津山文化センター - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

津山文化センター

           
0086:津山文化センター メイン

0086 - 津山文化センター
竣工:1965年
設計:川島甲士
住所:岡山県津山市山下68
選定:DOCOMOMOセレクション(2005追加:No.112)
賞歴:1967年BCS賞

皆様どうも. 熊本地震の余震が続いているという状況ですが、ニュースを見ると道路・鉄道の運休に加え、物資不足も問題化しているみたいで非常に気になっています. 東日本でも同様のケースがありましたが、震災によるインフラ・物資の不全に対する対応策ってないものでしょうか. 備蓄をしていても家が壊れてはどうしようもないわけですし、未曾有の自然災害に対応することの難しさを痛感させられます.

当サイトでは建築スポットを通じて日本を盛り上げるというモットーで自粛することなく引き続き更新していきます. 舞台は岡山県津山市です. 旧くは美作国(みまさかのくに)、江戸以降は森・松平両家が治める津山藩の中心として栄えた岡山県北最大の都市です. 今回はそんな場所に建つ名モダニズム建築 津山文化センターをご紹介していきます.
0086:津山文化センター こんご通り

0086:津山文化センター 津山城跡

0086:津山文化センター 中心通りから文化センターを見上げる

0086:津山文化センター 石垣の上にそびえる文化センター

岡山県中心部からはJR津山線で約1時間ほど. 文化センターへはバスという手もありますが、本数が少ないのでレンタサイクルで県道394号を北上する方が手っ取り早いです. 津山藩の象徴として築城された「津山城(別名:鶴山城)」は櫓の数が圧倒的に多い平山城として有名でしたが明治政府の廃城令によって破却し、今は復元された二重櫓や石垣だけの残る城跡となっています. 桜の名所として有名らしく、当日は満開の桜で覆われた行楽スポットとなっていました.

レンタサイクルで吉井川を越えるとそこは、出雲街道の要所としても栄えた城下町. 沿道は雑居ビルの立ち並ぶ商業エリアですが、瓦やうだつが再現された「ごんご通り」のアーケード(写真1枚目)に見られるように、街並みの修景デザインに気合を入れているようでした. 文化センターはアーケード街から更に北、津山城跡を越えようかという場所の石垣に建つ平屋根の大きい建物です.
0086:津山文化センター 外観全景

0086:津山文化センター 建物名称碑

0086:津山文化センター 東側外観

0086:津山文化センター 外観拡大①

0086:津山文化センター 外観拡大②

外部に突き出した大梁・小梁のある外観は、丹下氏の「香川県庁舎(旧館)」に通づるRCによる日本の伝統意匠が施されていますが、それよりも注目なのはフロアが上がるにつれて1スパンほど外にせり出すこの独特な構造. 張り出した床・屋根部分は三叉(さんさ)を重ねたような無数の柱によって支え上げられているというのも特徴で、これをコンクリートでつくっていることに訪問当初は驚きを隠せませんでした.

この文化センターを手がけたのは川島甲士(かわしまこうじ)氏という建築家です. 黒川紀章氏・谷口吉生氏らよりも少し上の世代の建築家で、独立前は吉田鉄郎氏に代表される逓信省(ていしんしょう)に勤めていました. 当館の特徴であるこの構造は、日本の社寺建築にみられる『斗栱(ときょう)』を取り入れたもので、RCによる完成度の高さも踏まえて2005年のDOCOMOMO建築に選定. 某建築系雑誌には『国宝級の建築』と称された川島氏の代表作品です.
0086:津山文化センター 展示ホール棟①

0086:津山文化センター 展示ホール棟②

0086:津山文化センター 北側外観①

0086:津山文化センター 北側外観②

もう少し外観をグルッとまわってみます. 名モダニズム建築として50周年を迎えた当館ですが、所々で雨漏りが生じていたりと痛みは激しい模様. この構造だと軒裏のメンテナンスは大変そうですね. 当館はメインとなる建物とは別に、彫刻の施された壁面が取り付けられた展示ホールが南側に隣接しています. ホールスペースが柱梁によって持ち上げられた様は、近代建築のピロティというより「正倉院」に代表される日本古来の倉の佇まいを彷彿とさせます.

敷地北側へとまわれば津山城の北に展開する市街地と、それに向かって斗栱構造の当館が奥までグーッと伸びる見通しのいいアングルを拝むことができます. そしてその外部分に連結しているのは非常階段でしょうか、使う分には非常に危なそうですが、無駄の一切を省いて構造だけで独立するその見た目は謎の美しさを感じます. ちゃんと撮っときゃよかった…
0086:津山文化センター エントランス①

0086:津山文化センター エントランス②

0086:津山文化センター 大ホールのホワイエ

0086:津山文化センター 大ホール入口

0086:津山文化センター 大ホールまわりの壁面

東側の大ホールの玄関は締め切りだったので、西側のエントランスから内部を少し撮影していると「今日は桜祭りのイベントで人が多く出入りするので写真は〜」ということで即退去. せっかく来たので内部みたいな〜と思ってたのですが、ホール関係者の慌てぶりを見ると邪魔するのも悪い. 結局ホールは見れず、ホワイエなどは窓からの撮影で我慢です.

ホール外周やエントランスの壁面にビッシリとはられた黒・橙のタイルは津山の陶芸家 白石齊(しらいし ひとし)氏によるもの. 私個人としては日本瓦をモチーフとしたように見える面白いデザインだと思います. もう一つ気になっていたのが大ホールのホワイエ中央に吊り下げられた照明(内観写真3枚目)で、非常に小さい丸球のペンダントライトを異なる高さで吊り下げて、星のような演出をするユニークな仕掛けに感じました.

竣工が1966年ということで先述した「香川県庁舎」や前川國男氏の「東京文化会館」などが近作になることから、コンクリートという新素材でいかに造形的なデザインを実現させるのかという背景が当時の一つの流れにあったと想像します. そういう意味では当館もその潮流を今に残す貴重な近代建築ですね. 津山へ来た際は是非、ではでは今回はここまで〜


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