三重県立美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

三重県立美術館

           
0208:三重県立美術館 メイン

0208 - 三重県立美術館
竣工:1982年
設計:富家建築事務所
住所:三重県津市大谷町11

皆様メリークリスマス. 本日は当サイト初となる三重県からの紹介です. この紹介をもって都道府県としては半分超えとなる24番目に加え、近畿2府5県・東海4県を一通り制覇することとなります. 個人的な三重県のイメージですが、『伊勢神宮』や『熊野古道』に代表される観光産業が盛んな県という印象が強く、松坂牛に伊勢海老、赤福といった食文化も魅力. 今年(2016年)は伊勢志摩サミットの開催県として知っている人も多いかと思います.

そんな三重県一発目では、県庁所在地となる津市に建つ県立美術館 三重県立美術館をご紹介していきます.
0208:三重県立美術館 津駅

0208:三重県立美術館 津駅からの道

0208:三重県立美術館 美術館手前の交差点

0208:三重県立美術館 美術館手前の道

それではまずは最寄駅となる津駅から美術館までの様子を. 日本一短い駅名としても知られる津駅ですが、ローマ字でも『 z(つ)』として世界一短い駅名ギネス記録になっています. 江戸期においては津藩藤堂氏の城下町として栄え、現在は三重県の県庁所在地である津ですが、駅周辺は非常に閑散としています. というのも、三重県の都市的な賑わいがあるのは名古屋寄りの四日市市で、人口も津市を抜いて三重県最最多という状況. 経済の名古屋と観光の伊勢志摩とのほぼ中間という立地的に微妙な位置が、津市の賑わいのネックになっています. 特急停車駅なんですけどね…

美術館へは近鉄側となる西出口ロータリーからまっすぐ西へ伸びる道を徒歩10分ほど. 美術館手前の交差点には看板もある(写真3枚目)ので迷うことはないと思います. 道は全体的に上り坂になっているので、歩くのがしんどい方は駅前からでている三重交通のバスをご利用ください
0208:三重県立美術館 階段アプローチ

0208:三重県立美術館 文字碑

0208:三重県立美術館 南のカフェスペース

0208:三重県立美術館 南側外観

0208:三重県立美術館 東側外壁

メインアプローチにまでやってきました. 建物は小高い丘の上に建っており、階段の先にある入口までは建物を見上げる形で進んでいきます. こちらの美術館には三重県ゆかりの作家作品や、バレンシア州(スペイン)との友好提携が結ばれた経緯からスペイン美術が収蔵・展示されています. 説明では『中部・東海地区初の本格的美術館』として開館したそうで、当時の三重県はアート観賞の整備に積極的だったと考えることができそうです.

1982年の新築時に設計を担当したのは、京都大学教師の経歴もある建築家 富家宏泰(とみいえ ひろやす)氏率いる『富家建築事務所』です. 京都を拠点に活動されており「カトリック河原町教会」や「ZOZOマリンスタジアム(千葉マリンスタジアム)」も富家氏設計の現存作です. 1998年には公共建築百選に選定され、2002年には三重県営繕課・坂倉建築研究所が主体となって増改築工事が行われています.
0208:三重県立美術館 階段

0208:三重県立美術館 入口広場①

0208:三重県立美術館 入口広場②

0208:三重県立美術館 入口広場③

0208:三重県立美術館 玄関

階段をのぼって玄関手前の広場までやってきました. 広場中央にポンと置かれた銀色鏡面体のオブジェ(写真3枚目)が気になるところですが、残念ながら誰の作品か知れずじまい. 入口(写真5枚目)を大きくみせない堅牢な感じが、良くも悪くも一世代前の県立美術館だなという印象. 開館から30年以上とあってか周囲の木々も大きく育っており、丘の緑に隠れるように立っているのがいい感じでした.
0208:三重県立美術館 エントランスホール①

0208:三重県立美術館 エントランスホール②

0208:三重県立美術館 エントランスホール③

0208:三重県立美術館 エントランスホール④

0208:三重県立美術館 エントランスホール⑤

では館内へ. 受付に相談すると展示室以外撮影OKでした. 美術館は地下1階地上2階建てで、丘の傾斜にあわせてズラして積み上げています. 周辺環境を考慮した地下埋没型でないのが、やはり時代を感じるところ. 館内のメインとなるのが、こちらの2層吹き抜けとなったエントランスホール. 南側に設けられた巨大ガラスウォールから、自然光や中庭の緑を大きく取り込んでいるのがいい感じです. 傍に並べ置かれた木の椅子(写真2枚目)の作り込みもなかなかです.
0208:三重県立美術館 南ゾーンへ

0208:三重県立美術館 廊下からの眺め

0208:三重県立美術館 南ゾーン①

0208:三重県立美術館 南ゾーン②

0208:三重県立美術館 南ゾーン③

0208:三重県立美術館 南ゾーン④

最後はエントランスから南へ伸びる廊下を歩いて、建物南側の様子を. 南側は2003年の美術館増改築によってガラッと変わった部分で、神戸出身の彫刻家 柳原義達(やなぎはら よしたつ)氏の彫刻作品を展示した「柳原義達記念館」(写真4枚目)がつくられています. エレベーターがあるのでバリアフリー整備も兼ねている模様. こちらは内壁がホワイトを基調としたものに変化し、一気に現代建築っぽさのある空間に. ハイサイドライトが設けられた真っ白な展示室も必見です.

津駅から徒歩圏内ですので、アート観賞にふらっと寄ってみてはいかがでしょうか. ではでは今回はここまで〜


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