関西電力京都支店 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

関西電力京都支店

           
0213:関電京都支店 メイン

0213 - 関西電力京都支店(旧京都電燈本社)
竣工:1937年
設計:武田五一
住所:京都府京都市下京区塩小路通烏丸西入東塩小路町579
選定:DOCOMOMOセレクション(100選:No.37)

皆様どうも. JR京都駅付近に建つ建築特集3件目は、現代ビルがひしめく中に建つ近代モダンビル 関西電力京都支店をご紹介します. 設計は「京都市本庁舎」や「京都府立図書館」など京都に数々の名作を残す建築家・武田五一氏で、こちらは逝去する前年に竣工した最晩年の作品. 昭和初期の京都を代表するモダニズム建築として名高く、「京都西陣電話局」や「旧京都会館」などと並んでDOCOMOMO100選に選定されています.
0213:関電京都支店 京都駅前から

0213:関電京都支店 塩小路通より

0213:関電京都支店 外観全景

0213:関電京都支店 美しいアール①

0213:関電京都支店 美しいアール②

0213:関電京都支店 奥側のモルタル壁

ビルが建つのはJR京都駅中央口を出てすぐ. 中央口手前に広がるバスターミナルの北に接する塩小路通沿いに建つ、アール壁が特徴の淡い黄褐色の建物です. 現代ビルが立ち並ぶ通りの中で異彩を放つモダンな存在感. 思いの外ビルは中途半端な場所にあり、駅前広場に対してビルは半分ほどしか顔を出していません(写真3枚目). 水平の庇と垂直の出柱による格子グリットに一つ一つ大窓が入り、駅に向けてアール壁を展開する佇まいは「大阪ガスビル」を彷彿とさせます.

日本初の事業用水力発電所である「蹴上発電所」の電力供給を背景として、関西・北陸をメインに電灯の普及を進めたのが、このビルを本社として使用していた『京都電燈(きょうとでんとう)』です. 1888年に創立し、戦時統制による関西配電(現在の関西電力)の合併までの1942年まで存在していました. 電力供給の戦略として京都市電などの鉄道事業を手掛けており、その後継会社のひとつ『京福電気鉄道』は、今も社章に京都電燈のものを使用しています.

当時は周りに当ビルより高い建物はなく、国鉄京都駅前にズドンと本社を建てたことから、当時の京都産業におけるリード企業だった模様. 安井氏のガスビルがこの4年前にできているため、その影響を受けているとも考えられますが、気になるのは角地でもないのにつくられたアール壁. 当時はビル東側に道があったかもと考え古地図を調べましたが、それらしき道は当時からなく謎のまま. 東側外壁(写真6枚目)も、途中からタイルではなく同色のモルタルになっています.
0213:関電京都支店 玄関部分①

0213:関電京都支店 玄関部分②

0213:関電京都支店 玄関から真上を見る①

0213:関電京都支店 玄関から真上を見る②

0213:関電京都支店 タイル部分の「L」

こちらは塩小路通に面する南外観の様子. 正面玄関部の外壁は黒御影石(写真1枚目)にして、玄関の存在感を際立たせています. 加えて石外壁上端にはコーニスらしき意匠が確認でき、タイル張りのビルから黒御影石の2階建てがポンっと飛び出してるようにも見えます. 装飾性はないものの、格子と大窓の組みあわせによるモダニズムの外観は見ていて美しい. ちなみに一部のタイルには二重につけられたL字の傷(写真5枚目)があるのですが、これが単なる意匠的なものなのかは判りません.
0213:関電京都支店 西側外壁①

0213:関電京都支店 西側外壁②

0213:関電京都支店 西側外壁③

こちらは京都駅の反対側になる西側外観. 裏手だから何もないかな〜と思いきや. 勝手口(写真1枚目)の扉まわりがとても近代建築らしいデザインでビックリ. 脇にあるアール・デコばりの照明デザイン(写真2枚目)も実にイイです. 写真3枚目は西通りから建物を見上げたもの. 格子グリットのファサードはここでも健在ですが、ここに来て初めてビルがL字型の平面をしていることに気づきます. 当時は裏の窓から京都の市街地を眺めることができたのでしょう.

関西電力の支店ビルのため館内に入ることは当然できませんでしたので、今回の紹介はここまでとなります. 京都の近代建築というと大学や教会に見られる徹底した洋風が多いため、国際様式に近いモダニズムスタイルは、ここ京都では非常に珍しく感じるところです. それでは今回はここまで〜


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