






今回は見学順に紹介するため、スタートは在来線ホームからとなります. ガラスとシルバーで覆われるメタリックかつ近未来なデザインは、ホーム側からも十分にその存在感を放っています. 所々に黄色や朱色といった鮮やかな色
(写真2枚目)が出てくるのもユニーク. 個人的にはホテルエリアにある、一部が斜めに突き出したバルコニー
(写真3枚目)が、なぜそうしたんだを思わせるデザインです.
写真4枚目からは、京都駅名物である「0番線ホーム」の様子です. 切り欠きホームとして西側に展開する30番線ホームと合算したホーム全長558mは日本最長. このホームだけは一般的なホーム屋根ではなく、駅ビルに一体化したものとなっています. 端が丸くカーブしているのが面白いですが、高さゆえに大雨の時は大変そうです. ホームを端まで歩くのはかなり大変ですが、一箇所だけポツンとアーチ
(写真6枚目)があったりと単調な空間が続かないので、奥まで歩きたくなります.







こちらではビル西側のにあたる30番線〜33番線エリアのホームの様子を撮影したものを掲載しています. 歩いていると水色の換気口
(写真1枚目)や黄色い円筒
(写真2枚目)、トイレの庇?
(写真3枚目)など明るい色彩にユニークなデザインが散らばります. そして所々にある照明を見上げてみると、ブリッジ1
(写真6枚目)やブリッジ3
(写真7枚目)といった駅ビルの各デザインパーツが描かれています. これ以外にもたくさんあるので是非探してみてください.
駅舎としては4代目となる当ビルが完成したのは1997年ということで、既に20年が経過しようとしている京都駅ですが、そのデザインは
「梅田スカイビル」に負けず劣らず近未来的です. 一方で古都京都のイメージに沿わないということで賛否両論を巻き起こした世紀の迷建築でもあるわけですが、このサイトでは建築の面白い要素を広く伝えることを趣旨としますので、これから京都駅を訪れる人に向けたガイド的位置付けとしてフランクに紹介したいところです.







それでは中央改札出て、京都駅の実質的玄関口である「中央コンコース」をみていきます. コンコースの特徴は、約4000枚ものガラス屋根が天井を覆うアトリウムの超巨大空間です. 高さはなんと147m. 東西両脇に段々状のエスカレーターとフロアが積み重なって挟まれる様子は『谷の建築』とも呼ばれています. ガラスの奥には
「京都タワー」も. なんとも空間を贅沢に使い込んだアトリウムですが、各フロアの人のアクティビティが立体的に見えるのは面白いです.
平安遷都1200年記念事業として計画されたビッグプロジェクト・4代目京都駅舎(駅ビル)は原氏、安藤氏、黒川氏といった日本建築家やベルナール・チュミ、ジェームス・スターリングといった海外建築家をあわせた計7名による国際指名コンペによって争われ、原氏の案が採用されました. 梅田スカイビルが『垂直(タテ)の建築』ならば、京都駅ビルは『水平(ヨコ)の建築』と新建築で語られているように、東西方向に500mと長く展開しています.
ビル西側には「JR京都伊勢丹」、東側には「ホテルグランヴィア京都」と「京都劇場」が入居する複合建築です. 写真5枚目の案内図をみると、駅の存在感がすごく小さい. しかしそれより気になるのは写真6枚目のマップ. どうやらこれは建物外部として展開する広場や公開スペースを示す地図のようなので、駅内部ではこのマップに示された場所をメインに探索していきます.







それではビル東側の広場を目指してグングン進んできます. 段々状に配置されたエスカレーターを昇っていくにつれて、コンコースにいる人々が予想以上に米粒化していくのをみると、このアトリウムがどれだけデカイのかを思い知らされます. しばらく進むと、東西ではなく南北方向に景色の抜ける広場
(写真4枚目)に到着. ここは平安京時代に存在した『烏丸小路』と呼ばれる条坊制(碁盤の目都市)の道路を軸に通された「烏丸小路広場」で、ほぼ烏丸通の延長上に設けられています. 目の前には京都タワー
(写真5枚目)がみえています.
さらに昇っていくと、東端の広場である「東広場」に到着. チャペルっぽいスペース
(写真6枚目)があったり大きな鐘があったりと、カップル向けの色合いが強い広場です. 上部にびっしりと貼られたガラスファサードには空の色合いが映り込んで青くなっているのがいい感じ. 空中に設けられた連絡通路
(写真7枚目)は、スカイビルの空中通路でみた鉄骨デザインと同じような印象を受けました.







