2016/05/26



ビルは「大丸心斎橋店」の北館に隣り合うように建っています. 去年の冬の撮影のため、ヴォーリズが設計した本館も解体前の状態で写っています. 『LVHM(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)』はファッション業界における世界最大の複合企業として知られ『Louis Vuitton』や『Dior』、時計メーカーの『Tag Heuer』などもここの傘下ブランドです. そのためビル低層部には『Dior』や『FENDY』などの傘下店舗が入居しています.
村野藤吾氏の傑作として知られた「そごう大阪店」の別館跡地を買い取り、2004年に竣工したこのビルは「エトワール心斎橋」という名でも知られています. 設計を手掛けたのは隈研吾氏. 隈氏はこの前年に同じくLVHMグループの複合ビルである「ONE表参道」を手掛けており、その縁で手掛けた作品であると推測します. 木ルーバーのファサードが印象的な表参道のビルと比較すると、こちらはガラスと石という素材が中心です.



オフィスフロアに該当するビルの上階を見ると、ガラスの奥に薄い大理石を貼り付けたような不思議なファサードをしています. この大理石に見える部分はパキスタン産グリーンオニキス(厚さ4mm)を合わせガラスにしたもので、外からは大理石のような表面で内部の光景を遮断し、内部からは太陽の光がかすかに入ることで石のテクスチャが開口いっぱいに映り込む、普通のガラスと一線を画す透明感を演出しているということです.
ビルの屋上部に目立つ星は低層部の『Dior』のマークとして知られるもので、東京の「Dior表参道(設計:SANAA)」や「Dior銀座(設計:乾久美子)」にも屋上に星があります. ちなみに日本独自かと思って海外も調べてみたらマイアミ店やソウル店でも確認でき、これは世界共通のようです. 写真3枚目はビル北側にある入り口奥のエレベーターホールですが、こちらも外装同様の石材を用いた合わせガラスがびっしりと使われていました. これはこれでゴツい印象を受けます.


上が事務所フロアなため内部に入ることはできませんでしたが、もう一つだけ建築要素を述べるならば低層部にある「Dior心斎橋」の店舗ファサードです. こちらは「Dior銀座」を手掛けた乾久美子氏がファサードデザインを手掛け、銀座店と同じファザードをミニサイズながらも再現したものとなっています. 仕組みを述べると銀座店の記事が書けなくなってしまうので控えますが、銀座に行くのが遠い西日本の方は大阪心斎橋でみれますので是非. ではでは今回はここまで〜
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