



ビルがあるのは『和歌山城』の建つ和歌山公園から南西へ少し歩いた国道42号線沿いです. 写真1枚目の奥にはわずかに和歌山城が確認できます. 空に向かって鋭いトンガリを見せるシルバー外壁の細長ビルですが、特徴的なのは国道側に向いたそのファサード. 中央に展開した幾何的模様や両脇の窓から伸びる模様など、ビルの名の如く電子機器で使用される『IC(集積回路)チップ』を思い起こさせる奇抜かつストレートなデザインです.
ビルの完成は1985年. それまでこちらが和歌山初の黒川作品と考えていた「きびドーム(1994年)」よりも古いため、本当にこれが和歌山初作品かもしれません. 中央の幾何模様部分はちゃんと開口として開けられており、奥にはわずかながら隙間が設けられています. 建物の形はシンプルなのにデザインが非常にポストモダン的. もしかすれば奥の隙間(余地空間)も将来増築可能なメタボリズムではとも考えましたが、ちょっと深追いな気がしますね.
集積回路がモチーフということで、それに関連する本社ビルかと思っていました. しかし別サイトを見ると、1階はギャラリー、2階から5階はグループホーム等といった感じで入居しているようです. この手の企業にとってはイメージにぴったりな顔なのですが、竣工当時は本当に自社ビルだったのでしょうか? 資料が少ないのでどなたかご教示願えればと思います. 和歌山城や美術館からも近いニッチな黒川建築へぜひ、短めですが今回はここまで〜
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