2016/07/07





ツアー当日は内部見学はできなかったため、ここでは外観からの撮影写真のみでの紹介となります. 「直島小学校」のすぐ西隣に建つこの中学校は、1979年に建てられた「本校舎」と、その3年前にあたる1976年に建てられた「体育館・武道館」の2つの建物で構成されています.
校庭の北側に建つ「本校舎」(写真2・3枚目)は、外壁面の角度が所々で折れ曲がった独特な外観. 外壁のラインをみるに、山の等高線に沿わせているようにもみえます. 校舎の外壁(写真4枚目)をよくみると、まるでカプセルユニットのようなデザインになっており、黒川さんの「中銀カプセルタワー(1972年竣工)」のようなメタボリズム建築を彷彿とさせているのが印象的でした. 1階部分はピロティになっており、一部の柱が抜き取られたような跡(写真5枚目)があるのですが、これは後年に強度的には不要となり、開放感を優先して取り外されたもののようです.




校庭の西側には「体育館・武道館」が建っており、外観は本校舎と同じものに統一されています. 本校舎よりも3年早く体育館ができるなんて妙だなと思ってましたが、町民体育館・武道館としての機能も兼用しているということで、学校施設ではなく公共スポーツ施設として優先的に早く完成させたのでしょう.
武道館の入口には青銅葺きのご立派な屋根(写真2枚目)が設けられ、ザ・武道館という立派な佇まいです. 「直島町役場」の屋根のように、恐らく武道館の屋根の青銅も、三菱鉱業(現 三菱マテリアル)からの寄付によって完成したものではないかと思います. 直島が三菱精錬所の企業城下町であることを象徴づけるものです.




体育館・武道館で非常に気になったのはピロティの柱. 本校舎には柱の断面よりも一回り大きい柱頭が取り付けられているのですが、こちらではそれが省かれています. 加えて柱の上部分からは、柱と比べると非常に細い白柱(写真2枚目)が飛び出ており、よく見るとこの白柱が構造材となって上部分を支えています. 列柱の存在感を強調するために、あえてこの太さにしたのでしょうか. 建物の軽重感がわからなくなる不思議な仕掛けです.
写真4枚目は扉越しに撮影した写真で、左手には体育館、右手には体育館のステージが見えています. 実はステージの右奥部分は武道館の柔道場・剣道場と繋がっており、演劇などで舞台を使用する場合は武道館のスペースを舞台裏とすることで、施設を一体的に利用することができるようになっているそうです. 2つの施設を繋ぎ合わせて劇場空間にするという石井氏の画期的な仕掛けが取り入れられていますが、内部が見れないのが非常に惜しいです. ではでは今回はここまで〜
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