年作が共に大阪の下町の教会に残っているとは驚きでした. どうやら塔屋も最初は取り壊される予定でしたが、教会側から取り壊さないでほしいと働きかけて修復保存されてということで、使っている人に長年愛されるっていいな〜と感じます. アポなし訪問でしたが、撮影の許可と建物の案内をしてくださった関係者の方に感謝です. 興味が出た人は昭和町へ、ではでは今回はここまで〜


注意:神聖な祈りの空間ですので、教会や信者の方のご迷惑にならないよう十分な配慮をもって見学しましょう.


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