鳴門市庁舎・市民会館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

鳴門市庁舎・市民会館

           
0261:鳴門市庁舎・市民会館 メイン

0261 - 鳴門市庁舎・市民会館
竣工:1961年(市民会館) / 1963年(市庁舎)
設計:増田友也(京都大学増田研究室)
住所:徳島県鳴門市撫養町南浜字東浜170
選定:DOCOMOMOセレクション(2008追加:No.140)

皆様どうも. 徳島県特集4件目からは鳴門市へと舞台を移します. 『鳴門の渦潮』で全国的な知名度を持つ鳴門海峡を隔てて淡路島と向かい合う徳島県最北端の都市・鳴門. お遍路で有名な四国八十八箇所の一番礼所「霊山寺」があり、寝ながら足を回してつくる寝轆轤(ねろくろ)という独特な製作が特徴の『大谷焼』の産地として有名. 渦潮の激流によって生まれた『鳴門わかめ』は県の特産品です.

建築スポットとしての鳴門は、かつて『東の丹下研、西の増田研』と称さるほどの実力を誇った、京都大学教授・増田友也氏率いる『京都大学増田研究室』の設計作品が集積する場所として知られます. 保育所・幼稚園・小中学校などを含め、手がけた施設の数はなんと19件. その中の代表作の一つとして挙げられるのが、今回ご紹介するモダニズム公共建築 鳴門市庁舎・市民会館です.
0261:鳴門市庁舎・市民会館 JR鳴門駅

0261:鳴門市庁舎・市民会館 鳴門駅から歩く

0261:鳴門市庁舎・市民会館 奥手に見える庁舎

0261:鳴門市庁舎・市民会館 公道から眺める①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 公道から眺める②

JR徳島駅から鳴門線の列車に乗り、長閑な田園風景を眺めながらJR鳴門駅(写真1枚目)に到着. 今回の探訪はここからスタートです. 駅東側をはしる国道28号線(写真2枚目)に沿って南へまっすぐ. 15分ほど歩くと消防署が左手に現れ、その奥手に見える階段のついた建物(写真3枚目)が市庁舎・市民会館です. 数あるモダニズム建築の中でも全国的に珍しい青色の外壁は、お堅い印象の付きやすい庁舎のイメージを取り払い、落ち着きのある親しみやすい雰囲気を与えています.
0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎を地上から①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎を地上から②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎を2階から①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎を2階から②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎を2階から③

鳴門にて手がけた19施設の中でも「鳴門市文化会館」と並んで代表的な作品として扱われている市庁舎・市民会館は、2008年に『DOCOMOMOJAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築』として追加選定され、徳島県唯一のDOCOMOMO選定建築(2017年現在)になります. 敷地の南に市庁舎、北に市民会館を配置して、その2階部分をL字平面の空中廊下で接続しているのが特徴です.

まずは鳴門市政の中心である市庁舎から. 竣工は1963年で、鳴門建築群の中で2番目に完成した作品です. 当サイトでは「西宮市民会館」「豊岡市民会館」といった後期コルビュジエ作品を彷彿とさせる造形力満載の増田建築ばかりを先に見てきたわけですが、こちらは一転して開放的なガラス窓が整然と並ぶ、合理性を追求したザ・モダニズムな作風. その中において一際目立つのが2階玄関のキャノピー(写真4枚目)で、V字に折れ曲がる造形性豊かな屋根のデザインが魅力です.
0261:鳴門市庁舎・市民会館 市民会館外観①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 市民会館外観③

0261:鳴門市庁舎・市民会館 市民会館外観②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 市民会館外観④

0261:鳴門市庁舎・市民会館 空中回廊の列柱①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 空中回廊の列柱②

続いてこちらは市民会館. 竣工は1961年と市庁舎よりも早く完成しており、鳴門建築群として最初に完成した建物です. 家型のような巨大な窓ユニットが連続し、その上に切妻屋根ギザギザ状に連続する、どこか工場に近しい佇まいをみせる面白いデザイン(写真2枚目)です. 2階廊下にも入口(写真3枚目)が設けられており、段々状になった観客席を経て1階のホール部分に連続しているのが気持ちいいです. 訪問時は夏祭りの踊り(阿波踊りだったかな)の練習をしていました.

市庁舎・市民会館1階玄関の雨よけも兼ねる、柱頭が細まるストイックな列柱(写真5・6枚目)も見所なこの空中廊下. 車の通る地上と人の通る2階で分ける『歩車分離』の考えを取り入れられたものらしく、コンセプト段階では2階が市庁舎入口になるよう計画されたそうな. つまり当初は2階を中心的な空間として一体的に設計されたということ. なので庁舎の2階キャノピーがあんなに見事で、市民会館も2階からの眺めが気持ちよく、廊下の幅がかなり広かった点に納得です.
0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎西側外観①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎西側外観②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎南側外観①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎南側外観②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 庁舎南側外観③

今度は市庁舎の裏手にまわっていきます. 庁舎西側(写真1・2枚目)は千鳥目地が入ったコンクリート壁に. 先程の軽快なガラスファサードとは正反対に、重々しいマッス(塊)のファサードが広がるという、東西・南北方向で異なる表情をもつのも市庁舎の面白いところ. 裏手となる庁舎南側も青色壁とガラスの並びが見事なファサードとなっており、手前に芝生や植栽の緑が広がるのが北側と異なるポイント. 緑と青という近い色合いの組み合わせが実にいいです.

市庁舎は柱を館内に引っ込めて、梁材を柱よりも外側に張りださせる『鳥居型』の構造をしており、南北方向の壁は実質カーテンウォール(構造材なし)の状態に. 60年代のカーテンウォールというのも興味深いですが、ここでは青壁をグリッド線状に配し、開口も1つに8〜10枚と小さく窓を割付けています(写真4枚目). これにより集合住宅のような雰囲気をもつ、庶民的で親しみのある外観になっています. 1階(写真5枚目)がダイレクトに芝生に出らるように開閉可能な感じも、庁舎より住宅っぽい. こういう市民に寄り添った庁舎のデザイン、個人的に好きです.
0261:鳴門市庁舎・市民会館 ピラミッド状の建築

0261:鳴門市庁舎・市民会館 共済会館①

0261:鳴門市庁舎・市民会館 共済会館②

0261:鳴門市庁舎・市民会館 共済会館③

0261:鳴門市庁舎・市民会館 共済会館④

0261:鳴門市庁舎・市民会館 共済会館⑤

ピラミッドの形をしたユニークな付属建築(写真1枚目)を横目に歩いていると、市庁舎の南東側に面白そうなコンクリート建築(写真2枚目以降)を発見. 実はこちらも増田研究室の設計で1973に竣工した「鳴門市職員共済会館」という建物. 2階がブリッジで接続して、こちらでも歩車分離が図られています. こちらは今まで見た増田建築に近い作風の、ゴツくてマッシブなRC造. 裏手にはコルビュジエばりのブリーズ・ソレイユ(写真6枚目)も見れて満足でした.

今回は一気に3件の増田友也建築をお送りしました. 増田氏を知ってから1度は見たかった建築で、軽快なガラスファサードは今まで見た増田氏の作品の印象を、いい意味でガラッと変えるものでした. そんな庁舎ですが耐震化が進まず、近年には建て替えの検討がなされるという話もあるそうです. う〜んもったいない. 戦後の鳴門の象徴となったモダニズム建築、見れるのはあと数年かもしれません.


※ Googlemapでは「鳴門市庁舎」を表示しています
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