





ギャラリーは阪急夙川駅とJRさくら夙川駅の各駅から、ちょうど中間のエリアにある住宅街に建っています. 大通りを頼りに歩く場合は、県道82号線
(写真1枚目)の寿町交差点を西へ歩いてすぐと覚えておきましょう. ちなみにこの県道82号線を北に向かってしばらく歩くと、コルビュジエの弟子のひとりである吉阪隆正氏の名作「浦邸」がみえてきます.
そしてギャラリーに到着. 大きさが一般的な住宅程度の規模しかないため、周辺の住宅に隠れるようにひっそりと建っています. 隣の住宅が取り壊されて更地となっていたので、全体を広く撮影出来るいいタイミングでの訪問でした. 外観は「住吉の長屋」や「靭公園の住宅」などの明解でスッキリしたものとは対照的に、コンクリート壁が複雑に配されているのが印象的. 2階の入口スペースを覆うように折れ曲がったコンクリート壁と、それが視覚的に空へと通り抜ける額縁のような仕掛け
(写真5枚目)が個人的には好きです.
このギャラリーが出来るキッカケとなったのが1995年の阪神・淡路大震災. 当時古い家が多く残るこの地区一帯はガレキの山となってしまったそうです. この震災で家が倒壊してしまった現在のオーナー夫婦が、夙川の芸術文化復興に寄与できるギャラリーをと安藤氏に依頼したことで完成したのがこちらのギャラリー. 『小さい芽』というネーミングは、安藤氏が『このギャラリーが大きく育つように』と命名したものだそうです.






それではギャラリー1階の内部へ. 展覧会はおよそ2日〜1週間程度の小規模のものが月に数回程度実施されるスタンスで、冬や夏には長期休館もあるので、建築訪問の際はギャラリーHP
(URL)の展覧会スケジュールをしっかり確認しましょう. また展覧会によっては、1階ギャラリーだけという部分開館のケースが一般的のようで、必ず全ギャラリースペースが空いているというわけではないということも注意です.
ギャラリーを管理しているオーナーさん?に、人は写さないという条件で撮影許可をもらって撮影したものを数枚ほど. ギャラリーは壁・天井の3方向がコンクリートという安藤氏らしい空間ですが、床や家具
(写真5・6枚目)には表面処理された木材が使われており、家のような温かみが感じられるのがいいところ. ハンガーを引っ掛けるパーツ
(写真4枚目)は、コンクリートの施工で生じるセパ穴のボルトを活用したものとなっているのもユニークでした.





当日は1階のみ開館だったのですが、建築好きという話を伝えると特別に上の階のギャラリーを開けてもらえることに.
こちらは2階と3階が一体となった2フロア構成のギャラリーのため、天井高の高い広々さを感じさせる空間. ギャラリーの上部分には、西側に大きく開けられた連続窓
(写真5枚目)がありますが、残念ながらブラインドが下ろされた状態に. 展覧会のある日にはどういう空間になるのか、個人的には非常に気になるギャラリー空間でした.
住宅規模の安藤作品をあまり見学することがない私なのですが、ヒューマンスケールの仕掛けを散りばめたような濃密なギャラリー空間に驚かされっぱなしで、とても面白い探訪となりました. 気さくで人柄の良いオーナーさんには、この場で改めて感謝を述させていただきたいと思います. 本当にありがとうございます. 夙川の隠れたギャラリー建築へ、興味のある方は是非一度. ではでは今回はここまで〜
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