2016/11/09




写真1枚目は東心斎橋の街並みの様子. 諸事情により、掲載している写真はイケフェスの数日前に撮影したものです. 心斎橋というと『心斎橋筋商店街』をイメージする方が多いですが、堺筋側に展開するここ東心斎橋は、雑居ビルが両側にひしめき、上を電線が縦横無尽にはしるカオスな街並みが奥までひろがっています. お店の並びからも夜の街って感じで、撮影は昼間でしたがホスト風の男性を多く見かけました.
そんな雑居ビルのラインから少しバックしたかたち(写真2枚目)で見えてくるのがこちらの本社ビル. 目を引くのはやはり菱形や八角形を組み合わせ、全体的に凸凹をつけて立体的にデザインされたこのファサード. 初見で事務所ビルとわかる人は恐らくいないでしょう. 看板ネオンの輝く雑多な街並みに全く引けをとらない強烈なデザインですが、夜は一切明かりがつかないので、近所の人からは『幽霊ビル』と称されるなど、暗々としたイメージが定着しているようです.
余談ですが村野氏と浪花組の間には、この本社よりも前から設計の縁が存在しました. それが今はなき「心斎橋プランタン(1956年)」です. 解体前は動物パンの有名な喫茶店でしたが、当初は浪花組の社宅として計画されました. この本社以降も「東京支店(1966年)」に「名古屋支店(1976年)」と、浪花組の関連施設を手掛けていきます. これらの両ビルも独特のファサードですが、本社にあるような超奇抜なものではないので注意です.





もう少しファサードを細かく. ファサードの中でも一際存在感を放つ八角形の表面(写真3枚目)は、平瓦をなまこ壁風に敷いた和の意匠を意識したもの. 菱形や六角形状に配されたレリーフの緑色もいい味をだしています. 地上階の入口や開口部分のゲート(写真4枚目). は角を丸くし、その上部分に屋根のような薄い板をデザインしているように見えます. よく見ると、各ゲート間には家型をモチーフとしたようなユニークなものが設えられていました(写真5枚目).
イケフェス当日はプランタンにあったついたてや村野デザインの家具などが目白押しで、ギザギザ屋根が特徴的だったベランダも公開されていました. ベランダの手前は既にビルで景色が塞がれていましたが、当時は東心斎橋を一望できたのでしょうか. 村野建築をここまで丁寧に使い続けている浪花組に感謝です. 残念ながら諸事情につき内観写真の掲載は控えます. 外観はいつでも見れますが、内観は来年度のイケフェス等の特別公開をお待ち下さい. では今回はここまで〜
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