




美術館は名古屋市屈指の繁華街である栄の中心地から少し南西側にある白川公園
(写真1枚目)の敷地内にあります. 地下鉄鶴舞線の伏見駅・大須公園駅の両駅が最寄駅となります. 伏見駅ならば、地下鉄東山線で名古屋駅から一駅です. 2011年には「名古屋市科学館」がリニューアルしたことで、市内有数のカルチャースポットとしての知名度が上がりつつあります.
公園東側に建つ美術館でまず最初に目がいくのは、立方体が積み上がったようなフレームが並ぶ玄関アプローチ
(写真2枚目). この立方体のフレームデザインは、黒川氏が最初に手がけた美術館である「埼玉県立近代美術館」にも用いられ、比較的初期の美術館作品にみられます. 美術館には伝統意匠をデザインしたものが随所に配されているのもポイントで、フレームの間にはメタリックな鳥居
(写真4枚目)がデザインされています.





アプローチの横に目をやると、そこは地下フロアまで緩やかに掘り下げられたサンクンガーデンに. こちらは開館時間中であれば誰でも入ることができます. 奥には畝(うね)るように展開されたカーテンウォールがあり、周囲の景色が投影されています. 途中に歩道が通された傾斜部分の緑
(写真2枚目)は、地下フロアから見ると一体的に見え、奥の公園の緑と連続している
(写真4枚目)のもいいですね. ただし利用客が誰もいないのは寂しいですね.





正面玄関のある北側から、西回りにグルッと歩いていきます. 西側の外観でも一際目立つ、菱形状にボコッと飛び出しているのは、階段室に通じるトップライト
(写真1枚目). 他には中央部分がズバッと切れた朱色の門
(写真2枚目)や木組みをモチーフとしたオブジェ
(写真3枚目)などの野外アート作品が置かれています. 写真1枚目の左側にある緑の窓枠のデザインは、同時期に建てられた「広島市現代美術館」のキッズルームにあった開口デザインと全く一緒のものでした.
トップ写真としても掲載している南側の外観は、トンガリ屋根が特徴的な垂直性のある外観. 建物の脇には、中央部分が切れたメタリックな鳥居
(写真4枚目)が確認できます. こちら側には手前に池が整備され、写真5枚目のように建物が水面に映り込むのがいい感じ. 正面と裏面で建物の雰囲気がガラッと変わるのが、個人的にはユニークに感じます.





それでは館内へ. 玄関の自動ドア
(写真1枚目)は葉脈をモチーフとしたかのようなデザインになっています. 展示室以外の撮影はOKということを受付に確認したので、撮影したエントランス部分を中心に掲載しています. 館内は地上2階、地下1階の3フロア構成. 館内は白を基調としていますが、階段のゲート部分が赤、階段手摺が緑だったりと鮮やかな色彩が散りばめられているのもポイントです.
黒川氏といえばハイテク&メタリックな近未来デザインが思い浮かんでしまうのですが、ここではそれらは鳴りを潜めている模様. そのかわりエレベーター
(写真4枚目)をみると、どこか西洋っぽさを感じる大理石のデザインに、一昔前の半円型のスタイルを踏襲した円形の表示器デザイン
(写真5枚目)など、レトロ・伝統的な意匠要素を現代チックにデザインしているのが印象的でした.







階段を降りて地下フロアへ. 西側外観から見えたトップライトから、この階段スペースに自然光が降りてきています. 階段脇には休憩スペースがあり、水道のある大理石のデザイン
(写真2枚目)もどこか西洋風っぽい. 地下ロビーは3フロア吹き抜けとなった広々とした空間で、中央にはジョナサン・ボロフスキーの『ハンマリングマン』が展示されています. 展示室の扉の上にはUFOのような紋様
(写真4枚目)がデザインされていたのですが、詳しいことは判りませんでした.
もう一つ目にとまったのが、館内の至る所に配置されたデザイナーズチェアの数々. ミースの『バルセロナチェア』にマルセル・ブロイヤーの『ワシリーチェア』
(写真6枚目)、マリオ・ボッタの『セコンダチェア』
(写真7枚目)など世界の建築家がデザインした椅子の数々が館内に大量に配備されています. アート鑑賞の際にはこちらのチェアの座り比べも面白いかもしれません. 名古屋市街地に建つ黒川建築に是非一度、ではでは今回はここまで〜
- 関連記事
-
コメント