海の駅なおしま - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

海の駅なおしま

           
0066:海の駅なおしま 新メイン

0066 - 海の駅なおしま
竣工:2006年
設計:SANAA
住所:香川県香川郡直島町2249-40

皆様どうも. 今回紹介する建築の舞台は瀬戸内芸術祭の実質的なメインアイランドであり、この瀬戸内海にアートブームを巻き起こした『アートの島』直島です.

讃岐藩へ流される際に一時四国の上陸を拒否された崇徳天皇が3年間を過ごし、島民の素朴さ素直さを称賛して『直島』と命名した等の言い伝えが残る直島は、近代では三菱鉱業による銅の精錬所で栄え、後年には通信教育でおなじみベネッセ(当時 福武書店)が直島一帯の土地をキャンプ場として運営し始めたのを皮切りに、「ベネッセハウス」を中心とするアート施設を続々と開館させ、アート型町おこしを牽引する島として注目されています.

フェリーで訪れる場合は高松港から50分、宇野港から20分で、宇野-直島便は一時間に一本が設定されており、瀬戸芸に参加する島の中では最もアクセスのしやすい島です. 今回はその直島の玄関口である宮浦港のフェリーターミナル 海の駅なおしまをご紹介していきます.
0066:海の駅なおしま フェリーからの展望

0066:海の駅なおしま 宮浦港と赤かぼちゃ

0066:海の駅なおしま 海側からの外観

0066:海の駅なおしま 待合スペース①

0066:海の駅なおしま 待合スペース②

写真1枚目は宮浦の埠頭全体を撮影したものです. 左手に見える薄い鉄板が乗っかった施設がフェリーターミナル. 右手にある赤いオブジェは草間彌生氏作の『赤かぼちゃ』、近年完成した「直島パヴィリオン」の姿も奥に確認できます. 直島の西に位置する宮浦港に2006年に完成したこちらのフェリーターミナル『海の駅なおしま』は、プリツカー賞を受賞した建築家ユニット SANAAが手がけました.

正方形の薄く広いの鉄板屋根を細いポールが支えるという明快な構造ですが、海風のある海岸の環境を考えると、台風時に本当に飛ばされないのでしょうか. 天井はデッキプレートをそのまま使う低コストな仕上げに見えますが、その波型から生まれるストライプ模様(写真3枚目)は、空間の奥へとグッと伸びることで不思議な遠近感を与えています. 外が明るい場合は、内部空間は徹底的に暗くなり、建物の内外に強い陰影がうまれる(写真4枚目)のも面白いポイントです.
0066:海の駅なおしま 直島パヴィリオン側からの外観①

0066:海の駅なおしま 直島パヴィリオン側からの外観②

0066:海の駅なおしま バスターミナル

0066:海の駅なおしま 宮浦側の外観

0066:海の駅なおしま 鏡面プレートのある風景

0066:海の駅なおしま 細いポールによるピロティ

0066:海の駅なおしま 鉄骨梁の接合部

ターミナルの南にはバスターミナルが設置され、観光客はここから発着する町営バスに乗って直島の各エリアへと向かいます. 夏は厳しいのですが、天気が穏やかな日であれば屋根の下を冷たい海風が通り抜けていくので、少し暑い環境であっても涼めるところが個人的にはよかったです.

この建築のポイントは屋根を支える構造そのものです. 6.7mスパンのグリッド状に配置された円柱の直径は85mmと屋根を支える構造柱としては非常に細く、手の大きい人なら普通にガシッと握れます. この円柱と鏡面仕上げされた一部の壁によって支えられた大きな鉄板屋根は、私個人としてはミースの「バルセロナ・パビリオン」に似たものを感じます. 鏡面に町や海の情景が投射される仕掛け(写真5枚目)も面白いですね.
0066:海の駅なおしま ターミナルホール①

0066:海の駅なおしま ターミナルホール②

0066:海の駅なおしま ターミナルホール③

0066:海の駅なおしま トイレルーム

館内にはお土産やカフェスペースのある四方ガラス張りの「ターミナルホール」が配置されています. このスペース内部の天井は白く仕上げられていて、そこから円柱が落ちてくる様は、SANAAの代表作でもある「金沢21世紀美術館」に近い雰囲気があります. しかし一方カウンター(写真2枚目)やロッカーの囲い(写真3枚目)、外のトイレ(写真4枚目)等はコンクリートで仕上げられており、どこかSANAA建築らしくない、むしろ安藤建築のようなデザインがあるのも珍しいです.

今回はここまでです. シンプルで素朴な外観に見えてしまう外観ですが、構造やディティールという裏の努力が強く感じられる建築空間になっていました. いかに単純で、いかに細く、そしていかに軽くという部分がこのように表現されることに、当時の技術の進歩を感じさせられます. ちなみに直島の名産は「塩」ということで、ターミナルに寄った際はぜひ買っておきたいお土産です. ではでは今回はここまで〜

2016.7.10. 掲載写真を2016年春訪問分に更新&文面修正



◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

プロフィール

MATŌ

Author:MATŌ
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介するブログです. 西日本多めです. 今までにご紹介した建築記事の一覧を見たい方はこちらへ→「全国建築マップ

記事掲載や掲載写真等のご希望に関しては、こちらの「メールフォーム」からご連絡お願いします.
記事内の誤字・脱字等がありました場合は、コメント欄でご意見いただけると助かります.


◆ 兄弟サイト ◆

ARCHI'RECORDS@Walkingへのリンク

インフォメーション

2017年4月より更新頻度が激減します.
大変申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます.

● 写真健全化に伴い、以下の記事の公開を停止します. 健全化が完了次第、公開を再開します.
・「金沢海みらい図書館」
・「福井県立図書館・文書館」

メディア協力

・『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました.

FC2アクセスカウンター

スポンサーリンク

twitter

facebook

スポンサーリンク