直島ホール - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

直島ホール

           
0083:直島ホール メイン

0083 - 直島ホール
竣工:2015年
設計:三分一博志
住所:香川県香川郡直島町696-1
賞歴:2017年日本建築学会賞

皆様どうも. 前回から引き続いて瀬戸内芸術祭2016の初参加建築のご紹介です. 今回は「家プロジェクト」「ANDO MUSEUM」のある直島町の中心 本村地区に新しくできた 直島ホールのご紹介です.

ホールがあるのは直島町行政の中心となる「直島町役場」のすぐ南隣、東武公民館や民生会館のあった町有地の跡地に新しくできました. こちらの会館はメインとなる「ホール棟」と和室・研修室を備えた「集会所棟」があり、その2棟は敷地東西をまたぐ遊歩道でつながっています.
0083:直島ホール 北東側外観

0083:直島ホール 特徴的な入母屋屋根

0083:直島ホール 地面レベルからの採光をとるガラス

0083:直島ホール 風と水のコクピット
※4枚目)芸術祭2013参加作品「風と水のコクピット」

それではこの会館のメインとなる「ホール棟」から. 周囲に苔の生えた斜面の奥に建ち、そのアプローチ部分に石垣を積んだなんとも風情のある佇まい. ヒノキの堅葺きで設えられた入母屋の大屋根は、太陽の日差しで明るい茶色調に照らされ、瓦葺きとは一味違うな軽やかな印象を与えています. そして最大の特徴は、屋根上部に大きく開けられた三角形状の風穴です. なぜこのような大穴があるのか、仕組みは後々述べることにします.

こちらの町民会館を手がけたのは「犬島精錬所美術館」「六甲枝垂れ」を手がけたことでも有名な建築家 三分一博志氏です. 今までは犬島でしか見れなかった三分一建築がついに直島に登場です. 実はこのホール、2013年の芸術祭で計画中だということは事前告知されており、この屋根の縮小スケールとなる「風と水のコクピット」という作品でお披露目されていました.
0083:直島ホール 池の中央には浅敷が敷かれる

0083:直島ホール 池と苔のある南側の庭

0083:直島ホール 「The naoshima plan」展の様子

中に入る前にホール棟の南側へと移動してきました. 先ほどの石垣のあるアプローチとは打って変わって、こちらは苔の生える広々とした庭園空間が広がっていました. こちらで特徴的なのは建物中央部分に広がる水盤と、その中に設置された浅敷(さじき)です. 雑誌では桟敷と書いてありましたのでその表記で説明していますが、雰囲気的には芸能の野外舞台にもなりえそうな素晴らしい桟敷です.

苔と木々の緑に包まれた南側の庭園ですが、ふと入口付近に目をやると一部が鏡面張りになった小屋が. こちらは芸術祭の参加作品「直島建築+The Naoshima Plan」(作品番号:006)が展示された仮設小屋. 直島の石井和紘建築や三分一氏の建築プランなどの展示がされていますが、鑑賞できるのは会期中のみ. しかも秋会期はやらないということなので、直島建築に興味のある方は絶対に夏会期にいくことをお奨めします.
0083:直島ホール 内観全景①

0083:直島ホール 内観全景②

0083:直島ホール トップライト

0083:直島ホール 外縁の採光ガラス

0083:直島ホール 外部からの空気を取り込む床格子

それでは館内へと突入です. こちらのホールは芸術祭参加作品(作品番号:007)として無料開放していますが、開放時間は16時までなので時間には注意です. 香川県無形文化財『直島女文楽』の上演を見越して舞台が設えられたホール天井はムラのない美しい漆喰塗り、中央で館内を緩やかに照らす可動開閉式のトップライト、加えて全体を包み込むヒノキの香り. これが体育館というのはアートの島がなせる技ということでしょうか、個人的には非常に羨ましく感じます.

周辺の自然の力を最大限に利用する『エナジースケープ』を軸とする三分一建築. 今回のキーとなるのはあの屋根の風穴です. まず外部の暖かい空気を床下の地中熱で冷やし、ホール床の外周にある格子を通して館内へと取り込みます. 屋根の風穴は直島特有の南風に沿って南北方向に配置され、風穴内は通風の良い空間になり、そこに館内との圧力差が生じます. この圧力差を利用して、トップライトから館内の空気を吸い出して空気の循環を図っているのです. 文章で書くとややこしいですが、ここでもエアコン要らずのエコロジーな仕組みが組み込まれています.
0083:直島ホール 南側ホールへの扉

0083:直島ホール 南側ホール

0083:直島ホール 南側ホールから浅敷をみる

0083:直島ホール 舞台内部

0083:直島ホール 舞台内部の床

加えて当日は『直島建築 + The Naoshima Plan ガイドツアー』の一環として入場した際に、普段は入れない「南ホール」を観覧させてくれました. 舞台はトップライトのあったメインホールにも開けば、その反対側にあたる南ホールにも舞台が開くリバーシブルのものとなっており、こちらは少人数の観覧を想定してか畳敷き(写真2枚目)なのがポイント. 池の桟敷ともつながる(写真3枚目)ため、野外舞台の延長としても一体的に利用できそうです.

さらにこのツアーでは、特別に舞台内部(写真4枚目)も見学させてくれました. 天井には小屋組の構造が見えるようになっており、メインホールからの眺めも含め、舞台というよりは大空間の中にちょこんと建つ小屋のような舞台です. 床・壁・屋根裏に至るまでヒノキ材が使用されている(写真5枚目)ため、木の香りが全体に充満する気持ちの良い舞台空間になっていました.
0083:直島ホール 集会所棟

0083:直島ホール 集会所棟の屋根

0083:直島ホール 集会所棟内観①

0083:直島ホール 集会所棟内観②

0083:直島ホール 集会所棟内に差し込む光

そしてこちらは敷地北側に建つ「集会所棟」です. 一見すると普通の寄棟屋根ですが、よく見ると屋根はギザギザ. こちらの屋根は斜めに傾斜させたヒノキ板をルーバー状に重ね合わせたもので、雨を防ぐと同時に外の空気を緩やかに通すようになっています. 内部に入ると家の中にまた家があるような構成になっており『直島の路地と民家』の特徴を表しています. ホール棟のように太陽の遮蔽がないので、内部ルーバーに太陽の線がいい感じに映っているのがグッドでした.

直島の新しい公共施設のシンボルとしても、そして直島島民の新しい集まりの場としても、直島の自然と景観に寄り添ったこの三分一建築が新しい直島の中心としてあり続けることに期待です. 外観はいつでも撮影可能ですが、内部に入れるのは会期中だけ、この機会にぜひ. ではでは今回はここまで〜

2016.7.10. 直島見学ツアーで特別見学した南ホール・舞台写真と説明文を追加


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


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