



それではまずは阪急西宮北口駅の南出口からスタート. 余談ですが西宮市の中心部にはJR・阪神・阪急の3社の駅が近くもなければ遠くもない微妙な距離をとって配置されています. 個人的には西宮ガーデンズのある阪急には芸術・文化施設が、JRには商業施設が、阪神には市役所や銀行支店などの経済・金融施設が各駅の特徴としてあるように思いますが、電車を間違えると30分ほど歩くはめになるので注意が必要です.
芸術文化センターがあるのはこの駅から南西に200mほどという駅近な場所にあり、南出口からは屋根のある連絡通路
(写真1・2枚目)で結ばれているため雨のときでも安心. 太陽光パネル?がビッシリと貼られたガラス屋根が、ユニークな影を作り出していました. 連絡通路を通ってまず到着したのは、花びら断面の列柱が印象的なペデストリアンデッキ
(写真3枚目). 朝方に撮影したため、いい感じの影が出来上がっていました.







2階のデッキから階段で地上レベルまで降りてきました. 芸術文化センターの入口となる敷地北東側には「高松公園」とよばれる緑のあるオープンスペース
(写真1枚目)が設けられ、その公園をL字に囲うようにプレキャストの列柱が並んでます. 列柱の奥はメタルポイントによるサッシのないガラスウォールがビッシリと張り巡らされ、近くでは内部の空間と連続し、遠目では街の風景がガラスに映る
(写真3枚目)といった透明感のあるガラスが非常にカッコいいデザインでした.
芸術文化センターは阪神淡路大震災の文化復興のシンボル施設として、元々ニチイ(現在のサティ)があったこの場所に建設され、2005年に開館しました. 設計を手掛けたのは日建設計で、建築の素材感を活かしたデザインで「福山市中央図書館」や「大阪弁護士会館」など数々の著名な現代建築を手掛けた江副敏史
(えぞえ さとし)氏が統括として携わっています.







建物の東側で接する道路を南に歩いて行くと、淡い色合いをしたレンガ壁
(写真1枚目)を発見. レンガ壁はこの場所だけでなく外壁全体に使用されていますが、じつはこれタイル貼りではなく、54万個もの実際のレンガを使用しており、現場で実際に凹凸をつけて積み上げています. 本物の素材感を徹底的に突き詰めた、味わいのある壁面になっているのが実にイイです. 奥にある丸窓にも丁寧に並べられている
(写真4枚目)のが個人的にグッときます.
公園エリアから見ると建物の全体はわかりにくいですが、試しにグルッと一周してみると実際は超巨大な建物です. 例えば写真5枚目は南側から撮影した写真ですが、奥に広がるレンガ壁の全てが文化センターの建物. 手前に広がる住宅展示場と比較すると超巨大です. 西側から撮影した外観
(写真6・7枚目)をみてもご覧の通り. こちらは各ホールのフライタワーが入るためこのような大きいものになっていますが、『レンガの要塞』と形容できてしまいそうなそのスケールに圧倒されてしまってました.





それでは1階の入口からエントランスフロア
(写真1枚目)に入っていきます. 階段や壁面には色合いの強い木のムク材が使用され、コンクリートの色合いの空間で強い存在感を放っています. 階段は踏面が非常に大きく取られた緩やかなものですが、踏面の小さい階段に慣れてしまってる自分の足にとってはちょっと馴染みづらい階段でした.
天井には入口側に向かって広がるように、湾曲したプレキャストコンクリート
(写真3・4枚目)が使用され、硬い印象のあるコンクリートが柔らかい空間を全体的につくり出しているのが面白いポイントに感じます. 2階にはカフェも併設され、この空間内で一息つくこともできるようです.





そして2階にあがり、『ピアッツア
(イタリア語で「広場」)』とよばれる共通ロビーのスペースに到着. ガラス天井によって覆われたトップライト
(写真2枚目)は、ロビー全体を幻想的な白の空間に変貌させる見事な仕掛けです. ロビーの側には緑のあるテラス
(写真4枚目)が設けられ、あまり閉鎖的な空間になっていないのもいいところ. 中庭からのキツイ日差しも関わらず、ロビーの白さにあまり影響していないのも、丁寧な光の検討によるものだと思います.
このロビーから2000席の大ホール、800席の中ホール、400席の小ホールへの各ホールにアクセスできるのですが、当日は公演時間外のため全て締切でした. 各ホールはムクの木材によって包まれた温かみのあるホールということで、また後日お邪魔しようかと思います. 素材感への徹底ぶりもさることながら、それを活かした現代的なカッコいいデザインも加わり、個人的にはとても素晴らしい文化センターでした. 興味のある方はぜひ、ではでは今回はここまで〜
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