




外観から撮影した写真を掲載しています. 隣のセンタービルと比較すると間口は狭まり非常にすっきりした印象. 両端に引っ付いた細いビルもアポロビルの一部です. 建物中央部にビッシリとカーテンウォールを張り巡らせるスタンスは、開口部を小さく配置しやすい村野氏の作品の中では珍しいものに感じます. 窓ガラスも茶色で着色された遮光性の高そうなもので、周辺からの光の反射で紫や橙などの色合いがガラスに映るのは見ていて面白いです.
両端部の意匠
(写真3枚目)は特にユニークで、細長ビルの手前部分に備わった、地上に向かうほどに広がる独特な形をしたコンクリート壁には、松のようで猪目のような独特な模様
(写真4枚目)が設えられています. またカーテンウォールの両脇に設けられた細いベランダも「フジカワ画廊」から用いられている村野氏のビル意匠のひとつで、手摺に施された天使の翼のようなデザイン
(写真5枚目)も建築的ポイントです.




歩道橋を渡ってビルの手前まで来ました. 数年前にそれなりの規模の内装工事を実施したため、玄関部分は今風な感じのものになっています. カーテンウォールは窓枠の間に溝のある興味深い形
(写真2枚目)をしていましたが、これ以上のディティールに関しては今のところサッパリわかりません. ビルの両端に付いた細いビルは角の部分をカーブさせてへこませる
(写真4枚目)という、村野氏らしい細い装飾が確認できました.
アポロビルを運営する『きんえい(近鉄映画劇場)』は近鉄の前身である大鉄時代から続く老舗企業. そしてアポロビルの前身となる「アポロ座」も1950年から続いた由緒ある劇場ということで、劇場・映画で長くやってきた地盤が今の映画館の賑わいをつくっているのだと思います. ちなみにアポロ座も村野氏の設計でしたが、現存はしていません.
内観は先述した内装工事のためかなりリニューアルされており、当時から残るものは恐らく地下の吹き抜けにある青銅の手摺ぐらいと思われます. 開館から40年以上は経つので老朽化も目立つ時期ですが、映画館含めて長く残っていてほしいものです. 竣工としてはセンタービルよりも更に2年後と更に後期に入る作品ですが、村野氏デザインの意匠が多く用いられており個人的に好きなビル建築です. 気になった方は是非、ではでは今回はここまで〜
※ お詫び
写真健全化に伴い、以前まで掲載していた内観写真の公開を停止して文章を再構築しました.※ ビル記事が存在しないため、Googlemapでは「きんえい アポロ事業部」を表示しています.
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