あべのハルカス - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

あべのハルカス

           
0100:あべのハルカス メイン

0100 - あべのハルカス
竣工:2014年
設計:竹中工務店(設計)/ シーザー・ペリ(外装監修)
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43
賞歴:2015年BCS賞

皆様どうも. 今回で建築スポット紹介100件目となり、無事に到達できたことにホッとしています. 初月時は一日につき0〜1人という訪問者数も、多い時には40人以上が訪問してくれるまでに成長し、私が今まで続けらえている原動力にもなっています. 訪れてくださった皆様本当にありがとうございます. 最終到達目標である4桁としてはまだ1/10という初期地点ですが、今後も全国の建築スポットを紹介し続けられるように継続してまいりますので宜しくお願いします.

記念となる100回目は、私の地元である関西が誇る高さ日本一の300m高層ビル あべのハルカスをご紹介します. 2014年の春に開業したことで、それまで高さ日本一の高層ビルだった「横浜ランドマークタワー」の296mを更新. 大阪屈指の空のスポットとして、休日は展望台目当てで多くの観光客で賑わう大阪の日本一をご紹介していきましょう.
0100:あべのハルカス てんしばから①

0100:あべのハルカス てんしばから②

0100:あべのハルカス MIO側から①

0100:あべのハルカス MIO側から②

トップ絵を含めた初めの3枚の写真は、ハルカスの北東に広がる『天王寺公園』の芝生エリアから見たものです. 奈良や和歌山、関西空港をつなぐJR天王寺駅と、橿原神宮や吉野につながる近鉄阿部野橋駅という2大ターミナルがあびこ筋をを挟んで建っていることから『あべの・天王寺』と合わせて呼ばれるこの地区は、近年では『キタ(梅田)』『ミナミ(難波)』に次ぐ大阪第三の都市として多くの賑わいを見せています.

あべのハルカスはこの2大ターミナルが集う近鉄側にかつて存在した「近鉄阿倍野橋ターミナルビル」を建て替え、複合高層ビルとして開業したものです. 館内には近鉄百貨店の他にオフィスやホテル施設、加えて美術館も存在するなど、様々な施設がタテに積み上げられたその様相は『タワー型都市』と称されます. 設計は竹中工務店が担当し、外装には建築家 シーザー・ペリ氏が監修として加わっています. ペリ氏といえば大阪では中之島の「国立国際美術館」を手掛けたことでも有名です.
0100:あべのハルカス ビル西側①

0100:あべのハルカス ビル西側②

0100:あべのハルカス キューズモールから見上げる

次は西側(あべの筋側)から撮影したものを. 通りの中央には大阪唯一の路面電車である阪堺上町線が通ります. こちらから頂上を見るには首を真上にグッと曲げる感じになり、結構しんどいです. 個人的な印象ですがビルの地上部分みると、とてもこれが日本一のビルとは思えない印象を受けます. 多分その一因は敷地ギリギリまで建ててしまい、加えて周辺にも雑居ビルがひしめくため、十分にタワーを眺められる広い場所が天王寺公園ぐらいしかないからでしょう. なのでタワーに登る方は、その前に公園に立ち寄って高さを感じるのがいいかもしれません.

タワー部分1階は近鉄南大阪線の大阪阿部野橋駅となっており、ここから富田林や河内長野などの大阪南部、橿原神宮や吉野などの奈良中部へとアクセスしています. 吉野の桜シーズンやPLの花火大会では多くの観光客でごった返すそうです. この駅はもともと今の改札口の付近まで線路が延びていましたが、建て替えに伴って線路の終点を35mほど西方向に移動. 移動して空いた部分は南北をつなぐ自由通路として活用されています.
0100:あべのハルカス ウェルカムガレリア①

0100:あべのハルカス ウェルカムガレリア②

0100:あべのハルカス 途中階からガレリアをみる

0100:あべのハルカス ウイング館旧レストランフロア

こちらは低層階である『近鉄百貨店』です. このビルは300mのタワー部分となった「タワー館」と既存館である「ウイング館」の2棟に分けられ、百貨店はこの2棟を『ウェルカムガレリア』をはじめとするエレベーターが配備された吹き抜け空間でつないでいます. 両棟をつなぐ通路がスキップフロアになっているのは、タワー館の高さを合わせたらウイング館のフロア位置とズレてしまった苦肉の策と推測しますが、その真相はわからないままです.

建て替えによって姿を消した旧本館(西館)は、近鉄の前身会社である『大阪鉄道(大鉄)』の百貨店として「南海ビルディング」などを手がけた久野節(くの みさお)氏の設計で1937年に開館. 1957年の増築以降は村野藤吾氏が増築・改装を手がけていました. 1984年に村野氏が死去したため、その後は弟子たちによって駅舎の改装が1988年に完成. 白の花柄ファサードの美しい百貨店建築でした.

