新日本海フェリー敦賀ターミナル - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

新日本海フェリー敦賀ターミナル

           
0207:新日本海敦賀ターミナル メイン

0207 - 新日本海フェリー敦賀ターミナル
竣工:1996年
設計:竹中工務店
住所:福井県敦賀市鞠山95-4

皆様どうも. 今回は「敦賀駅交流施設 オルパーク」に引き続き福井県敦賀市より、敦賀港の一角に建つフェリーターミナル 新日本海フェリー敦賀ターミナルの建築探訪記をお送りします. 実のところ当初の敦賀探訪の目的はオルパークだけだったのですが、知人から敦賀にガラス張りのカッコいいフェリーターミナルがあるということで、次の電車までの空き時間を有効活用して探訪してきました.
0207:新日本海敦賀ターミナル 新港までの道のり①

0207:新日本海敦賀ターミナル 新港までの道のり②

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルと逆方向の釣り場

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルを遠方から

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナル全景

フェリーターミナルは敦賀湾北東部にボンと突き出る『敦賀新港』にあるのですが、ここまでの道のりが以外と大変です. バス路線は設定されていますが、9時・17時・22時にしか存在せず、しかもフェリー便の運航日にしか運行しません. それで今回はレンタサイクルを使用したわけですが、一部の道にはアップダウンのあるトンネル(写真1枚目)があったり、火力発電所やセメント工場が真横に隣接する道を通ったりと、総じて駅から30分ほどはかかります.

しばらくすると『フェリーのりば』と書かれた青看板(写真2枚目)が見えてくるのでその道を大きく左にカーブすると、敦賀湾から若狭湾に至る絶好のオシャンビュー(写真3枚目)が右手に見えてきます. ここは釣りスポットのようで、その人だかりを見ながら進んでいくと、左手にようやくターミナルが見えてきます.
0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルを北側から①

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルを北側から②

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルを北側から③

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルの石垣①

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルの石垣②

0207:新日本海敦賀ターミナル ターミナルを南側から

この建物のイメージを一言で表現するのであれば『ガラスの旅客船』. 基壇となる台座型石垣ボリュームの上に、組み上がった逆さ台座型のガラスファサードが鎮座しています. 国内にある数あるフェリーターミナルでも、ここまで船というイメージをストレートに表現した建物はそうそうないでしょう. 船の部分をガラスで仕上げ、内部空間をクリアにしているのもカッコいい(写真2枚目). 敦賀湾の端にこんな現代建築があったことに驚きです.

施設の名前にもなっている『新日本海フェリー』は、ここ敦賀と北海道苫小牧等の長距離航路を結ぶフェリー会社で、ここは敦賀側のターミナルビルになります. 建物の竣工は2006年で、設計は現摂南大学教授である本多友常(ほんだ ともつね)氏等のメンバーによる竹中工務店設計部の手によって完成. デザイン性も高く評価されており、1997年には中部建築賞や北陸建築文化賞といった賞を受賞しています.
0207:新日本海敦賀ターミナル 入口

0207:新日本海敦賀ターミナル 1階エントランス

0207:新日本海敦賀ターミナル 中部建築賞のプレート

0207:新日本海敦賀ターミナル 2階の様子①

0207:新日本海敦賀ターミナル 2階の様子②

0207:新日本海敦賀ターミナル 2階の様子③

それでは館内に入っていきましょう. 敦賀発のフェリー航路が朝と深夜にしかないため、ひょっとしたら開いてないかもと若干不安気味でしたが普通に開いていました. 石垣外壁が特徴的だった一階はRC造になっており、エントランス(写真2枚目)は天井の低めな広いスペースになっています. フェリーの停泊する建物の反対側にも開口が設けられ、視線が通り抜けているのが個人的にいいポイント. 入口には中部建築賞の受賞プレート(写真3枚目)が飾られています.

エスカレーターをのぼって2階フロアへ進むと、ガラスの旅客船の内部となる「待合スペース」の到着です. 北を向けば釣りスポットでも見た若狭湾へのオーシャンビュー、南を向けば旅客船が停泊する敦賀港の様子を、大きなガラスファサード越しに楽しむことができます. 四方がガラス張りのためとても明るく展望空間としても申し分ないのですが、ターミナル以外に利用されないのが非常に勿体無くも感じます. 私以外に歩いている人はスタッフだけでしたので.
0207:新日本海敦賀ターミナル 待合スペースから敦賀湾を見る

0207:新日本海敦賀ターミナル ガラスファサードの傾斜部分

0207:新日本海敦賀ターミナル 野外階段

0207:新日本海敦賀ターミナル 階段から

0207:新日本海敦賀ターミナル フェリー入口の様子

0207:新日本海敦賀ターミナル 天井の様子

ではもう少しだけガラス空間の内部を探索. 2階には待合の他にレストランが併設. 3階はフェリーへ繋がるブリッジの他に「マルチホール」というホール空間が備わっていますが、船への搭乗時間以外は立ち入りができないように手前でロープが張られています. ガラスボリュームは長辺方向に伸びる巨大な鉄骨トラスによって支えられ、吹き抜けのある開放的な空間として整備. 構造や設備をむき出しに表現する(写真6枚目)のも、船舶っぽさを感じさせるいいデザインでした.

ガラスの旅客船という見た目のユニークさ、埠頭の立地を生かしたオーシャンビューに開放的な待合空間と、知り合いの情報だけで探訪したのですがが、なかなかに素晴らしい建物だなと感動しました. ネックなのはここまでたどり着くアクセス面と、朝と深夜にしか機能しないフェリーターミナルとしての利用の少なさでしょうか、デザイン的にも素晴らしいだけにやはり惜しく感じてしまいます. 駅からちょっと距離がありますが、興味が湧いた方はぜひ寄ってみてください. ではでは今回はここまで〜


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『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

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