みなとみらい線 馬車道駅舎 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

みなとみらい線 馬車道駅舎

           
0038:馬車道駅舎 メイン

0038 - みなとみらい線 馬車道駅舎
竣工:2004年
設計:内藤廣
住所:神奈川県横浜市中区本町5丁目

皆様どうも. みなとみらい線シリーズ3駅目、「神奈川県立歴史博物館(設計:妻木頼黄)」や新港ふ頭へ通じる「万国橋」の最寄りとなる馬車道駅舎です. 『馬車道』という駅名は当時の外国人居留地と横浜港を結ぶ道路の一つとして整備され、外国人が馬車で通る様子を「異人馬車」と呼ばれたことが由来です. 現在でもそれに該当する道路は残っていますが、間違っても町名ではありませんのでご注意を.

デザインを手掛けたのは「JR旭川駅舎」と手掛けた内藤廣氏、洗練された構造デザインのある駅舎を設計する内藤氏が、地下駅舎をどのようにデザインしたのでしょうか. それでは今回もホームからいってみましょう.
0038:馬車道駅舎 プラットホーム①

0038:馬車道駅舎 プラットホーム②

0038:馬車道駅舎 ホーム壁に積み上げられたレンガ

0038:馬車道駅舎 駅名標

一見すると普通の地下鉄駅のホームにみえます. 「元町・中華街駅舎」のような巨大空間はありませんが、このホームの特徴は『壁』にあります. 赤茶色に彩られたホームの壁面の仕上げはレンガ、近代建築が多く残る横浜らしさがあっていいですね〜 しかし、驚くべき点はコンクリート壁に上から貼っているのではなく、これが『実際に積まれてできている』ということです! 当時はレンガを積み上げた地下鉄駅舎は前例がなかったといわれています.

このレンガ壁の雰囲気に合わせるため、柱や案内板の枠は全て赤茶色になっています. 写真に撮り忘れましたが、ホームには『未来と過去の対比』をイメージした、内藤氏デザインの透明アクリルベンチが設置されています. 個人的に面白かったのは駅名標でして、馬車道駅のフォントだけが明朝体になっています. しかもこれ隣の駅でも同じような仕様になっていて、この駅のキャラクターがでているなと思いました.
0038:馬車道駅舎 改札口①

0038:馬車道駅舎 改札口②

0038:馬車道駅舎 改札を囲むレンガ壁

0038:馬車道駅舎 明治時代の古レンガ

それでは改札へとあがりましょう. この駅の改札は一つだけなのですが、その改札を出て上を見上げると…なんということでしょう!(某○フォー○フター風に) そこには馬車道という駅の改札口にふさわしいシンボリックなドーム空間が広がっていました. 直径48m、高さ12mと普通にスポーツができそうな超巨大なドームです.

改札周辺を取り囲む壁面にもレンガが積まれていますが、こちらは先程のホームのレンガよりも古く凹凸があります. 列車が通るため整形したレンガを積まざるをえなくなったという事情も考えられますが、私としてはこちらのレンガの方がいい感じに仕上がってると思います. なぜ地下鉄の駅にレンガを積んだのか、その理由はこの一帯を埋立てで造成したが故に発生した『高すぎる地下水位』にあります.

そもそもみなとみらい線は、ルートの殆どが地下水位の高いエリアで占められており『水の中を走る鉄道』とも称されてます. この馬車道の駅舎も例外ではなく、内藤氏が気にしたのはコンクリートからの漏水でした. コンクリートをそのまま仕上げとして用いる案もあったといいますが、漏水対策の仕上げ壁が不可欠と考えた末、馬車道の近代建築の雰囲気を反映させたレンガを仕上げ壁として採用したというエピソードがあります.
0038:馬車道駅舎 東側コンコース①

0038:馬車道駅舎 東側コンコース②

0038:馬車道駅舎 旧横浜銀行本店のモニュメント

改札から東に向かって歩いた先にあったのは上のフロアに向かうエスカレーターと、レンガ壁一帯に展示された謎のモニュメントがあります. 窓枠、手摺、ロッカーなど色々ありますが、中でも目を引くのは一番下の『金庫扉』です. そう、これらは全て駅舎の真上にかつて存在した『旧横浜銀行本店』に実際にあった備品類です.

内藤氏は近代建築が保存活用される一方で、解体される建築も多い横浜の現状を捉え、解体された近代建築にかつて使われていた遺構(パーツ・断片)を保存し、そういうものが堆積していくしていくような場所としてこのギャラリーを設置したといわれています. 実際に横浜市にお願いをし譲り受けたらしく、近代建築に対する情熱の賜物だと思います.
0038:馬車道駅舎 西側コンコース①

0038:馬車道駅舎 西側コンコース②

0038:馬車道駅舎 中村順平氏の壁画『横浜開港史』

こちらは先程とは反対側の西側コンコースです. こちらに展示されているのは、実際に横浜銀行内に飾られていた、長さ45mにもなる大壁画『横浜開港史』です. こちらの壁画を手掛けたのは明治〜昭和期に活躍し、東京岩崎邸の内装も手掛けた建築家 中村順平(なかむら じゅんぺい)氏でした. 当時の建築家が手掛けた至玉の一作は取り壊されることなく、歴史を伝える移行として今もなお展示され続けていました.

というわけでいかがだったでしょうか. 全部説明してない中で申し訳ないですが、みなとみらい線の中で一番のお気に入りと問われれば、私はダントツでこの駅舎を推します. ここまで「あぁ…横浜っぽいなぁ」と言わせるデザインってなかなかないと思います. 今度はちゃんとアクリルの椅子撮ってきたいですね(汗)それでは今回はここまで〜


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