EXPO'70パビリオン - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

EXPO'70パビリオン

           
0107:EXPO'70パビリオン メイン

0107 - EXPO'70パビリオン
竣工:1970年
設計:前川國男
住所:大阪府吹田市千里万博公園10-10

皆様どうも. 今回は大阪市から北にすっ飛んで吹田市の南部にある「万博記念公園」とやってきました. この公園を語る上で欠かせない出来事といえば、1970年に開催された『日本万国博覧会(大阪万博)』です. 『人類の進歩と調和』というテーマのもとで日本を含む77カ国と4の国際機関、そして企業を含む国内32団体が参加. 開催期間半年のうちに来場した人の数は約6420万人と、20世紀の万博としては史上最多の来場者数を叩き出した一大国家プロジェクトでした.

あれから40年以上の年月が経ち、当時の万博の面影を残る建物のほとんどが姿を消しました. しかしながら、わずか一棟だけ当時のままの姿を残して今なおも現存していることはご存知でしょうか. 今回は万博公園内で唯一残るパヴィリオン施設 EXPO'70パビリオン(鉄鋼館)をご紹介します.
0107:EXPO'70パビリオン エキスポシティと長蛇の列

0107:EXPO'70パビリオン 万博公園への歩道橋

0107:EXPO'70パビリオン 太陽の塔

0107:EXPO'70パビリオン 一部保存された大屋根

公園へは大阪モノレールの万博公園駅が最寄駅となります. 所要時間は大阪梅田から40分ほど. 地図をみると梅田から近い印象なのですが、接続する地下鉄・モノレールが全て各駅停車のため、思った以上に時間がかかった感じがします. 休日だったことに加え、最近エキスポランドの跡地に「EXPOCITY」(写真1枚目奥)ができたため、駅から連絡橋まではそれ目的の家族連れでごった返していました.

万博公園に入る際には大人250円の入園料が必要です. これは園内の大部分が『自然文化園』と呼ばれる有料ゾーンであり、パビリオンを含む公園施設もこの園内という位置付けになっています. ゲートをくぐればこの公園の代表的建造物である岡本太郎氏作の「太陽の塔」(写真3枚目)が眼前に現れます. 今でこそ遮蔽物がない状態ですが、当時は丹下健三氏が手がけたお祭り会場の大屋根が架けられており、その一部はモニュメント(写真4枚目)として保存されています.
0107:EXPO'70パビリオン 西側外観

0107:EXPO'70パビリオン 入口

0107:EXPO'70パビリオン 外観を南西からみる

0107:EXPO'70パビリオン 緑・白・橙に塗られた壁

0107:EXPO'70パビリオン 2階の鉄骨ファサード

「太陽の塔」が建つメインエリアから少し西へと歩くと、目的のパビリオンが見えてきました. 当館はコンクリ壁の一部が凹み、そこを緑・白・橙の琺瑯(ほうろう)板によってカラフルに仕上げられたシアターのボリュームと、北側に展開する鉄骨躯体とガラスファサードで外に大きく開かれたホワイエスペースの2つで構成されます. 閉じたシアターと開かれたホワイエというのは現代でも多々見られますが、奇抜なパビリオン建築が目立ちがちな万博の中では堅実な佇まいだったと想像します.

日本鉄鋼連盟が出展することから『鉄鋼館』と名付けられた当館は、前川國男氏が設計を手掛けました. 当時のシアター棟の壁は今よりも白っぽく、ホワイエスペースの鉄骨も銀色でした. 2000年代まで公園内に残っていた「エキスポタワー(設計:菊竹清訓)」や「万国博美術館(設計:川崎清)」が取り壊される中、万博開催40周年の記念として鉄鋼館が再整備されることが決定. 『EXPO'70パビリオン』として2010年にリニューアル開館しました,
0107:EXPO'70パビリオン ホワイエのカーテンウォール

0107:EXPO'70パビリオン 東側からの撮影

0107:EXPO'70パビリオン 南側にある不思議な造形①

0107:EXPO'70パビリオン 南側にある不思議な造形②

北側ホワイエのカーテンウォールを眺めながら、建物の東側(写真2枚目)へとやってきました. 東側外壁を覆ってる黒いのは全て蔦(つた)で、夏になれば葉をつけて建物全体が緑のカーテンで覆われます. 他の方の写真を見ると予想以上のモジャ具合なので、機会があれば夏の写真も撮りにいきたいと思います.

