




初めは四条大橋から見た東華菜館の様子を掲載. 橙にも近い土色の色合いをもつ外壁は、木造2階建てが多く立つ鴨川沿いの建物の中でも独特の存在感があります. 中華のイメージを漂わせる名前からもわかりますが、こちらは北京料理を専門とする中華レストラン. しかし4階部分の装飾
(写真2枚目)や塔屋のデザイン
(写真3枚目)を見るとわかるように、西洋寄りの建物であることが伺えます. 基底部に表現されやすい列柱が最上階だけにあるのは、この建物独特ですね.
初めて見るとビックリしてしまうのは1階の扉
(写真4枚目)ではないかと思います. トマソンとして処理するには、あまりにも立派な両開き. よく見ると扉の下に台座を乗せるような金属の出っ張り
(写真5枚目)が無数にみえます. これらは夏限定で設置される『納涼床(野外デッキ)』のために設けられたもので、毎年6月中旬から8月中旬にかけて鴨川を見ながら中華料理が楽しめるようになっています. 納涼床というと和のイメージなので、これは意外です.





さて正面まで移動. 河原町側から見ると手前のビルで側壁がスッポリと隠れます
(写真1枚目). 鴨川方向に建物がグーンと長いため、玄関のある四条通方向の間口がとても狭くみえますね. 注目すべきは玄関上部の見事なテラコッタ装飾
(写真3・4枚目とトップ写真). 渦巻きなどの丸みのあるデザインが目立ち、中央には魚の妖怪らしきレリーフ、中央上部にはヤギらしき装飾が設えられています. 上を見上げると、こちらも豪勢な4階部分の装飾が
(写真4枚目). 壁面のレリーフ
(写真5枚目)に描かれているのは、二対一となったタツノオトシゴです.
中華料理店なのになぜ西洋様式の佇まいが目立つのかというと、元々こちらが洋食ビアレストラン『矢尾政』として開業した建物だったためです. ビアブームを受けて建てたものの時代は戦争に突入し、食料の入手困難や敵国の料理店という立場の悪さも重なりついに閉店. 建物を友人であった中国人料理人に手渡し、終戦となる1945年に『東華菜館』としてオープンします. 下手をすれば中華風に建て替えられる可能性もあったわけですが、店主さんは存続を選んだのですね.






見学目的での入店はできないため、外から撮影できるのは玄関まで. 奥に見える貝とタコの装飾
(写真2枚目)やS字に緩やかにカーブする手摺のデザイン
(写真3枚目)もナイス. 海の生物の装飾が多いのは、元の洋風レストランのイメージからでしょうかね. ちなみに日本最古のエレベーターがこちらに現存しているので、入店した際は是非一度乗ってみたいものです.
写真後半3枚は建物西側を通る細い小道から撮影したもの. 勝手口
(写真5枚目)にも豪華なテラコッタ装飾. 直方体の石をストレートに積み上げた階段
(写真6枚目)も個人的に好きでした. 建物のイメージから高級中華料理かなと思ったのですが、店頭のメニューを見ると『チャーハン 700円』とリーズナブルな値段. 次はこれ注文しながら館内を見てみたいものです. 京阪祇園四条駅・阪急河原町駅すぐなので是非. ではでは今回はここまで〜
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