長崎県美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

長崎県美術館

           
0014:長崎県美術館 メイン

0014 - 長崎県美術館
竣工:2005年
設計:隈研吾+日本設計
住所:長崎県長崎市出島町2-1
賞歴:2007年日本建築学会作品選奨
   2006年JIA日本建築家協会賞(優秀建築賞)
   2006年BCS賞

今回の紹介は九州本土の西端 長崎県です. 長崎中心部の地形はとても魅力的で、長崎港のあるシーサイドエリアがあれば、一度山の方へ進むと坂、坂、坂…というメリハリのある地形が実にイイです. 生活するには非常にしんどそうですが… 長崎貿易史において極めて重要な場所といえば皆さんご存知であろう『出島』ですが、そのエリアから港方面へ5分ほど歩くと、今回紹介する長崎県美術館がみえてきます.

設計は「浅草文化観光センター」で紹介した建築家 隈研吾氏と、日本を代表する組織設計事務所の一つである日本設計です. 美術館の前身であった「長崎県立美術博物館」の老朽化に伴い、2005年に開館しました. ちなみに美術博物館のレリーフは極めて独創的なものだったようで、跡地に一部残っているみたいです.
0014:長崎県美術館 外観①

0014:長崎県美術館 外観②

0014:長崎県美術館 外観③

というわけで、まずは外観から見ていきましょう. この美術館最大の特徴は、敷地のど真ん中を南北方向に運河が流れており、その両岸にそれぞれ1棟ずつ配置されるという分棟配置になっています. では両棟のアクセスは?というと、運河を跨ぐ長さ約34mもの「橋の回廊」と呼ばれるブリッジで2階同士を接続させています. ガラスの向こうには展示室に向かう親子連れなど内部空間がはっきりと見えます.

前回浅草の紹介で隈氏の建築要素はルーバーにあるといいましたが、この美術館にも運河に沿ってルーバーが展開されています. しかし今回は木材でなく花崗岩(御影石)でした、厚さ30mmのブラジル産御影石を裏側の鋼材に固定させています. 長崎の暑い日差しに対して、涼しげで深い陰を刻むものとして採用されたということです. そしてその下にはベンチが設置され、寝る人や読書する人など、立ち寄る人が皆思い思いにくつろいでいる様子がみられ、実に気持ちのよいスペースになっていました.
0014:長崎県美術館 内観①

0014:長崎県美術館 エントランスホール

0014:長崎県美術館 内観②

0014:長崎県美術館 内観③

そして内部に突入です. 美術館2層分の高さに相当するとても広いエントランスホールが訪れる人を最初に出迎えます. 写真はありませんが、DPGシステムで構成されたガラスのエレベーターが非常に美しく感じました. この美術館は機能分離も徹底されており、エントランスのある棟を「開く」機能を含めたギャラリー棟に、ブリッジの向こう側の棟を「守る」機能である美術館棟に分けて配置されているということです.

「橋の回廊」は両棟を繋ぐ動線機能だけでなく、運河を楽しむカフェの機能が挿入されていました. 天井部にある約34mもの大スパンを繋ぐトラス状の鉄骨駆体は黒色に塗装されているため、巨大ながらもあまり目立ちません. 運河とルーバーを楽しめるカフェとか羨ましい限り…なのですが、どうも南の日差しは強烈らしくブラインドが下りていました. 冬の季節ならいい感じの太陽と気温でカフェを楽しめそうですね.
0014:長崎県美術館 屋上庭園①

0014:長崎県美術館 屋上庭園②

0014:長崎県美術館 ブリッジ上のガラス廊下

0014:長崎県美術館 ルーバーディティール

展示室は無論撮影禁止なので屋上庭園へ. 屋上も公開スペースとして常時解放されており、緑の美しい芝と肌色の美しい歩行用タイルがいい感じに見えました. そしてブリッジの上も歩けるのですが、床も含めてガラス仕様! 湾の対岸にあるタンカーとセットで撮ると非常に絵になりますね. ギャラリー棟への降り口は階段での移動となり、「兵庫県立美術館」よりも屋上庭園の構成は非常にシンプルでわかりやすいものでした. ついでに石のルーバーを上から撮ると、その収まりがよく解ります. そんな県立美術館も今年で開館10周年、これからもなが〜く使われてほしいですね. ではでは今回はここまで〜

2016.2.20 写真3枚追加


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