大阪取引所ビル(旧大阪証券取引所) - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

大阪取引所ビル(旧大阪証券取引所)

           
0185:大阪証券取引所 メイン

0185 - 大阪取引所ビル(旧大阪証券取引所)
竣工:1935年(旧市場館)
   2004年(増改築)
設計:長谷部竹腰建築事務所(旧市場館)
   三菱地所設計+日建設計(増改築)
住所:大阪府大阪市中央区北浜1-8-16

皆様どうも. 今回は堺筋の生きた建築特集の最終回、船場エリアの堺筋北端に建つ 大阪取引所ビルをご紹介します. 現在のビルは2004年の増改築工事を経て完成したものですが、かつてこの場所に存在した日本三大市場のひとつ『大阪証券取引所』の旧市場館が復元保存されているのが特徴で、ここ金融街・北浜のシンボルとして親しまれています. 今回は外観のみですが、この生きた建築を取り上げていきます.
0185:大阪証券取引所 大川より①

0185:大阪証券取引所 大川より②

0185:大阪証券取引所 北浜交差点より

0185:大阪証券取引所 ガラス張りの高層棟

0185:大阪証券取引所 窓のデザインを交差点より

写真前半に映るのは、ビルのすぐ北を流れる大川から撮影したもの. 手前に架かるのは宗建築事務所設計の「難波橋」. 高層棟の存在感も大きいですが「大阪市中央公会堂」のある中之島側に対して、旧市場館のファサードがビルの隙間から綺麗に写りこんでくるのがいいですね. 写真後半は北浜交差点の対角方向から撮影したもの. 角地に建つ旧市場館は円筒型のボリュームをした、装飾の少ないモダンな外観. しかし窓枠には、幾何学模様をした精巧な装飾(写真5枚目)が目立ちます.

旧市場館の設計を手がけたのは長谷部竹腰建築事務所. 「住友ビルディング」を手掛けたことでも知られる住友合資会社工作部(1933年に解散)のメンバーを軸に構成され、後の日建設計の母体となる組織事務所です. 関西に残る他の作品には「日本生命保険相互会社本店本館」や「COCON KARASUMA(旧京都丸紅ビル)」など. 数年前までは「旧神戸住友ビル」や「宇治電ビルディング」も建っていましたが、軒並みに解体されていきました.
0185:大阪証券取引所 五代友厚像とともに

0185:大阪証券取引所 窓枠を間近で

0185:大阪証券取引所 正面入口

0185:大阪証券取引所 地面部分のガラスブロック①

0185:大阪証券取引所 地面部分のガラスブロック②

それでは外観の様子をもっと近くから. すぐ手前には、証券取引所を設立した大阪経済界の立役者 五代友厚氏の銅像(写真1枚目)がドンと建っています. NHKドラマでもかなり有名になりましたね. 先ほど見た窓枠のデザインを間近で撮影したのが写真2枚目. 外側はこの金属枠が目立ちますが、内部は竣工時からのオリジナルであるステンドグラスがはめ込まれており、中央にはサンドブラストの美しい植物模様が描かれています.

気がかりだったのは、取引所の入口脇にあるボロボロになった地面ガラスブロック(写真4・5枚目). どうやら地下フロアの明り取りとしてはめ込まれたものを、当時のままで残しているようです. 当時の地下からはどのように見えていたかはわかりませんが、当時の意匠として残るものとしてはかなり貴重に感じます. というかよく残したなという感じです.
0185:大阪証券取引所 土佐堀通から①

0185:大阪証券取引所 土佐堀通から②

0185:大阪証券取引所 土佐堀通から③

最後はビルの北側をはしる土佐堀通からの眺めを掲載. 保存された旧市場館から奥は2004年以降の建物ですが、低層部ファサードは旧市場館と連続するように白の花崗岩テイストで揃えられています. よく見ると石の割り付けも旧市場館と同じピッチになっているという徹底ぶり. 土佐堀側の上部分にも、わずかですが金属窓枠の幾何学装飾(写真3枚目)を確認できました. 今回は都合により内観は撮影できずだったので、次に行く機会があれば.

というわけで堺筋沿道の生きた建築特集はこれにて終了となりますが、撮影写真のある大阪の生きた建築スポットはまだ20件以上もあります. 個人的にはまだまだ終わりの見えない感じがするのですが、生きた建築特集はとりあえず11月で一旦切りたいと思うので、エリアを一通り絞りながら今後展開しようと思います. ではでは今回はここまで〜


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