2016/07/29





美術館は岡山電気軌道城下駅を降りて北へ歩いてすぐの場所にあります. 外観は白の石貼りと緑掛かったタイル材の冴える建物で、とりわけ石貼りのボリュームは採石場の岩肌のように綺麗に整形されたような、美しくも重厚感に満ちたものになっています. 道路側の列柱(写真3枚目)は荒い表面の石貼りに三角形型の柱頭を取り付けたユニークなもので、建物南側にあった搬入口?のデザイン(写真5枚目)も裏口ながら気合いの入ったデザインです.
『県美』の愛称で親しまれるこちらの美術館は、旧県庁舎が位置していた天神山の県保有施設の再開発として計画され、1988年に完成しました. 設計を担当したのは「最高裁判所」の設計を手掛け得たことで有名な建築家 岡田新一(おかだ しんいち)氏です. 先でも述べたように、採石場の岩のような巨大なボリュームを美しく見せるのが印象的な建築家で、作品の一つである「宮崎県立美術館」では日本芸術院賞を受賞. この美術館もJIA25年賞として表彰される作品です.





それでは館内へ. エントランススペース(写真1枚目)は柱頭部分が間接照明となった柱が並ぶユニークな空間. エレベーターまわり(写真2枚目)には三角形のデザインが散りばめられており、そのデザインは天井照明の部分にまで及ぶ徹底ぶりです.
館内は地下1階・地上2階の3フロア構成. 当日開催されていた展示室は2階展示室のみで、エントランス左手の階段(写真3枚目)をのぼっていきます. 途中の踊り場からは、巨大なリブガラス越しに中庭を見ることができ、実際に外に出て一息つくことが可能(写真5枚目). 石でできた椅子はこの美術館オリジナルのものでしょうか. カッコイイですが、持ち運びが大変そうです. ちなみに中庭北の竹林の奥には前川氏の「天神山文化プラザ」がみえます.





展示室への階段の左側に非常に大きな吹抜け空間があったので、階段を逸れて地下フロアに降りてきました. 地下から2階までのフロアが吹抜けるこちらは「屋内広場」と呼ばれ、写真2枚目のように美術館の内部を広く見渡せる場所になっていました. 先ほどの階段の奥に、中庭の竹林の緑が視線として通っているのもいい感じです. 広場の北には特製の長椅子が設えられており、小舞台としても利用できそうなのですが、当日は何もなく殺風景なのがもったいない感じでした.
地下フロアにも展示室があるのですが当日は締め切りでしたが、その入口脇にあるサンクン(半地下)のような空間には鉄でできたオブジェが設えられていました. 作品名・著者名が記載されてなかったので、岡田氏自身が空間とセットで手掛けた美術作品のようにもみえますが、真相は謎です.
他にも美術館の東側にはホールがあるということだったのですが、こちらも閉鎖中でした. ちょっと見学のタイミングが悪かったかなとは思っているので、次回訪問したときにでも見れたらと思います. ではでは今回はここまで〜
◆ この記事に関連する建築マップ
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