2016/11/20






外観はイケフェスではなく、春先に撮影したものを掲載. コーナーを小さくカーブさせ、落ち着いた色合いを見せる3階建て. 外壁上部分に並ぶ、丸と十字の幾何学模様を組み合わせたシンプルモダンな装飾(写真2枚目)が特徴的です. 通り側に設けられた入口(写真3・4枚目)も、角を極力無くして柔らかく訪問客を出迎えます. 道路に面する一部のテナントは開口がアーチになっており(写真5枚目)、照明が手作り感のあるユニークなものだったり(写真6枚目)と見所満載です.
大大阪時代の盛り時に建設されたこのビルは、当初『澤野ビルヂング』というビジネスマン向けのホテル施設だったといわれており、現在の名称になったのは先代オーナーがビルを取得した1931年のこと. 設計者である長田岩次郎氏は、辰野片岡建築事務所の工事係員だったということ以外に関しては不明という謎の建築家です. 1階手前にのびる庇のような金属ボックスは、景観の阻害となる室外機などの設備機器を隠すために2012年に新しくつけられたものです.






ここからは公開された内観の様子を. エントランスは中央にある立派なお花に目を惹かれますが、奥や脇の壁のほとんどが流線のような滑らかな曲線になっているのがいい. それほど面積としては広くないのですが、さほど圧迫感を感じさせない空間です. 元ホテルということだけあって、客をお迎えする雰囲気づくりには非常に力を注いでいます.
階段は入口両側に2カ所. 近代建築特有のしなる木製手摺(写真3枚目)に手を触れながら階段を上ると、かつてはホテル客室だったテナントフロアの廊下(写真5枚目)に到着. 当時の一般的なホテル建築がどのような空間だったのかは理解不足な面が多いですが、現代のと比較すると広いし明るい、廊下幅の広い中廊下型集合住宅のようにみえます. 窓に目をやると丸状の金具(写真6枚目)が付いていますが、いつもどう取り扱うのか気になっています.
というわけで今回はここまでとなります. イケフェス当日はオーナーさんが直々にご案内をしていらっしゃり、ビルについて落ち着きながらも熱く語ってらっしゃったように見えたのが印象的でした. 船場の近代建築巡りには欠かせない伏見ビルにぜひ. できれば東隣に建つ「青山ビル」とセットで. ではでは今回はここまで~
【追記 2017.10.28】
2017年度写真健全化作業により一時公開を停止させていただきましたが、写真掲載等のお許しを頂戴しましたため、文章改善の上で公開を再開しました. ご許可賜りましたオーナー様に、この場を借りて御礼申し上げます.
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