ウイング館として残った既存棟もかつての花柄ファサードは消え、色変わりしたエレベーターの内装などで辛うじて残すのみですが、当時のレストランフロアであった吹き抜けスペースは『まちステーション』(写真4枚目)というワークショップスペースとして今でも残っています. ウイング館へ行けば、村野氏のデザインがまだどこかで残っているかもしれません.
0100:あべのハルカス 展望台ロビー階

0100:あべのハルカス ハルカス美術館

0100:あべのハルカス 16階庭園①

0100:あべのハルカス 16階庭園②

0100:あべのハルカス 16階庭園からの景色

エレベーターに乗って16階へとやってきました. この階には屋上展望台への受付ロビーと美術館、そして外の景色を楽しめる野外庭園があります. 美術館は面積上保管スペースがないため、特別展しか開催できず観覧料はお高め. ですが屋上展望台とセットで買えば、展望料金とのトータルでお安くなります. 展望台と美術館が両方見たい方はセット券を買いましょう.

16階の庭園へは入場無料で、その高さは通天閣と同規模の80mとなかなかの高さ. 眺め(写真5枚目)も十分ですので、展望台に行かない人でも気軽に大阪の眺望を楽しめます. この庭園のさらに上層にも庭園があるのですが、そちらはホテルの庭園になるため宿泊客しか入れません. 高層フロアになる「大阪マリオネット都ホテル」は一泊最低9000円程度. 少しお高めですが、この付近を観光する際はぜひ.
0100:あべのハルカス 17階オフィスロビー①

0100:あべのハルカス 17階オフィスロビー②

0100:あべのハルカス オフィスロビー天井

0100:あべのハルカス ロビー階のカフェ

16階フロアからエスカレーターを昇って、17階のオフィスロビーへとやってきました. 2フロアほど大きく階高が設定された広々としたフロアからは、先ほどよりも高い位置から大阪市内を眺めを望めます. 加えてこちらにはカフェが併設されているため、コーヒーを楽しみながら展望を楽しむこともできます. 何気にコンセント付きなのが個人的には嬉しいポイントでした.
0100:あべのハルカス 展望台エレベーター

0100:あべのハルカス エレベーター内部

0100:あべのハルカス 展望台①

0100:あべのハルカス 展望台②

0100:あべのハルカス 展望台③

0100:あべのハルカス 一部がガラス張りとなった床

0100:あべのハルカス 展望台トイレ①

0100:あべのハルカス 展望台トイレ②

それでは16階のロビーから入場料払って屋上展望台へと参りましょう. 料金は大人1500円ですが、先述の通り美術館のセット券を買えばトータルで安くなるので、できれば目当ての美術展を狙ってセットで訪問したいところです. エレベーター内では写真2枚目のように設置された電飾が流れ星のように通り過ぎていく面白い仕掛けが楽しめます.

エレベータに乗ってまず到着するのは60階の『天上回廊』です. ロの字にぐるっと配置された回廊からは大阪梅田の高層ビル群や明石海峡大橋、関西国際空港などを見渡すことができます. 300mという場所から大阪市内を見渡すその光景は壮観以外の言葉がない素晴らしいものです. 当日は途中から雲が霞み始めたため奥の見通しは悪かったのですが、十分に楽しむことができて満足でした. 展望フロア内のトイレは全面カーテンウォールというスケスケのものになっていますが、ヘリでもない限り外部からは見られることはありませんのでご安心ください.
0100:あべのハルカス 天空庭園

0100:あべのハルカス 庭園上の「300m」

0100:あべのハルカス 庭園のデッキ

0100:あべのハルカス 庭園脇の植栽

0100:あべのハルカス 庭園でくつろぐ人々

こちらは58階の『天空庭園』です. 3面を巨大なカーテンウォールが囲み、庭園一面にウッドデッキが敷かれています. 今までの展望室は回廊内を歩きながら眺める60階の回廊タイプが一般的だったので、これほどの高さの場所に緑が整備された広い空間があるのはすごく新鮮に感じます. 植栽が植えられ、椅子やテーブルが備わったその雰囲気は公園に近いものがあり『日本一高い場所にある公園』と呼んだほうがシックリくる、非常に気持ちのよい庭園でした.

長々となりましたが、今回はここまでです. 今も日本一高い高層ビルであり続けるハルカスですが、東京では2027年に高さ390mもの高層ビルが計画されているということ. 大阪に来た際は一度は訪れてほしい超高層タワー、日本一の称号が消える前に是非. ではでは今回はここまで〜


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プロフィール

的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

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【2023.1.22】 「鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ」の「21.山梨県【中部】」を公開しました.

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活動実績(写真提供・寄稿等)

◆『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました. 『近代建築』バックナンバー

◆『トラベル.jp たびねす(現:トラベルjp 旅行ガイド)』のライターとして、以下の建築スポットガイド記事を寄稿しました.【2016〜2018年在籍】

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