青山ビル - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

青山ビル

           
0187:青山ビル 正面ファサード①

0187 - 青山ビル
竣工:1921年
設計:大林組(伊東恒治)
住所:大阪府大阪市中央区伏見町2-2-6

皆様どうも. 時期はもう12月の中旬. 日本も寒波到来ということで厳しい寒さが続きます、皆様も体調管理だけは十分にお気をつけください. さて今月中盤は2017年秋開催の『生きた建築ミュージアムフェスティバル2017』にて再訪問した、建築スポットのリニューアル記事を展開していきます. まず最初はビルの外観一面をビッシリと覆い尽くす緑が特徴的なモジャモジャ近代建築 青山ビルです.

※ こちらは2016年11月投稿の記事をリニューアルしたものです
0187:青山ビル 正面ファサード②

0187:青山ビル メイン

0187:青山ビル 扉と蔦

0187:青山ビル 新秋ファサード①

0187:青山ビル 新秋ファサード②

それでは外観から. 伏見町通に大きく展開する北側のファサードは、ほぼ全面を植物が覆うザ・もじゃビルといった外観. 現在のビルは5階建てで、4階より上のフロアは後年に増築されています. 外壁を覆う蔦は甲子園球場の株を分けてもらったものらしく、増築フロアにまで緑化が広がっています. 夏場は蔦が覆いますが、冬(写真4枚目以降)になると蔦の葉が枯れ落ちて本来の外壁となり、季節によって外観の表情が大きく変わります. 外観はスパニッシュ様式とされ、鉄柵(写真3枚目)等にはアール・ヌーヴォー調の曲線装飾が施されているのがイイ感じでした.

このビルは当初は食料品店『野田屋』を営む野田源次郎(のだ げんじろう)氏の住宅として建てられました. 当時の富豪層の邸宅というと「ヨドコウ迎賓館」に代表される阪神間の丘陵地というイメージがありますが、船場のど真ん中にドンと3階建てを建てるリッチな方もいたんですね. 設計・施工は大林組と多くのサイトで見られますが、個人としては伊東恒治氏という方が手がけています. が、当人の詳しい情報は見つかりませんでした.
0187:青山ビル 2017階段ホール①

0187:青山ビル 2017階段ホール②

0187:青山ビル 2017階段ホール③

0187:青山ビル 2017階段ホール④

0187:青山ビル 2017階段ホール⑤

それでは館内へ. 写真はイケフェス2017の際に探訪・撮影させていただいたものです. 玄関から入ってすぐの場所には、3階までが吹き抜けとなった階段ホール. 四角形型の螺旋階段の木手摺は始端(親柱)が渦巻状(写真3枚目)に、途中にも美しい流線型(写真4枚目)を造っているのが見事. ステンドグラスの窓から光が差し込んで、全体的に明るい雰囲気を作り出していました.

竣工から6年が経過した1947年に青山喜一(あおやま きいち)氏が野田家よりビルを譲り受けましたが、当時は戦後ということでかGHQ将校用の施設として活用. 現在のテナントビルへと転用されたのは1951年のことです. 「伏見ビル」はホテル、「新井ビル」は銀行からの転用でしたが、邸宅からのテナントビル転用というのは、いかに野田邸が巨大な都心住宅だったかが伺えます. 1997年には登録有形文化財に登録されており、大阪近代建築の代表格の一つとなっています.
0187:青山ビル 2017廊下②

0187:青山ビル 2017廊下①

0187:青山ビル 2017廊下③

0187:青山ビル 2017階段①

0187:青山ビル 2017階段②

こちらでは階段ホール以外の共用空間を. 大元が邸宅のため廊下幅が非常に狭く、一部が迷路のようになっているのが面白い. 2階のアーチ(写真2枚目)や3階の回り縁(写真3枚目)などに凝らされた装飾、竣工当時からのオリジナルと思われるデザインガラス(写真4枚目)やステンドグラス(写真5枚目)など、旧邸宅時代の華やかさが感じとれる意匠がいっぱいでした.

建築見学はお隣に建つ「伏見ビル」とセットで見学したいところですが、無断での見学・撮影はお断りしているようです. 見学目的の際は、ビル管理事務所にご連絡をして訪問しましょう. ではでは.


【追記 2017.12.12】
イケフェス2017での撮影写真に対する掲載OKを確認しましたため、内観写真掲載と文章改善を加えて記事リニューアルしました. ご許可賜りましたイケフェススタッフ様に、この場を借りて御礼申し上げます.


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