根津美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

根津美術館

           
0022:根津美術館 メイン

0022 - 根津美術館
竣工:2009年
設計:隈研吾
住所:東京都港区南青山6-5-1
賞歴:2011年BCS賞

どうも皆様. 今回は久々の東京建築、港区青山にある建築紹介です. 青山といいますと有名ブランド店舗の集積地ですが、その店舗の数多くを有名な建築家が手掛けるため、有名な商店建築の一大集積地としても名高い場所です. 東京メトロ表参道駅を降り、プラダ・ブティック青山店(設計:ヘルツォーク&ド・ムーロン)やフロム・ファーストビル(設計:山下和正)、ザ ジュエルズオブ アオヤマ(設計:光井純)など数々の名建築が建ち並ぶ『みゆき通り』を南東の方向に2,3分程歩いた交差点の角地に、今回紹介する根津美術館があります.

この美術館は東武鉄道の社長も務め、国内の鉄道敷設や再建事業に関わり『鉄道王』とも称された実業家 初代根津嘉一郎(ねづ かいちろう)氏が収集した茶道具・絵画、陶磁器を展示する目的で1941年に開館した私立美術館です. 旧本館が新創工事によってとり壊され、2009年に現在の本館が竣工しました. 現本館の設計を手掛けたのは「浅草文化観光センター」「長崎県美術館」を設計した建築家 隈研吾氏です.
0022:根津美術館 北側入口

0022:根津美術館 アプローチ

表参道駅を利用するのであれば、美術館は北側から訪問することになります. 北側の外観は入口以外を全て竹林で覆い隠されています. 竹林の間の入口を通ると本館入口に通づるアプローチ空間です. 本館側の竹垣や床の石材が竹林の緑を投影してとても良い空間です. 軒の出3.6mの深い庇のある軒裏部分に斜めの出っ張りがありましたが、これは斜めカットされた亜鉛メッキのT字鋼を庇支えの役割として挿入されているようです. なぜ斜めかは不明ですがコスト削減でしょうか…

アプローチを経て西にある本館入口はガラス壁面で構成され、奥には庭園が見えるよう一直線に視線が通っています. 今井兼次氏・内藤多仲氏の両氏が設計した旧本館の写真と比較すると、建物のボリュームは極力変更せずに、壁面の色合いを白からグレーへと大幅に変更しています. 漆喰壁から亜鉛メッキの鉄板壁、屋根端部を桟瓦から鉄板へと近代素材へシフトしながらも、旧館本来の和のイメージを上手く継承しているように感じます.
0022:根津美術館 受付

0022:根津美術館 中二階休憩スペース

0022:根津美術館 南側庭園

それでは館内へ. 展示室の撮影は禁止ということで受付と中二階休憩スペース、庭園に向かった眺め写真を掲載しています. 縦に繊維の伸びた天井は竹の練り付けで、壁面はコーラルグレーに仕上げることで、グレートーンの空間に竹の色合いがアクセントとなる落ち着いた内部空間となっていました. ここでは隈さん特有のルーバーはありませんが、天井の竹練り付けの隙間部分がルーバーっぽくも見えなくもないな〜とも思います.

展示室南側の柱は非常に細く、サッシュ不要のリブガラスで透明感のある壁面を構成しているため、館内に庭園の緑を上手く取り込んでいます. 鉄骨造やガラスという近代素材を使用しながらも、ここまで和風らしく魅せることができる建築家はあまりいないのではないかと思います. 余談ですが写真にある中二階休憩スペースの椅子がとても気になってます. あの椅子の詳細わかる人いますか~

今回の訪問では時間上の関係(主に飛行機で…)で併設カフェ『NEZUKAFE』へ行くことはできませんでしたが、こちらも青山のカフェスポットとしても名高い場所らしいので、女性の方は訪れてみてはいかがでしょうか. それでは今回はここまで〜


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的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

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