2016/06/23





建物へは地下鉄烏丸御池駅から5番出口をでて約1〜2分ほど歩いた先にある、赤レンガが特徴的な建物が目印です. 途中同じ赤レンガの外壁が特徴的な「中京郵便局」があるので、見間違えないように注意です. 三条通の遠方から見ても非常に目立つ赤レンガと1階部分に目立つ白い花崗岩の横帯、近代建築に詳しい方ならこれが『辰野式』だとピンとくるでしょう. 青銅屋根(写真3枚目)や窓のペディメント(写真5枚目)を細かく設える一方で、玄関部分を力強い石の装飾(写真2枚目)で仕上げているのが印象的です.
日本銀行の旧京都支店ということで有名な当館ですが、1906年の竣工直後は『日本銀行京都出張所』という扱いで新築移転されたのが始まりで、支店に昇格したのはそこから5年後の1911年からです. 設計を手掛けたのは『辰野式』(「JR東京駅舎」参照)でおなじみ辰野金吾氏と、その弟子である長野宇平治氏です. 辰野氏はこれ以外にも大阪・小樽で日銀支店を設計していますが、辰野式として現存する日本銀行建築は、この京都支店だけです.






それでは館内へ. 日銀支店としての役目を終えた後は『平安博物館』という古代学専門の博物館として使用され、1988年当館北側に『京都文化博物館』が完成以後は、その別館として扱われていました. 現在は企画展がない場合でも入場可能で、写真撮影も自由. 平面図(写真1枚目)をみると、内部は中央ホールの両脇に小部屋が並んだ配置で、奥に歩けば博物館本館と繋がる中庭にでられます. 応接間や所長室だった東側の小部屋は、現在ギャラリー等に利用されています.
写真2枚目以降はこの別館のメインとなる中央ホールの写真です. 真っ白な白漆喰に柱・天井・2階回廊を木色で設えることで、どこか和の趣がある温かい空間に感じさせています. 京都らしさを加味しての内装でしょうか、とても日銀の営業室として使用されていた空間とは思えないほどの素敵な場所です. とりわけ天井のデザイン(写真3枚目)や回廊支えの透し彫り(写真5枚目)には、その見事さに脱帽してしまいました.





そしてこちらは建物裏側に位置する中庭です. 京都の市街地ど真ん中のロケーションなのですが、赤レンガだけを見ながら落ち着けるというのはなかなかに気持ちがいいです. 上を見上げると2階の窓が完全締め切り(写真2枚目)になっていて、締め切るとあんな感じの緑が見えるのか〜と新しい発見も. さらに脇にあるコーヒー店の扉を見ると金庫のように分厚い. どうやら店があるのは元々金庫室だったところのようで、奥には未使用の扉(写真5枚目)が残されていました.






一通り撮影も終わって歩いていると「〜はこちらへ」という案内(写真1枚目)が. 普段は入らない場所だと思い進んでみると、そこは西廊下に相当する場所. 東側はギャラリーとして廊下の要素が薄かったので、この建物内で天井の高い廊下というのがある意味で新鮮に見えます. そしてその先には2階へとあがれる螺旋階段が. 天井の木のデザイン(写真4枚目)から手摺(写真5枚目)まで見事な装飾で設えられていました. 何気に窓のキャットウォーク(写真6枚目)がアール・ヌーヴォー調だったのも個人的に興味深いものでした. 三条通に残る辰野建築へあなたも. では今回はここまで〜
【追記 2017.1.23】
こちらでは2016年冬の夕方頃に再訪問した際の写真を掲載しています. 撮影時にあった玄関西側のバリケードは取り外され、外観全体を綺麗に眺めることができるように. しかし西まで延長されたウッドデッキを歩きながら考えたのが、なぜ道路から玄関までこんなに高低差があるのか. デッキから玄関手前までをトータルすると7段ほど階段がある(写真4枚目)ことに謎を感じながら建物を後にしました.




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