




それでは門前町からの様子をスタートとして、外観をみていきます. 2階建ての町家が並ぶ門前町の奥に、装飾豊かな異国風のドームがデデンと見えてくる
(写真1枚目)のはある意味で圧巻です. 初め見たときは辰野金吾設計の
「旧日本銀行京都支店」のような辰野式を連想しましたが、時期的にはこちらが先. イスラム圏にあるような玉葱ドーム
(写真2枚目)が乗っかっていることからも、純西洋風の近代レトロと呼ぶにはちょっと違う感じも受けます.
設計したのは東京帝国大学名誉教授の伊東忠太
(いとう ちゅうた)氏. 『法隆寺建築論』という論文で建築史学の礎を築いた『日本建築史学の祖』として知られる建築家(建築史家)です. 代表作は「築地本願寺」ですが、この伝道院はそれより22年前に完成. 京都に伊東氏の設計した伝道院があるというのは聞きましたが場所が分からず、西本願寺に向かう際に偶然発見した近代建築です.





南通用門
(写真1・2枚目)の形状はイスラームのような東洋を想起させるものに. 通用門と隣の建物との間の壁には、改修前らしい煉瓦
(写真3枚目)を見ることができます. かなり劣化しているためわかりづらいですが、基本はイギリス積みで所々に小口がランダムに挿入されているように見えます. 反りの美しい破風の妻壁や窓周りのデザインも見事. 『和洋折衷』と説明看板には書かれていましたが、煉瓦による西洋風をベースに、東洋・和の要素を織り交ぜていった感じにみえます.




建物の装飾だけでなく、通り手前に並ぶ妖怪が象られた石像
(写真3・4枚目)も見所. 伊東氏は妖怪好きとしても有名で、ここでもその妖怪を見ることができます. 一部日本的な妖怪もいますが、インド様を源流としたと建築であると考えると、象のモチーフはヒンドゥー教の商売の神「ガネーシャ」に、鳥のモチーフはインド神話の神鳥「ガルーダ」に見えなくもないなと個人的には思ったり. ちなみに石像も文化財なのでお触り禁止です.
西本願寺の東にひっそりと建つ伊東忠太建築、内部を見るのはタイミング次第ですが、その独特な外観だけでも見る価値ありです. 重要文化財となったレトロ建築へぜひ. それでは今回はここまで〜
2017.1.15 全写真を2016年末の画像に変更 & 文章を大幅に変更
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