神戸ポートタワー - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

神戸ポートタワー

           
0223: 神戸ポートタワー メイン

0223 - 神戸ポートタワー
竣工:1963年
設計:日建設計工務
住所:兵庫県神戸市中央区波止場町5-5
選定:DOCOMOMOセレクション(100選:No.74)
賞歴:1963年日本建築学会賞
   1965年BCS賞

皆様どうも. 正月ムードだった1月がすぐに去り、あっという間に2月に突入. 気がつけば節分も終わっているという有様ですが、今月もスロースタートでやっていきます. 2月の建築特集の舞台は、神戸港開港150周年を迎える港町・神戸です. 1868年の元旦に開港した神戸港は、船の停泊に最適な地形から『天然の良港』として認知され、関西の近代産業の発展に大きく貢献してきました.

また神戸港開港とともに設けられた『神戸外国人居留地(現:旧居留地)』のエリアには、主に大正時代に建造された近代建築が数多く残っており、街歩きスポットとしても人気があります. 150周年という節目を迎える神戸港では様々なイベントが開催される予定ですが、それに加えまして街歩きとしても面白い建築情報をお届けできるように、今月も頑張ってお届けしていきます. では1発目では、神戸港を代表するランドマーク 神戸ポートタワーをお送りしていきます.
0223: 神戸ポートタワー メリケンパーク①

0223: 神戸ポートタワー メリケンパーク② 

0223: 神戸ポートタワー メリケンパーク③

0223: 神戸ポートタワー 川崎海洋博物館

0223: 神戸ポートタワー 東側からタワーをみる①

0223: 神戸ポートタワー 東側からタワーをみる②

こちらは神戸港湾に展開する『メリケンパーク』の様子です. メリケンはアメリカンの原音発言らしく、米国領事館のすぐ近くに建設された『メリケン波止場(兵庫港第3波止場)』が現在の公園の名前に引き継がれています. 公園の東岸にはの阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた旧波止場の状態が保存された「神戸港震災メモリアルパーク」(写真3枚目)、中央には船を模したような三次元鉄骨が見事な「神戸海洋博物館(設計:神戸市港湾整備局)(写真4枚目)が建っています.

海洋博物館の奥に見えているのが、神戸港を代表するランドマークであるポートタワーです. 高さは108mで、中央が細くなるようにデザインされた鼓(つづみ)型のタワー構造物は国内でもここだけ. 鼓型というと今では金沢駅の「鼓門」が有名だったりと、今でも十分に通用するデザインながら、これでも50年以上前のデザインというのに驚きです. 形成する細い鋼管パイプは赤色にカラーリングされているのですが、この位置だと逆光のせいで暗くなっています.
0223: 神戸ポートタワー 西側から①

0223: 神戸ポートタワー 西側から②

0223: 神戸ポートタワー 鋼管のデザイン①

0223: 神戸ポートタワー 鋼管のデザイン②

0223: 神戸ポートタワー 鋼管のデザイン③

0223: 神戸ポートタワー 鋼管のデザイン④

逆光だと微妙な感じだったので、西側に回り込んで撮影. ポートタワーといえば、やっぱりこの鮮やかな赤一色のカラーリングです. 1963年に竣工したポートタワー(当時は103m)は、1981年に「神戸ポートピアホテル(高さ111m)」が完成するまで、ビルも含めて兵庫県で最も高い建物でした(wiki調べ). メリケンパークは完成していないため、当時は『中突堤』という埠頭の上に建っていました.

タワーの設計は日建設計ですが、こちらは1970年に商号変更する前となる日建設計工務時代の作品です. 細いチューブ状の鋼管パイプによるタワー構造物は当時として世界初. エレベーター等の機能が入る円柱の外側に、赤色鋼管パイプの外筒が外皮として覆う構成で、「京都タワー」でも触れた中間障害標識は『外筒は赤、それ以外は白』ということでクリアしたようです. 竣工年には建築学会賞を受賞し、2014年には国指定の登録有形文化財に指定されています.
0223: 神戸ポートタワー 1階入口

0223: 神戸ポートタワー 1階受付

0223: 神戸ポートタワー エレベーター

0223: 神戸ポートタワー 展望フロア

0223: 神戸ポートタワー 展望からの眺め

0223: 神戸ポートタワー 透けるガラス床

それではタワー入口から展望台まで一気に紹介です. タワーは地上部3フロア・展望部5フロアの8層構成で、展望部へは料金大人700円が必要です. 構造の都合から、地上部も含めた全フロアが円状にグルグルと周回できます. エレベーターに乗って上まで登ると、そこは神戸港から六甲の山々までを見渡せる絶景ビューが楽しめます. 写真4枚目に写る展望4階の内装は当時からの雰囲気を残していますが、最上階は黒一色という今風のシックなカラーに改修されています.

展望部の最下層となる展望1階「スカイウォーク」には、人が近づくとガラスの曇りがなくなる床(写真6枚目)が設置されており、地上75mからのスリリングな景色を味わえます. 展望3階は喫茶フロアになっているので、カフェが好きな方はこちらもオススメです. 2009年末の大規模改修で今風なリニューアルも行われましたが、竣工当時からの昭和の雰囲気も残っているのがよかったです.


今回はここまでとなります. デザインも眺めも素晴らしい神戸港のランドマークなわけですが、個人的に驚いたのは現代でも十分通じるこのデザインタワーが既に文化財化しちゃってることです. 「東京タワー」とかならまだ理解できますが、このタワーが文化財となる時代(文化財は築50年以上)に突入したんですね〜. 時代は早い. 神戸に来たら一度は上っておきたい展望タワーです. では今回はここまで〜


◆ このスポットに関連する建築マップ
神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ


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