




写真は遠方から外観を撮影したものです. 黒川氏の
「和歌山県立近代美術館」から撮影した1枚目の写真をからもわかる通り、こちらも本庁舎や美術館のある文化ゾーンに近い場所に建てられています. 周囲にこれと同等の高さのあるビルは少なく目立ちますが、斜めフレームによる菱形のファサードが南別館のキャラクターを際立たせています. 菱形ファサードのビルですと「ヤマハ銀座ビル」や「プラダブティック青山店」がありますが、全国的に見ると少なく珍しいです.
そんな珍しいタイプのファサードを採用した県庁別館ですが、これはファッションというわけではありません. 南別館は将来的に起こるとされる南海トラフ地震や、台風被害に対応する防災センターとして計画されています. 防災拠点としての役割を担う以上、震度7の大地震に耐えうる構造にする必要があり、この耐震性能を得るために編み出されたのが『耐震ラティス』という斜め格子架構を建物外周部に配する構造方式でした. わかりやすくすると4方の外周壁ほぼ全てが耐震ブレースということで、大地震の水平力に耐える高い耐震性を実現させています.
外のファサードは、この『耐震ラティス』の形に対応するようにアルミパネルや合わせガラスがはめ込まれてできたものです. 構造を合理的に組み上げるだけでなく、こんなにも格好の良いデザインに仕上げるとは見事です. 思い返せばこれが県庁施設というのも凄い話です. 個人的ですが、わずかにアールをかけて仕上げているコーナー部分
(写真4枚目)にグッときます. 新建築は『和歌山城の石垣に呼応する』と書かれてますが、城からはちょっと遠いため若干無理があるような気がしてなりませんでした.






こちらは別館手前まで移動して撮影したものを数枚ほど. 休日で閉庁してましたので、今回は外部からの様子だけを見てました. 菱形のアルミパネルがそのまま途切れているので、ファサードが非常に刺々
(とげとげ)しくみえます. 大地震に対応したものとあって柱もマッシヴなものに. 東側のピロティ
(写真5枚目)は、大型車両にも対応できるように5mの高さが設けられています. 天井のワッフルスラブ
(写真6枚目)もゴツいですが、デザイン的な統一感があっていいですね.
紹介はここまでです. 戦前レトロ建築である本庁舎の傍らには、意匠的にも構造的にもいい感じに洗練された別館ビルがあるとは正直驚きでした. ロボット建築のような高松氏の作風要素は薄いものの、とても現代的で格好の良いものを手がけるな〜と感銘を受けました. こちらも本庁舎・美術館から近い場所にありますので、遠くからでもぜひそのファサードをご覧くださいませ. では今回はここまで〜
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