それでは東広場から更に上に通ずる「空中径路(スカイウェイ)」へと進んでいきます. 文字通りあのアトリウムの真上に通された自由通路で、西側は伊勢丹の11階フロアと繋がります. 通れるのは朝10時から夜10時まで. 通路はあの巨大ガラス屋根を支えていたトラス構造のアーチ
(写真4枚目)が奥へ奥へと連続し、その中間に設けられたデッキスペース
(写真5・6枚目)から京都市街地を眺められるようになっています. いい展望スポットなのですが時間が早かったのか、ここにいたのはは私と清掃スタッフだけでした.







スカイウェイと通ってここからはビルの西側にある広場をご紹介. 京都駅の中層フロアの名物といえば、知る人ぞ知る「大階段」です. JR伊勢丹の5階と屋上をダイレクトで結ぶ高低差30m、段数171段の巨大階段. 毎年2月に行われる『大階段駈け上がり大会』は、冬の京都駅の風物詩です. 景色がスッと通るので以外と近いと感じながらも、実際に歩くと結構時間がかかります. 下の広場への客席になると同時に、伊勢丹の避難階段の役割も兼ねてるそうな.
駈け上がり大会優勝チームプレートが設置された最上段を登りきると、西端広場となる「大空広場」
(写真5枚目以降)に到着です. この広場よりも高い建物といえば京都タワーぐらいしかないため、文字通り大空を眺められるのがポイント. ただ大きいガラス壁に囲まれているためか、谷となる階段が連続しすぎたためか、あまり屋上という感じが湧かないのが惜しく思うところです.







ビル内の探訪も終盤. 大階段を降りた先には「烏丸小路広場」と同じコンセプトで南北に抜けた「室町小路広場」
(写真1・2枚目)があります. この時期はクリスマス前ということもあり、巨大ツリーが飾られていました. しかしながら、スカイビルの真下にもあった気のする3色の野外作品
(写真1枚目)は今に至るまで誰が作ったのか、個人的に把握できていません. 誰かわかる人がいたら教えてください.
室町小路広場から南に続く階段を降りてくると、京都駅ホームが見える「南広場」に到着. ホームからではよく見えなかった南側外観
(写真3枚目)を間近で見ることができます. ここは最初に紹介したあの0番線ホームの真上にあたる部分で、この階に設けられた人工地盤(マトリックス)によってビルの上階は支えられています. 広場は建物の両端約500mを一直線に結ぶ長い一本道. シャープなデザインの街灯
(写真4枚目)や、影が絶妙にリンクした連続アーチ
(写真5枚目)など見所十分. 階段をあがれば、中央コンコースを見下ろせるスポット
(写真7枚目)もあります.







え〜長々とご紹介してきましたが、ようやく最後となる外観の紹介です. 巨大ガラスを支える列柱の中に、人スケールの銀の門がスポッと入る駅ゲート
(写真1・2枚目)は、今や写真撮影の定番といった模様. 北側外観となる中央口の眺めは、空の青色を綺麗に映し込んで見事なガラスの宮殿に. 京都タワーが映り込む
(写真5枚目)のもナイス. 西側には緑青の色合いをした多面体ガラス(フラクタルルーフ)が見事ですが、上に備わったカーブ梯子?
(写真7枚目)を見るにメンテナンスが超大変そうだと感じました. 清掃業に従事する皆様、本当にご苦労様です.
というわけで、長々と紹介してきた京都駅ビルもここら辺で終わりとさせていただきます. 総評すると、公開空地としての歩ける自由度が高すぎて全く飽きないというのが素晴らしい. 行き止まりが少なく、どこかを歩けば先ほど訪れた広場に戻っているという回遊性が、この駅ビルの楽しさを引き立たせてくれているような気がします. 『回遊』というと日本庭園の多い京都らしいワードにも感じますが、皆様はどう感じるでのしょうか.
京都駅に来たらぜひ原広司氏の近未来ビルの世界に触れてみてください. それでは新年一発目の建築紹介はここまで〜
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