奈良市写真美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

奈良市写真美術館

           
0012:奈良市写真美術館 メイン

0012 - 入江泰吉記念 奈良市写真美術館
竣工:1991年
設計:黒川紀章
住所:奈良県奈良市高畑町600-1
賞歴:1992年日本芸術院賞
   1993年BCS賞

今回は平城遷都1300年からあっという間に5年が経過した奈良県から奈良市写真美術館の紹介です. この美術館は奈良大和路の風景や文化財を撮り続けた写真家 入江泰吉の作品を保存・研究することを目的として建てられました. 場所は奈良公園の南にある新薬師寺の西隣に立地しています. 学校や住宅街のある閑散とした町並みの中に、本瓦葺きの巨大な大屋根を携えたシルバートーンの本館が見えてきます.

設計したのは建築家 黒川紀章氏. 以前に晩年作である「国立新美術館」を紹介しましたが、それよりも16年前の作品です. 同時期に「きびプラザ [1992年]」や「和歌山県立近代美術館・博物館[1994年]」を手掛けていますが、初期の「寒河江市庁舎」が1967年なのを考えると、この作品も大分後の作品になります. 佇まいを見る限りではモダニズムというより、奈良という和の町並みを意識した形態に見えます. 恐らく隣にある新薬師寺に対する景観配慮でしょう. ちなみに黒川氏は、この美術館で日本芸術院賞を受賞しています.
0012:奈良市写真美術館 外観①

0012:奈良市写真美術館 外観②

外観は至ってシンプルで、寄棟屋根平屋建一棟のみが敷地北側にあるという配置で、本館南側には池のある庭園が広がってます. 池の真ん中にはオブジェも設置されていました. 外壁の殆どがガラス張りとなっているため、まるで巨大な大屋根が浮いているかのような印象を受けます. 加えて屋根の庇も非常に深く、4m程張り出しているということです.

では肝心の展示室はこの平屋建ての中なのかという問題ですが、実はこの展示室は地下に設けられています. 敷地南西側は少し地形が掘り下がったサンクンガーデン(半地下構造)となり、池の下部分が展示室になります. 主要機能を地下に潜り込ませ、建物のボリュームを小さくみせることで、周辺景観を極力壊さないよう配慮されたこの建築プランは、現代の建築でいうと「竹中大工道具館」(設計:竹中工務店)のような建築を思い起こさせます.
0012:奈良市写真美術館 内観①

0012:奈良市写真美術館 内観②

0012:奈良市写真美術館 内観③

それでは内部に入ってみましょう. 内部は外部の和の佇まいとは一転して、近未来&メタリックな空間がありました. 空間中央に地下へ降りる階段から、展示室へ向かうアプローチとなっていました. 個人的に階段スペースの壁面に貼付けられた家紋? が可愛らしく思えましたが、グネグネとうねる手摺の有用性がなんなのか全くわかりませんでした. いやまぁ面白いんですけどね… 地下1階のサンクンを見れる開口を除くと、緑のある緩やかな上り坂なのはまだ良かったのですが、その先が塀というのはもう少しなんとかならなかったのか、残念です.

そんな奈良にひっそりと佇む黒川建築、皆さんも是非一度. それでは今回はここまで~


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