



美術館は、広島市街地の東を流れる『猿猴川
(えんこうがわ)』沿いにある名勝庭園『縮景園
(しゅっけいえん)』
(写真1枚目手前が庭園入口)の西隣に隣接しています. 広域地図としては広島駅と広島城のちょうど真ん中あたり. 路面電車では八丁堀電停から乗り換えが必要ですが、軌道線が大回りとなるため、広島駅からならば歩いた方が早い気がします. ちなみに、ここから南西へ500mほど進むと、村野藤吾氏の代表作である
「世界平和記念聖堂」があります.
美術館正面は、広島電鉄の軌道線が通る大通り側に面しています. ベージュ調のタイル外壁に、石材タイルが横帯を形成する落ち着いた色合いをもつ外壁ですが、個人的に驚かされたのはそのデカさ. 一般的なビル8階相当の高さに加え、そのボリュームが東西におよそ100mほどまでグーン伸びています. この垂直性の効いたボリュームや、かまぼこ型の屋根デザインなどもあって、ビルというよりも西洋の教会のような佇まいを感じさせます.
中国地方初の公立美術館として1968年に誕生したのがこちらの美術館. 現在の建物は日建設計によって1995年に竣工した新館です. 県立美術館としての歴史は半世紀程度ですが、かつてこの場所には『縮景園』を有した旧広島藩主の浅野家による国内初の私立美術館『観古館
(かんこかん)』が1913年に開館しており、そこから計算すると100年以上の歴史がある全国でも珍しい美術館でもあります.





それでは展示室以外の撮影許可をもらって館内へ. 美術館のメインとなるのが、こちらの3階まで吹抜けのアトリウム空間である「メインロビー」
(写真1枚目)です. エスカレーターや空中廊下が頭上を跨ぐこの大空間もすごいですが、巨大なカーテンウォールを通して連続する『縮景園』の緑
(写真2・3枚目)が非常に気持ち良い. ロビーには誰でも無料で入れるので、休憩するにはもってこいです.
縮景園側のカーテンウォールの反対側は、床が地下フロアに連続するもう一つのアトリウム空間
(写真4・5枚目)があり、地元の方や鑑賞客が休憩できるスペースとして利用されています. 全体的に各フロアの天井高が非常に高く、一般的な美術館よりも開放感があり、広島県は空間的な部分で贅沢にお金をかけているな〜という感じでした. 先の2つの美術館も含めて、広島中心部の美術館は全体的に質が高いですね.





それではエスカレーターをあがって2階から上のフロアへ. 美術館は2階は常設展、3階は特別展の展示室は配置されています. 常設展は大人510円と、県立美術館の中では少しお高め. 常設展で初めに入る「彫刻展示スペース」は、3階までの2フロア吹抜けとなった大展示空間だったのが印象的でした. 2階の空中廊下
(写真2枚目)は出口用の通路のため、チケットがなければ歩けませんのでご注意を.
そしてアトリウムの最上階となる3階へ. 1階にあった休憩スペースの真上にあたる「展望ロビー」
(写真3枚目)にも、ご覧のように庭園を見れる休憩スペースが設けられていますが、こちらはわざわざチェアーを庭園側に向けて景観を楽しめるようになっています
(写真4枚目). リブガラスを使用することで、サッシュや鉄骨をなくし、より広々を庭園を楽しめるのもこの展望ロビーならでは. 鑑賞チケットなしで行けるのでオススメです.
県立美術館というと公共側の建物のため、建築スポット的にはイマイチなものも多いのですが、『縮景園』という景観の力を全面的に活用したパブリック空間は素晴らしいものでした. 興味のある方はぜひ一度. ではでは今回はここまで〜
- 関連記事
-
コメント