




美術館の最寄りとなるJR西岐阜駅
(写真1枚目)からは徒歩15分ほど. 駅からは美術館方面へのコミュニティバスが1日7便ほど出ています. 道の途中にある県道77号線を横切る交差点は、横断歩道が自転車用しかなく、歩行者は地下歩道(エレベーターなし)を使用するといういささか面倒な仕様になっているので注意です.
美術館付近になると閑静な住宅街が、突如として緑の生い茂る様相
(写真2枚目)に早変わり. この一帯は『県民文化の森』という、この美術館と
「岐阜県図書館」の2施設を中心施設としたカルチャーゾーンとして整備されています. 美術館は本館を敷地の東側に寄せるように配置され、空いたスペースを彫刻作品が散りばめられた公開緑地として整備しています. 結構広くて気持ちがいいです. 訪問当日は南北に流れる小川に、巨大な木組みの橋
(写真5枚目)が架けられていました.





こちらは美術館本館を正面(西側)から撮影したもの. 美術館を検索するとよくセットで映る丸い彫刻
(写真1枚目 右)は、大成浩
(おおなり ひろし)氏の『風の影 No.1』. 美術館全体の規模は非常に大きいのですが、入口から見えるこの真っ白なボリューム以外は、周辺の木々によって巧妙に隠されています. 真っ白なタイル外壁を拡大すると、三角形断面の突起がつけられている
(写真3枚目)のもポイント. 断面がつくる影を利用して、水平方向に黒い横目地が見える仕組みです.
1982年に開館したこちらの美術館の設計を手掛けたのは日建設計. 主任として携わった佐藤義信
(さとう よしのぶ)氏は、周辺の緑と一体化した美術館というコンセプトで設計し、翌年には中部建築賞・岐阜市都市美創出賞といったローカル賞を受賞しました. 調べていくと、佐藤氏は2006年JIA日本建築大賞にも輝いた「京都迎賓館」の設計主任だったということが判明. ゼネコンや組織設計だと会社の名前が注目されるので、建築家個人を探すと意外な発見があるものです.





それでは館内へ. 受付で尋ねると、風景としての展示室以外の撮影はOKということだったので、それに留意して撮影した写真を掲載. 美術館のエントランスでもあるこちらの「美術館ホール」は、東西方向に長く伸びる、幅の広い廊下のような美術館のメイン空間. 天井の両脇には木色ルーバー付きのトップライト
(写真3枚目)が配され、落ちてきた自然光の光がホール全体を象徴的に照らします. 所々を影にすることで、リズムのある陰影があるのも個人的にはグッときます.
県の美術館ということで、その土地ゆかりの芸術家の作品が収蔵品のベースとなることが多いのですが、意外なことにこの美術館が核としているのはフランス象徴主義の画家 オディロン・ルドンの作品. 画像検索するとすぐにわかると思いますが、気球に目がギョロっと出ている作品など、ちょっと不気味な世界を描く画家です. 所蔵品鑑賞の際にはこのルドン・コレクションのタイミングを狙って、その不気味な世界観を味わってみるのもいいと思います.





他のスペースもパシャパシャと. 美術館ホールのすぐ北側に隣接する「多目的ホール」
(写真1枚目)には、岐阜県白河町に在住したこともある世界的オルガン技師 辻宏
(つじ ひろし)氏制作のパイプオルガン
(写真1枚目 右)や、ミケランジェロのレプリカなどの作品が展示されています. 天井には展示品の上と部屋の四隅の8箇所にトップライトが設けられ、灰色の壁面を美しく輝かせていました
(写真2・3枚目).
玄関広場がみえるロビー空間
(写真4・5枚目)には、ご覧の通りミースのバルセロナチェア&オットマンがテーブルを囲むようにビッシリと並んで置かれています. デザイナーズチェアに腰掛けながらガラス奥に広がる緑を鑑賞していると、すっかり寝落ちしてしまいそうな気持ちのよい空間でした.
ちょっと不気味なフランス芸術を楽しめるアートスポットでもあり、幻想的なトップライトの演出が美しいこちらの美術館建築に、興味をもった方は是非一度訪れてみてはいかがでしょうか. ではでは今回はここまで〜
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