2016/12/20






それでは駅からミュージアムまでの様子を. 長浜へは大阪から新快速で約1時間40分ほど. ミュージアムへは駅からさらに南へ10分ほど歩くことになります. 歴史ある城下町だけあって、道の途中には歴史ある町屋(写真1・2枚目)や米川の水の景色(写真3枚目)といった街並みの良い道中を抜けていきます. 後に日本屈指の大坂城城下町を築く秀吉が最初に手がけた城下町として名高い町ですが、一時期は土佐藩主で知られる山内一豊も長浜城主を務めたことがあります.
しばらく歩いていると手前に水盤が張られたミュージアムが姿を表しました. 水盤に浮かぶように並ぶV字の列柱(写真5・6枚目)がかっこいい. 奥には杉板型枠のコンクリート壁が広がり、雲がかった太陽によって生み出される列柱の影が、わずかながらコンクリート壁に投影されています.





そしてミュージアムの南側「ヤンマースクエア」と呼ばれる正門スペースに到着です. 先ほどよりも広めに設けられた水盤、二対一となってより立体的なユニットとなったV字柱、9mも大きく張り出した庇の上に展開された屋上緑化が目立ちます. 手前には天気予報で有名なヤンマーのキャラクター『ヤン坊マー坊』がデザインされた施設名の石碑などがあります. 水盤の奥に椅子・机が置かれたスペース(写真5枚目 奥)があり、水盤に囲まれながらカフェができそうな感じでした.
この施設は農業機械や船舶で有名な大手メーカー『ヤンマー』の創業100周年を記念して、創業者である山岡孫吉(やまおか まごきち)氏の生誕地であるここ長浜に建てられた企業ミュージアムです. 設計は日本設計が担当し、ヤンマーの企業理念に則った環境型(サスティナブル)建築として設計. 3つの事業領域である『海洋(船舶業)』を水盤、『大地(農業)』を屋上ビオトープ、『都市(エネルギー業)』をガラス等の現代素材として外部に表現しています. この環境的試みは、2014年JIA環境建築賞の入賞といった形で高い評価を受けています.





それでは館内へ. ドイツから寄贈された大型ディーゼルエンジンが中央に展示されたエントランス空間(写真1枚目)は、白を基調とした明るめの空間. エンジンと受付以外に目立ったものがないので、個人的にはミュージアムにしては些か殺風景かなと思ったりも. エントランスのすぐ西隣には観覧無料の「山岡孫吉記念室」. ロビー奥にも入口が存在し、ミュージアム専用の駐車場に繋がっています.
ロビーの一部に設けられた「休憩スペース」からは、杉板型枠コンクリート壁に挟まれた水盤の風景と、奥に広がる長浜の街並みを見ることができます(写真4枚目). この杉板型枠壁(写真5枚目)は単なるデザインではなく、長浜の街並み要素ある『舟板塀(木造船の廃材を用いた外装)』をモチーフに取り入れています.





それではミュージアムの核となる展示室へと入っていきます. こちらは有料で、大人一人あたり600円です. 2フロア吹き抜けとなったスペース内には実物大のヤンマー製船舶や農耕機の展示だけでなく、手回し発電といった子供でも楽しめるアトラクション風の展示も行っています. 2階フロアにも上ることができ、歴代のディーゼルエンジンの展示や太陽光発電といったエコ発電の状況がわかるモニター(写真5枚目)が設置されていました.





最後は2階から出られる屋上スペースです. ここの特徴は琵琶湖の水辺風景が再現されたビオトープ空間で、自然環境に触れ合える環境学習の場として整備されています. 周辺に高い建物が少ないため、市街地の真ん中でありながら、大空の下でこのような自然学習ができるのはとてもいいですね. ビオトープ脇の階段を上ると、さらに高い位置にある丸型スペースの展望デッキ(写真4枚目)に到着. 建物の密集する長浜の街並みや琵琶湖、東に向けば伊吹山地の山々が連なる風景を楽しめます.
企業ミュージアムというと会社特有のお堅さみたいなものを多々感じてしまうのですが、環境やエコロジーを企業の色合いとしてもつヤンマーということで、訪問者にも環境にも優しいオープンなものに仕上がっているのがとても良かったです. 形態的な大胆さはないものの、V字列柱に代表される現代デザイン的格好良さがあるのもイイ. 長浜に来たらぜひ足を運んでみてください. では今回はここまで〜
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