丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館

           
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 メイン

0137 - 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
竣工:1991年
設計:谷口吉生
住所:香川県丸亀市浜町80-1
賞歴:1994年村野藤吾賞
   1993年BCS賞

皆様どうも. ついに先日18日、瀬戸内国際芸術祭の夏会期が開催となりました. 芸術祭シーズン中最も長く、ムード的にも気温的にも最も熱い夏会期は、9月4日までの開催となります. ぜひご来訪下さいませ.

そしてこちらも、7月初旬から続いていた香川県特集も最終回となります. 途中所用につき更新が途絶えたりと、海の日に終了する予定が大幅に延びてしまいました. 最終回のとなる今回はJR丸亀駅前にある現代美術館 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館をご紹介します.
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 JR丸亀駅

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 駅前広場から美術館をみる

JR予讃線の丸亀駅(写真1枚目)を中心とした香川県第二の都市である丸亀市は、廃藩置県前は『丸亀藩』の城下町として栄えました. 藩の象徴である「丸亀城」は、今でも現存で残る12天守閣の一つとして非常に貴重な歴史スポットとなっています. 美術館があるのはその丸亀駅前のすぐ近く(写真2枚目)で、駅前広場の顔としても親しまれています.
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 正面外観①

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 正面外観②

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 MIMOKAの字標

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 入口

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 正面の窪みから入口をみる

こちらの美術館は、丸亀市出身の洋画家である 猪熊弦一郎(いのくま げんいちろう)氏の作品を展示する目的で誕生. 猪熊氏といえば当時の金子知事と丹下健三氏を引き合わせ「香川県庁舎」の完成に寄与した物でもあり、県庁東館一階にも猪熊氏の壁画が展示されています. 正面からの見た目はコンクリートに囲われた超巨大な四角いトンネルのようで、手前広場には様々な現代アート作品、トンネルの奥には同氏が描いた大壁画『創造の広場』(写真5枚目) が確認できます.

設計を手掛けたのは「京都国立博物館 平成知新館」「葛西臨海公園レストハウス」を手掛けた谷口吉生氏. 四角いハコの一面を引っ込める魅せ方は、後の「法隆寺宝物館」でもみられるものですが、こちらの方が引っ込み方が大きく、奥の空間が暗くなっているのがポイントです. 1994年には1年に1作品しか選出されない村野藤吾賞を受賞しており、全国でも指折りの美術館建築としても知られます.
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 南側外観

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 図書館入口①

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 図書館入口②

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 JR線路側から

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 モス・グリーンの壁面石材

美術館の外周をグルッと歩いていきます. 建物北側にボンと飛び出した円筒状のボリュームはエレベーター(写真1枚目)で、その奥には外壁の一部がガラス張りとなり、中央に玄関が付けられたスペース(写真2・3枚目)を発見. 看板をみると『丸亀市立中央図書館』と、市立図書館が併設されているということは知らなかったので驚きました. 図書館内の撮影はできませんでしたが、ガラス壁面のラインまで天井高が設けられたスペースもあって気持ちよさそうな閲覧空間でした.

写真4枚目は正面広場とは逆となる西側の外壁ですが、この外壁も含めて所々の壁面は、鈍い銀色のような光沢のある石張り(写真5枚目)になっています. 全体に引っかき傷のような無数の細かいラインが付けられたこの石材は英国産のスレート石だそうで、多くのサイトでは『モス・グリーン』と表記されていますが、個人的にはそこまでグリーンしてないな〜というのが正直な感想です. しかしこんな表面の石材は見たことがなかったので面白い体験でした.
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 正面入口

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 案内図

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 中央展示室①

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 中央展示室②

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 中央展示室③

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 中央展示室④

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 その他展示室

それでは館内へと入っていきます. 案内図(写真2枚目)をみると本館は地上3階建てで、正面広場からみるとトンネルの奥に進むように段々状にフロアが重なっていることがわかります. 1階の西側が真っ黒ですが、ここは先ほどの図書館の部分です. こちらの美術館は瀬戸内芸術祭の参加作品に設定されており、芸術祭パスポートを見せれば観覧料が割引となります. 訪問時は2階フロアが常設展、3階フロアが企画展という構成で、基本的にはこの展示体制のようです.

写真3枚目から6枚目は、メインの展示室となる常設展フロアになります. こちらは正面広場にあった大壁画の裏側に位置する場所で、2フロア分が吹き抜けとなった大空間となっています. 広場ではトンネルのように見えた打ち放しのコンクリ壁が展示空間にまで連続していたり(写真4枚目)、グリッド状に分けられたトップライトが空間を緩やかに照らしていたり(写真6枚目)と空間の使い方が大胆な割には落ち着きのある空間になっていたのが印象的でした.
0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 トンネルの奥へと続く階段

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 プラザへのサイン

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 階段から広場をみる

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 天井のトップライト

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 プラザ手前の光景

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 カスケードプラザ①

0137:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 カスケードプラザ②

展示空間の紹介は終えましたが、今回はもう一つ. 正面からみて左側にある、わずかな隙間に伸びる階段の空間(写真1枚目)を進んでいきます. トンネルの奥へ奥へと階段が段々状に配置されており、その階段の先には野外広場である「カスケードプラザ」の光が差し込んでおり、あの先に何かがあるという感じが正面の広場にまで見えるのが非常にいいです. 天井のトップライトが、プラザ手前までの打ち放し壁面をいい色合いで照らしている(写真5枚目)のも印象的です.

そして到着したのが屋上鑑賞スペースである「カスケードプラザ」です. 横にはカフェも併設されており、プラザを見ながらお茶ができます. ここまで来ると、今までどこにもなかった小さな滝の空間がプラザの端に飛び込んできます. 谷口氏の作品では建物前に池を配置する作品が多いため、このような奥深くに水の空間を配置するのは意外な感じがします. ともあれ滝と作品がセットになって鑑賞できる(写真7枚目)というのは以外と気持ちよかったです.

瀬戸内芸術祭の夏会期は始まってしまいましたが、会期中には離島だけでなく丸亀のシャープでカッコイイ現代美術館にもぜひ足を運んでみてください. それでは今回はここまで〜

※ 常設展展示室の作品に関しては有料鑑賞を考慮して、モザイク処理を施して掲載しています


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


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