羽島市庁舎 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

羽島市庁舎

           
0161:羽島市庁舎 メイン

0161 - 羽島市庁舎
竣工:1959年
設計:坂倉準三
住所:岐阜県羽島市竹鼻町55
選定:DOCOMOMOセレクション(100選:No.58)
賞歴:1960年日本建築学会賞

皆様どうも. 今回の建築紹介の舞台は、岐阜市の南隣にある羽島市です. 実は同市はコルビュジエの弟子の一人である坂倉準三氏の出身地(旧羽島郡竹ヶ鼻町)で、同市内には「羽島市民会館」や「羽島市勤労青少年ホーム」などの坂倉建築が数多く現存しています. その中でも代表的なのが、羽島市の中心である羽島市庁舎. 今回はこのモダニズム庁舎建築の魅力を追っていきます.
0161:羽島市庁舎 名鉄羽島市役所前駅

0161:羽島市庁舎 庁舎を北側からみる

0161:羽島市庁舎 庁舎手前のスロープ

0161:羽島市庁舎 本庁舎北側ファサード

0161:羽島市庁舎 バルコニーのデザイン

0161:羽島市庁舎 湾曲した屋上屋根

市役所の最寄駅となるのは名鉄の羽島市役所前駅(写真1枚目)です. 名鉄岐阜駅からおよそ30分、東海道新幹線の岐阜羽島駅からならば、名鉄新羽島駅に乗り換えて5分ほどで到着です. 市庁舎へは駅前の踏切を越えて、その道を3分ほどまっすぐ歩いて右手に見えてきます.

写真2枚目の奥にある4階建ての建物が、羽島市の本庁舎です. 正方形の窓がランダムに配置された、中央が落ち込む湾曲屋根をもつ議場(写真4・6枚目)が目立ちます. バルコニーの手摺(写真4枚目)が水平力をきかせ、一部の外壁に色鮮やかなタイルが貼られており、どことなくホテルのような豪華な雰囲気を感じさせる外観です. 庁舎の手前には池(写真5枚目 下部分)が巡らされているのもいいですね.
0161:羽島市庁舎 本庁舎南側外観①

0161:羽島市庁舎 本庁舎南側外観②

0161:羽島市庁舎 本庁舎南側外観③

0161:羽島市庁舎 本庁舎南側ファサード

0161:羽島市庁舎 本庁舎南側の池に鯉が泳ぐ

こちらは反対方向の南側からみた外観. 時刻が夕方ごろということもあって、タイル外壁がより一層鮮やかに. 1階フロアにできた蔦のカーテン(写真4枚目)もいい感じです. 北側よりも幅の広い池が庁舎手前に整備されており、数十匹もの鯉が泳いでいるのも確認できます(写真5枚目). 驚いたのは1階バルコニーに手摺類が設置されていないこと. 安藤忠雄氏の「TIME'S」に似た親水空間が、この市庁舎にデザインされているとは思いませんでした.

羽島市の市政5周年を記念して1959年に完成したこちらの市庁舎. 竣工当時は役所以外に図書館・消防施設などの機能をもつ複合施設で、当時の新聞には『ホテル式の豪華な建物』と評されたようです. 1960年に坂倉氏の単独作品としては唯一の建築学会賞を受賞. 2016年に「藤村記念堂」が追加選定されるまでは、岐阜県下で唯一のDOCOMOMO選定建築でした. 築50年以上ということで劣化も目立ってきており、羽島市も竣工50周年の広報誌で『手術(大規模改修・耐震工事)も考えなければならない』と語っています.
0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ①

0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ②

0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ③

0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ拡大①

0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ拡大②

0161:羽島市庁舎 望楼とスロープ拡大③

庁舎の外観と並んで存在感を放っているのが、庁舎東側に横付けされるように立つ「望楼」と「スロープ」です. 細長い直方体の望楼が空に向かって突き出る光景は、想像以上にインパクトを感じさせます. 長方形や正方形を組み合わせてできたデザイン(写真2枚目)もカッコいい. この望楼はかつて庁舎内に存在した消防施設の名残ということですが、周囲に低い建物しかなかった当時はランドマーク的な存在だったのでしょうか.

望楼の南側にあるスロープ(写真3枚目)は、2人並んで歩くのがやっとな感じの幅の狭いもの. 厚いコンクリート壁に開けられた正方形・三角形の開口(写真5枚目)がとてもユニークで面白いです. スロープは2階から議場のある4階を結んでいますが、なぜ歩行者用の長いスロープが外付けされるように計画されているのかはわからないまま. 現在は残念ながら柵が設けられ、スロープ内を歩くことはできません.
0161:羽島市庁舎 2階の受付入口①

0161:羽島市庁舎 2階の受付入口②

0161:羽島市庁舎 2階の受付入口③

0161:羽島市庁舎 文字盤

本庁舎のメイン玄関は、東側にガボッと開けられたピロティ空間(写真1枚目)にあり、そこまでは南北にYの字に配置されたスロープを通って2階にあがるという珍しいアプローチになっています. あえてピロティの奥に引き込むように配置されているというのもなかなか斬新ですが、道路から見える位置に大きな庇を設えるという庁舎玄関が先入観イメージとしてある自分としては、一見玄関らしくないと思ったりも.

内部は残念ながら閉庁時間間近ということもあり、写真を撮影する暇もなく見学は終了. エントランスが2階から3階までの吹き抜け空間となっていますが、これは元々3階に存在した図書館へのアプローチの名残でしょう. 窓口のスペースはある程度書棚で区切られながらも、竣工当時からのワンルーム空間の雰囲気は今なおも残っています. さすがに部外者なので4階の議場フロアまでは行けませんでしたが、いつかはあの湾曲屋根の議場の中を見てみたいです.
0161:羽島市庁舎 中庁舎①

0161:羽島市庁舎 中庁舎②

0161:羽島市庁舎 中庁舎③

0161:羽島市庁舎 中庁舎④

羽島市役所はこの本庁舎1棟だけではなく、北に隣接する中庁舎をはじめ北庁舎、南庁舎などの別棟が数多くあり、どれがどの時期に誰によって建てられたのかは完全には把握できていません. しかしその中でも坂倉氏に近いデザインを踏襲しているのが「中庁舎」です.

大きな玉石を散りばめた大胆なファサード、水平力の効いたマッシヴな屋根、そして手前がめくれ上がった造形的な玄関の庇. 個人的には、もうこれが坂倉氏じゃなければ誰がやったんだと疑いたくなるほどの素晴らしい外観. こちらは本庁舎の竣工から6年後の1965年に建設されたもの. 坂倉氏の存命中に完成しているので、個人的には坂倉建築だろうと強く思っていますが、確証は得られていないので知っている方がいらっしゃれば情報をお願いしたいです.

ということで今回のご紹介はここまで. 先述した通り、建物の劣化は顕著ということで大規模改修も近々行われてもおかしくない状況. 竣工当時のままの姿を今後も見られ続けられる時間は、意外と短いかもしれません. 岐阜市の中心部から30分ほどですので、岐阜に来た際はぜひ一度見学してみてはいかがでしょうか. ではでは今回はここまで〜


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