




体育館へは電車であれば琴平電気鉄道志度線の今橋駅下車して徒歩15分ぐらいですが、乗り換えがあったり列車の本数が少なかったりと若干不便なので、高松駅からレンタサイクルを借りたほうが早く到着できます. 体育館は東西に先端がドーンと突き出た和船のようなデザインをしており、『船の体育館』という呼び名で親しまれています. 巨大でダイナミックながらも美しい反りのある先端部分は、敷地西側の大通りからでも悠々と確認できます
(写真1・2枚目).
それではまずは大通りに面する西側の外観です. 菱形状のスラブが連続する非常にゴツい見た目をしたコンクリート部分は『ワッフルスラブ』
(写真2枚目〜4枚目)とよばれ、この先端を突き出す大胆なデザインを実現させるとともに、片方向にあるおよそ600席以上のアリーナ席の荷重を支えています. 構造体そのものがデザインとして力強く表現されているのは非常にカッコいいです.



ここからはぐるっと外観を回っていきます. 船の横部分になる南側の外壁中央には巨大な雨樋(ガーゴイル)がニュッと突き出ています
(写真2枚目). 壁面に並ぶ大きな丸穴は空調用の吸排気口でしょうか、内部に取り付けられた鉄パーツのデザインも見ていてカッコいいですね. 雨樋の真下にある日本庭園がバリケードで塞がれていたり、オレンジ調の外壁が結構汚れていたり、閉館後の扱いのずさんさが目についてしまうのが残念です.
全体的に宙に浮いたようにみえる体育館は、4方向にある巨大な台座
(写真3枚目)によって支えられています. この部分だけをみると、そのドッシリと地面につく姿は亀の脚のような自然生態的な力強さを感じさせます. この台座は館全体を支えるだけでなく、体育館に架けられた「国立代々木競技場」と同じ仕様の吊り屋根のケーブルを支えるアンカー(支点)としての役割も兼ねています.






そしてこちらはメイン玄関の反対側にあたる東側です. 飛び出た先端部の真下は駐車場
(写真1枚目)となり、事務室やトレーニングルーム・用具室などの部屋がこちら側に並んでいます. 2本1対のように設えられた柱デザイン
(写真2枚目)や、室外機が置かれた2階バルコニーのコンクリートデザイン
(写真3枚目)など、大胆な船の外観に隠れたモダニズム建築の意匠が垣間見えるのが東側のポイントです.
東側外観の脇には職員用の出入口
(写真4枚目)があるのですが、その部分を仕切る黒枠の窓デザイン
(写真5枚目)がこれまた見事なもの. 一見バラバラなようでリズミカルなこのデザイン、個人的にはコルビュジエの『オンデュラトワール』と似た印象を受けました. 丹下氏もコルビュジエの影響を少からず受けていたということでしょうかね.
先述したとおりこちらの体育館は2014年9月に閉館済みで、今後の活用も未定のまま放置状態になっています. 近年ではこの体育館を保存しようと地元建築家有志で構成された『香川県立体育館 保存の会』
(HPサイト)が活動しているようですが、香川県側は5000席以上のアリーナをもつ新体育館の基本計画を年度内に策定することを決めており
(ニュース記事リンク)、新体育館建設後の動向が注目されそうです.
近年中に取り壊される危険もありますが、個人的には内部アリーナをカメラに収めておきたいところ. こういう建雄が消えていくのは非常に惜しいので、保存活動を頑張っていただきたいです. ではでは今回はここまで〜
◆ この記事に関連する建築マップ
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瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ
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