2016/07/31





まずは「県立美術館」の西側にある坂道(写真1枚目)をのぼって、プラザの南側駐車場から外観を見ていきます. 南側ファサードで特徴的なのは(写真2枚目)十字格子のように組まれたコンクリート製のルーバー. コルビュジエの弟子だった前川氏なので『ブリーズ・ソレイユ』という表現が近い気がしますが、奥行きが本家と比較すると短かったり、2階の開口ラインと少しずれさせることで、窓とルーバーによるリズミカルな表情を生み出しています.
1階のピロティ部分(写真3枚目)は、ご覧の通り天井一面が鮮やかな黄色仕上げ. コルビュジエの色使いに影響されている作品としては「東京文化会館」や「弘前市民会館」がありますが、ピロティの天井一面を黄色で仕上げたのはここぐらいでしょう. 暗い空間になりやすいピロティですが、とても明るく感じられるのがいいです. ピロティ中央部は吹抜けで、壁面には彫刻家 山縣壽夫(やまがた ひさお)氏のレリーフ(写真4・5枚目)が展示されています.





それでは館内に入っていきましょう. 手掛けた時期が「東京文化会館」と重なるためか、入口のデザイン(写真1枚目)は文化会館と似たものになっています. 2005年にリニューアルされたためか、廊下(写真2枚目)は比較的新しい感じです.
中でも目を引いたのは、2階フロアにある「ロビー」(写真3枚目)です. 2フロア吹抜けの広々とした空間で、ピロティ部の吹抜けにつながった奥のガラスからは太陽の自然光が差し込みます. 天井は一面がネイビー色で、夜空の星のような散らばり方をする照明デザインもいい感じ. さらには、カッターで切り込まれたような独特の窪み(写真4枚目)や、三角形状に彫り込まれたハイサイドライト(写真5枚目)などのユニークな意匠も、このロビー空間ならではの面白いポイントです.




ロビーの西側出口からでて、めくれ上がったようなコンクリートの玄関庇(写真1枚目)や、長方形の開口がリズミカルに開けられた踊り場の壁面デザイン(写真2枚目)をみながら、西側の地上階(建物としては地下1階)まで降りてきました.
西側の外観(写真3枚目)は、先ほど南側から見た大きなボリュームを細い何本ものピロティが支えるダイナミックな佇まい. 駐車場側から見た時は、このようになっているとは想像もしてなかったので驚きです. よく見ると、中央が大きく開いた上層階のボリュームは、坂倉氏の「神奈川近代美術館 鎌倉館」にそっくりなので、弟子同士似るものだな〜と思ったりもしました.
個人的には色彩・ピロティ、そしてファサードに至るまで、コルビュジエの後期の意匠に一際強く影響されたようなデザインが多く見られ『コルビュジエの作風を忠実に再現した』という表現が自分的にはしっくりくる、前川建築の中でも珍しい作品ではないかと考えます. 興味のある方は是非、ではでは今回はここまで〜
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