穂の国とよはし芸術劇場 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

穂の国とよはし芸術劇場

           
0168:穂の国とよはし芸術劇場 メイン

0168 - 穂の国とよはし芸術劇場
竣工:2013年
設計:香山壽夫+大成建設
住所:愛知県豊橋市西小田原町123
賞歴:2016年BCS賞

皆様どうも. 本日昼頃に発生した鳥取県の大型地震ですが、その中心となる倉吉市ではかなりの被害が出ているようです. 熊本地震のように後々本震がくるというケースもありますので、現地の方々は大変かもしれませんが、こちらは早い復旧を願うことしかできません. 倉吉の建築では「倉吉市庁舎(丹下健三+岸田日出刀)」の階段手摺が落ちているという被害がありますが、耐震改修もあって倒壊は免れているようです.

世間は地震の話題で持ちきりですが、こちらでは愛知県の建築7件目をご紹介していきます. 今月の愛知県の建築特集は、今回で最終回となります. 舞台となるのは東海道において愛知県最東端となる豊橋市. その中心である豊橋駅のすぐ北側に建つ複合文化施設 穂の国とよはし芸術劇場をご紹介していきます.
0168:穂の国とよはし芸術劇場 劇場への連絡デッキ

0168:穂の国とよはし芸術劇場 南側外観①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 南側外観②

0168:穂の国とよはし芸術劇場 南側広場から①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 南側広場から②

愛知県東部において有数の規模を誇る豊橋市は、江戸時代には三河吉田播の藩庁である吉田城を中心とした城下町. 交通としては東海道の主要宿場町として栄えました. 豊橋駅は新幹線に在来線、名鉄に豊橋鉄道の路面電車などが接続する愛知県有数のターミナル駅です. 劇場があるのはその豊橋駅東口からすぐ北側にあり、駅構内の連絡通路(トップ写真)からでも建物を確認できます. 劇場と駅は長い連絡デッキ(写真1枚目)て繋がっています.

写真2枚目からは、劇場のメインの顔となる北側外観の様子. 中央部が奥に窄むように展開されたガラスファサードには、豊橋の市街地がいい感じに投影されています. 駅前の活性化事業の一環として2013年に完成したこちらの文化施設は、5大ゼネコンの一つである大成建設と、建築家の香山壽夫氏の共同設計によって完成しました. 愛称は『PLAT(プラット)』. ネーミングである『穂の国』は、2世紀ごろにこの東三河地方に存在したとされる国の名称のことです.
0168:穂の国とよはし芸術劇場 東側のレンガ外壁①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 東側のレンガ外壁②

0168:穂の国とよはし芸術劇場 西側外観

0168:穂の国とよはし芸術劇場 南側外観

0168:穂の国とよはし芸術劇場 有機的にカーブする鋼板

劇場の玄関となる北側から、裏手の南側までグルッと回りながら外観をみていきます. 建物の東西側には実際に積まれた巨大なレンガ外壁(写真1枚目)で設えられ、劇場はこのレンガ壁に挟み込まれるようにボリュームが構成されています. 鮮やかなレンガの色合いも見事ですが、等間隔に配置されたアーチ壁が重厚な壁にリズム感を与えているのが良かったです. 何気に開口がない部分にもアーチをデザインしている部分(写真2枚目)に、このデザインへの強いこだわりを感じます.

写真3枚目はJRや豊橋鉄道の路線が脇を通る西側の外観. 長さ100m以上にも及ぶ巨大なレンガ壁は、電車の車窓からでもなかなかのインパクトがあります. そしてこちら側まで来るとよく見えてくるのが、建物上部にあるグネグネした有機的な曲線が特徴的な白いファサード. これは劇場ホールのフライタワー(舞台上部)の外周にカラーガルバリウムの波形鋼板を取り付けたもので、壁のうねり具合に呼応するように色合いが変化するのが実にユニークなデザインです.
0168:穂の国とよはし芸術劇場 1階入口

0168:穂の国とよはし芸術劇場 案内図

0168:穂の国とよはし芸術劇場 交流スクエア①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 交流スクエア②

0168:穂の国とよはし芸術劇場 レンガに映る日陰

0168:穂の国とよはし芸術劇場 銀色左官壁の活動室

それでは館内へと入っていきます. カウンターで撮影OKの確認をもらったので、特徴的なスペースを軸にババッと掲載. 1階の玄関を入ってすぐに見えてくるのは、2フロアが吹き抜けとなった「交流スペース」です. 丁度『あいちトリエンナーレ2016』の開催期間だったため、スペース中央には大巻伸嗣氏の『重力と恩寵』(写真3・4枚目)という巨大な壷状の作品がドンと展示されています. カーテンウォールで手前の広場とダイレクトに繋がるのがいい感じです.

階段等の床面は木、脇の壁面には外壁同様のレンガが使用されていたりと素材感豊かな印象. レンガというと外壁に使用されるイメージが強いため、写真5枚目のような日陰がレンガ壁に映り込むのは新鮮な感じがします. スペースの一角の壁面(写真6枚目)は美しい銀色に仕上げられており、開口の形も独特です. 雑誌には『銀色左官壁』と表記されていましたが、どうやったのかが非常に気になるところ. ちなみにホールのホワイエには金色壁もあるそうです.
0168:穂の国とよはし芸術劇場 メインガレリア①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 メインガレリア②

0168:穂の国とよはし芸術劇場 メインガレリア③

0168:穂の国とよはし芸術劇場 アートガレリア①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 アートガレリア②

一般でも入れるその他のスペースもご紹介. 写真3枚目までの前半部分は、駅から続く連絡デッキと交流スペースを繋ぐ廊下空間「メインガレリア」の様子. カーテンウォールに面する壁面部分にもレンガが使用されています. スロープに沿うように開けられたアーチ開口がお洒落です. 写真4枚目以降の後半は、交流スペースから奥に繋がる「アートガレリア」の様子. 正午頃になるとトップライトから太陽光が通ることで、スリットの陰がアクセントとなった幻想的な日陰がレンガ壁に浮き上がるそうです.
0168:穂の国とよはし芸術劇場 ピクトサイン①

0168:穂の国とよはし芸術劇場 ピクトサイン②

0168:穂の国とよはし芸術劇場 ピクトサイン③

0168:穂の国とよはし芸術劇場 ピクトサイン④

この芸術劇場内で見つけたユニーク要素としておさえておきたいのが、館内で見ることのできる『ピクトサイン』です. これらは芸術劇場のイメージキャラを反映させたオリジナルのもので、非常口の案内ではスポットライトに当たっていたり(写真1枚目)、フィギュアスケートで片足を上げたような姿勢(写真2枚目)になっていたりと、本来の役目そっちのけで自由気ままにやっているのがとてもクスッときました. 見るだけでも面白いので、ぜひ探してみてください.

近年では「ロームシアター京都(旧京都会館)」の改修を手掛けた香山氏が、近年に手掛けた複合文化施設ということで探訪しましたが、色鮮やかなレンガのデザインは意外と親しみやすい雰囲気を出していてとても良かったです. 一方で豊橋とレンガの歴史的な関連が実際はどうなのか、ここまでレンガを強調する分としては気になるところだったりします. 駅から3分という立地ですので、豊橋に来たらぜひ寄ってみてください. ではでは今回はここまで〜


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