芦屋市民センター - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

芦屋市民センター

           
0153:芦屋市民センター メイン

0153 - 芦屋市民センター
竣工:1964年
設計:坂倉準三
住所:兵庫県芦屋市業平町8-24
選定:DOCOMOMOセレクション(2008追加:No.141)
賞歴:1978年BCS賞(別館)

皆様どうも. 台風が過ぎていった影響からか、少々ひんやりとした秋の風が吹き込む感じになってきたように思います. 緑の冴える風景写真を撮れるのもあとわずかといった感じなので、残り少ない2016年の夏模様を色々と収めておきたいところです.

さて管理人の諸事情で更新がしばらく止まりっぱなしでした. その一方で、現在は別の取り組みが着々と進行してますので、時期が来れば正式にこちらでアナウンスもしたいと思います. 停滞復帰後の紹介となるのは阪神間特集4件目、芦屋川沿いに建つ複合施設 芦屋市民センターをご紹介していきます.
0153:芦屋市民センター 芦屋川の北方面から

0153:芦屋市民センター 入口広場

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール①

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール②

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール③

当日は「ヨドコウ迎賓館」から芦屋川沿いに南下したため、市民センターも北側から撮影した外観を1枚目に掲載しています. 芦屋川で驚いたのは川底の浅さと広い川幅で、子供が楽しそうに水浴びしているのが印象的でした. そんな川沿いの建物でひときわ目立つ巨大なコンクリートの建物が、市民センターのメインとなる「ルナ・ホール」です.

多角形断面のボリュームに直方体のデザインが外付けされた、『要塞』にも例えられそうな強烈なインパクト. 小さいパーツによる杉板型枠によって造成された打ち放しのコンクリ外壁(写真4枚目)は、現代のツルツルしたものと比較すると無骨な感じがしますが、パーツを最小化したことによってできたムラのある表面も、人間が手掛けた感があって面白いです. 一部には蔦も生えてきている(写真5枚目)ので、数年後には大部分が緑に覆われるのでしょうかね.

市民センターは公共ホールと会議室などを備えた市民会館の複合施設として1964年に本館棟が建設されたのが始まりです. 「ルナ・ホール」はその4年後の1968年に完成し、長年芦屋市の中心的な文化拠点として親しまれています. 設計を手掛けたのはコルビュジエの弟子の一人である坂倉準三氏で、71年の逝去を考えるとかなり晩年の作品になります. 2008年にはDOCOMOMO建築に追加選定されることで名モダニズム建築としての注目が高まっているように思います.
0153:芦屋市民センター 本館入口

0153:芦屋市民センター 本館ファサード

0153:芦屋市民センター 本館を北側から①

0153:芦屋市民センター 本館を北側から②

0153:芦屋市民センター 別館への空中回廊

そしてこちらは「ルナ・ホール」の南に隣接する「本館」(写真1枚目)です. 垂直にドンと鎮座するホールとは対照的に、こちらは高さの低い水平力のきいたボリュームが、芦屋川沿い約70mほどまでグーンと伸びているのが特長です. ホール等のようなゴテゴテの要塞感はありませんが、周囲の高木に上手い具合に隠れていたり(写真2・3枚目)、南東側の一部は石垣になっていたり(写真4枚目)と、これはこれで隠れ要塞感が出ている気がします.

本館をぐるりと歩いていると、真上にコンクリートの空中回廊(写真4・5枚目)が出現. じつはこの本館エリアのさらに東側には、坂倉氏の没後に坂倉建築研究所が手掛けた「別館」があり、両棟の同一フロアをこのように回廊で結んでいるということです.
0153:芦屋市民センター 別館外観①

0153:芦屋市民センター 別館外観②

0153:芦屋市民センター 別館外観③

そしてこちらが小道を挟んで東側にある「別館」(写真1枚目)です. 坂倉氏の本館・ホール等に調和するように外壁の杉板型枠の打ち放しは一緒ですが、北から南に向かって全体的に傾斜をかけている外観は、モダニズム全開な坂倉氏の作品と比べるとかなり造形性が豊かな感じがします.

窓も大小様々なタイプを組み合わせた非常にポップな印象を受けるのですが、鳩よけの針ガードがジャキンと飛び出しており、ここでも敵を寄せ付けない要塞感を際立たせています. 設立した時期は違えど、なぜここまで要塞のような雰囲気を感じさせるようなインパクトのある佇まいになっているのかはわかりませんが、私はこの探訪後から同氏の敬意も含めて『坂倉要塞』と呼ぶようにしています.
0153:芦屋市民センター ルナ・ホール①

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール②

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール③

0153:芦屋市民センター ルナ・ホール案内図

ではでは許可もらって館内に突入. まずはじめは「ルナ・ホール」内部の様子で、当日は市民コンサート中だったため、掲載はホワイエのみとなります. そこはまさに『ルナ(月)』の名のごとく、黒一色の空間に暖色照明の淡い光が照らす月面世界のような幻想的な空間です. そして月面の凸凹を表現したようなオリジナルの家具(写真2・3枚目)も見事. こういうのは個人的にも妙にワクワクしますし、休んでいた子供達も楽しんでいました.
0153:芦屋市民センター 本館EVホール①

0153:芦屋市民センター 本館EVホール②

0153:芦屋市民センター 本館EV廊下①

0153:芦屋市民センター 本館EV廊下②

0153:芦屋市民センター 本館EV廊下④

0153:芦屋市民センター 本館EV廊下③

0153:芦屋市民センター 本館EV廊下⑤

そしてこちらは本館の内部です. エレベーターホールなどからみえる『オンデュラトワール』と称されるバラバラの窓配置(写真1枚目)は、やはりコルビュジエの弟子といったところ. 隙間のトップライトをみると、僅かなムラによって生じる細かい陰影(写真2枚目)ができているのがいいポイントです.

そして写真3枚目からは本館廊下の写真です. 床は明るめの青、壁は軽やかさのある白、そして天井は落ち着きのある深い藍色ブルーと、要塞のような外観の中は色彩的に豊かな空間が出来上がっていたことに驚きました. 白壁には様々な大きさの展示開口(写真4・5枚目)が設けられ、各部屋の入口(写真6枚目)は白壁が折れ曲がって引き込むようになっており、訪れる人を楽しませてくれるようなユニークな仕掛けがいっぱいです. わざわざ天井を折り曲げて、窓を大きくする仕掛け(写真7枚目)も細かいですね.
0153:芦屋市民センター 別館①

0153:芦屋市民センター 別館②

0153:芦屋市民センター 別館③

最後は空中回廊を渡って別館の内部を探索. 翌日何やらイベントがあるようで廊下は混雑していたため、掲載できるレベルの写真が少なかったのが惜しいところ. 青と白のカラーが印象的だった本館に対し、こちらは壁・床・天井に至るまでほぼ全てが真っ黄色(写真1枚目). 照明も相まってとても眩しいです. 途中階にはトップライト付きの吹き抜けスペース(写真2枚目)もあります.

要塞という外観には始め非常に驚かされたのですが、それ以上に色彩感の豊かな内部とのギャップさに心惹かれる見事なモダニズム建築でした. 最後になってしまいましたが市民センターへはJR・阪急の各駅が最寄りとなります、阪神ですと少しばかり遠いのでご注意を. ではでは今回はここまで〜


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