百十四銀行本店 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

百十四銀行本店

           
0134:百十四銀行本店 メイン

0134 - 百十四銀行本店(百十四ビル)
竣工:1966年
設計:日建設計工務
住所:香川県高松市亀井町5-1
選定:DOCOMOMOセレクション(100選:No.80)
賞歴:1968年BCS賞

皆様どうも. 前回で高松のモダニズム公共建築は終了しましたが、今回は公共ではなく私企業のモダニズム名建築を1件ご紹介したいと思います. 場所は高松市街地のほぼ中央に位置する『中央公園』の東側、高松港と栗林公園を南北に結ぶ高松のメインストリート『中央通り』を挟んで向かいに建つ銀行ビル 百十四銀行本店(百十四ビル)です.

『百十四(ひゃくじゅうし)銀行』は香川県をメインとする地方銀行で、明治期の国立銀行条例の改正によって誕生した『ナンバー銀行』の名称を残す数少ない銀行です. ナンバー銀行は最盛期には153行もあったそうですが、当時から変化せず現存するのはわずか6行だけ. 私の地元関西にはナンバー銀行が現存しないので、銀行名に数字が入るなんて変だなと、初めて聞いたときは不思議に思ったものです. そんな地方銀行の本店ビルが、今回の主役となります.
0134:百十四銀行本店 夕方の道路向かいから①

0134:百十四銀行本店 夕方の道路向かいから②

0134:百十四銀行本店 夕方の道路向かいから③

0134:百十四銀行本店 夕方の道路向かいから④

0134:百十四銀行本店 夕方の高層棟西側ファサード

0134:百十四銀行本店 青銅のファサード

まずは中央通りの向かい側から撮影した写真です. 香川に到着したのが遅かったため、時刻はすっかり夕方です. ビル中層部の水平ラインと高層部にビッシリと貼られているのは、銅のサビである緑青(ろくしょう)で仕上げられた大量のブロンズ板. 青銅板を貼り付けた看板建築は数あれど、ビル全体にビッシリ貼るという大胆なことをしたのは全国でもここだけでしょう. 中央通りでひときわ存在感を放つこの緑のビルは、一度見たら忘れられないインパクトがあります.

設計を手掛けたのは日建設計工務(現在の日建設計)で、当時の大阪事務所の実質的なリーダーであった薬袋公明(みない きみあき)氏主導のもとで完成しました. 緑青の外観は向かいの中央公園の緑に呼応するようにと考えられたもの. 1966年の竣工当時は高さ64m(尖端部含む)の西日本一高いビルということで、高松市街地のシンボル的な建物として親しまれていました. 2003年にはDOCOMOMOの100選に選定されるなど、戦後を代表するビル建築としても名高い建物です.

緑青の外観を撮ったまではよかったのですが、日が完全に沈んでしまったので撮影は中断. より細かい撮影は翌朝に持ち越すことに.
0134:百十四銀行本店 中央通り南側からの眺め

0134:百十四銀行本店 屋上の電波塔

0134:百十四銀行本店 南側から寄っていく

0134:百十四銀行本店 本店正面玄関

0134:百十四銀行本店 玄関真上の縦ルーバー

0134:百十四銀行本店 ルーバーを拡大

というわけで翌朝は中央通りの南側からスタート. 高層棟の南北側は今風のガラスファサード(写真2枚目など)になっていますが、これらのファサードは2013年に日建設計によって改修されたもの. 既存のブロンズサッシュの外側に新しいガラスを設けて『ダブルスキン』にすることで、元ある外壁をガラスのショーケースとして保護するとともに、空気層の循環による省エネ化を実現させています.

緑青のブロンズ板は外壁のみならず、中層部からおちるコンクリートの列柱をかわすように張り出した玄関庇(写真4枚目)にも貼られており、すごくドッシリとした庇のある重厚な玄関という印象を与えています. 2階に並ぶコンクリートの縦ルーバー(写真5・6枚目)は、中央部分が少し出っ張った独特なデザインでとてもユニーク. よくみると2階のガラスは、ルーバーの幅に合わせた細長いサイズを1枚ずつ取り付けたものでした.
0134:百十四銀行本店 北側低層棟①

0134:百十四銀行本店 北側低層棟②

0134:百十四銀行本店 北側低層棟③

0134:百十四銀行本店 空中廊下

それでは今度は中央通りの逆側(東側)に向かって歩いていきます. 歩きながらふと北棟のピロティをみると、コンクリートスラブとピロティ天井に挟まれたガラスウォール(写真2枚目)を発見. 個人的には「国立西洋美術館」のハイサイドライトに近いデザインに感じますが、こちらは枠が細いため非常にシャープにみえます.

先ほど北棟と述べましたが、こちらのビルは高層棟のある「南棟」と低層部のみの「北棟」という2棟構成で、両棟の間を2車線道路が走っています. では昨日撮影した横一直線にのびる緑青の外壁部分はどうなってるのかというと、この部分は空中廊下として両棟を繋ぐ役割を担っています.

コンクリートの列柱が並ぶピロティ、その上には連続するコンクリートの縦ルーバー、さらに上には緑青のブロンズ板による3層構造の外観となった両棟を繋ぐ緑青の空中廊下、写真4枚目の光景にものすごいカッコ良さを感じるのは私だけでしょうか. 公共建築もさることながら、高松は私企業である銀行でも素晴らしいモダニズム建築を残していました.
0134:百十四銀行本店 高層棟東側ファサード①

0134:百十四銀行本店 高層棟東側ファサード②

0134:百十四銀行本店 東側外観

0134:百十四銀行本店 東側にある謎の施設①

0134:百十四銀行本店 東側にある謎の施設②

そしてこちらはビルの東側. 太陽が照りつけたことで、緑青の光沢が冴える見事な外壁(写真1・2枚目)を拝むことができました. ただ疑問に思ったのは、高層棟の外壁には緑青のブロンズ板があまり使用されてないこと. なぜ高層棟は銅の色合いの強い外壁にしたのでしょう. 公園の木をイメージしたのか、竣工当時は緑青だったが雨風による経年でサビ落ちしてしまったのか、個人的には味のある銅板の外壁も好きですが、そんな部分に疑念を抱いてしまいます.

縦線の横間隔が不均一なコンクリート壁(写真3枚目)を撮影しながら視線を横に向けると、東隣の駐車場になにやらものすごい奇抜な形をした守衛室?(写真4・5枚目)を発見. 地面からめくれ上がったようなコンクリート壁が合わさったこの独特なデザインは、どう考えても本店の関連施設の気がしてなりませんが、いくら調べてもそれらしい記録はなし. ご存知の方はご教示願いたいです.

帰宅後に調べてみると、先ほどの銀行駐車場には彫刻家 流政之(ながれ まさゆき)氏が手掛けた『草壁画』という巨大な緑化壁面作品があるということだったのですが、残念ながらカメラには収めていませんでした. 次に行ったときにでも撮影します. 高松に残る緑のモダニズム銀行建築、興味が出た方は是非一度. ではでは今回はここまで〜


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