建物南側へ向かえば、竣工当時のものと考えられる若干荒々しいコンクリートブロック壁の表面を間近で見られます. しかし一番気になったのは、地面から少し高い部分に付いていた謎の突出物(写真3・4枚目)でした. 影の落ち具合によってはなかなかカッコよく見えます. 奥の穴にポールを差し込んで、手前の突出部で支えさせると旗置きになりそうなデザインですが、当時どのように使われてたのかはさっぱりわかりませんでした.
0107:EXPO'70パビリオン 設営中のホワイエ

0107:EXPO'70パビリオン 受付

0107:EXPO'70パビリオン 受付机を横から

0107:EXPO'70パビリオン 階段先の展示入口

0107:EXPO'70パビリオン 大屋根が架かったお祭り広場の模型

0107:EXPO'70パビリオン 万博模型補足

では西側の入口から館内に入場です. ホワイエスペースでは何やら新しい展示の準備中. ホワイエ中央にある4つの柱は「ペンジュラム(振り子)の塔」と呼ばれ、万博当時は天井を突き抜けて展示されていたそうです. 展示スペースへの入場料は高校生以上200円で、これは公園入園料と別途でかかります. ここでの面白いポイントは受付机のデザイン. 断面(写真3枚目)をみると天板の木材をグィッと曲げて作られており、造形的に面白いものでした.

受付奥の階段をのぼった先にある展示スペースの手前には、お祭り広場を中心とした当時の万博の模型(写真4・5枚目)が展示されています. 先ほど公園内にあった大屋根のモニュメントは、万博当時はこのような状態で架けられており、 幅108m, 長さ291mに及ぶスペースフレームは当時としては世界最大規模のものでした. 中国道の中央には万博限定の北大阪急行線が敷かれ、御堂筋線の天王寺・あびこ〜万博間を高密度で運行させていたといました.
0107:EXPO'70パビリオン 真っ赤な空間の展示廊下

0107:EXPO'70パビリオン シアターホール①

0107:EXPO'70パビリオン シアターホール②

0107:EXPO'70パビリオン シアターホール③

0107:EXPO'70パビリオン シアターホール④

0107:EXPO'70パビリオン シアターホールの模型

では展示スペースへと入っていきます. ちなみにスペース内はフラッシュをたかなければ基本撮影はOKということです. シアターホールの外周をぐるっと回る動線となった展示スペースは床・壁・天井に至るまで赤一色. 当時のお祭りムードや高度成長など、当時の日本の勢いを象徴するかのような赤々さに満ちた空間です. 展示内には当時の万博の資料約3000点が展示されています. 建築好きならば当時のパビリオンの模型も展示されているので是非見てみてください.

展示スペースの途中では、旧鉄鋼館のメインである前川氏が手がけた『スペースシアターホール』をガラス越しに観覧することができます. 『建物自体が楽器』という画期的コンセプトのもとで作られたホールは、古代コロセウムをヒントとして直径8mの円形舞台の周囲に円状に観客席を配置したものとなっています. 天井は文字通り『宇宙(スペース)』を表現したような青一色で、そこから星のように吊り下げられた大小様々な丸型スピーカーがホール内に未来感を演出する素晴らしいものでした.

一時期は解体の噂まであった旧鉄鋼館でしたが、万博資料の展示施設として残って本当に良かったと思います. 大阪の前川建築から、あなたも当時の日本の栄華を象徴する万博の時代へタイムスリップしてみてはどうでしょうか. ではでは今回はここまで〜


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