新港貿易会館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

新港貿易会館

           
0226:新港貿易会館 メイン

0226 - 新港貿易会館(旧新港相互館)
竣工:1930年
設計:新港相互館
住所:兵庫県神戸市中央区新港町8-2

皆様どうも. 今回は外観だけの探訪ですが、神戸新港地区からもう一件だけ近代建築スポットのご紹介です. 「デザイン・クリエイティブセンター神戸」のすぐ南隣に建つ新港貿易会館は、神戸港の貿易関係業者向けの事務所を供給する『新港相互館』として完成. 現在の神戸新港のレトロ景観の一部を形成する近代建築です.
0226:新港貿易会館 新港地区のレトロ景観

0226:新港貿易会館 外観全景

0226:新港貿易会館 コーナー部分①

0226:新港貿易会館 コーナー部分②

0226:新港貿易会館 入口①

0226:新港貿易会館 入口②

0226:新港貿易会館 プレート等

建物があるのは第3突堤交差点の北東角地で、交差点から北を見ると「神戸税関本関」や先述した「クリエイティブセンター神戸(旧生糸検査所)」が奥に立ち並ぶ近代建築の町並み(写真1枚目)を楽しめます. そんな建築ロードの一番南に建つ貿易会館は、現在でも神戸港湾関連の会社が入居する現役のオフィスビル. 奥の2施設は大きく改修されましたが、こちらは内部の意匠のほとんどが残っておりとても貴重. 2011年には国指定登録有形文化財に登録されています.

褐色スクラッチタイルで覆われた会館は、RC造の地上4階建て. 交差点に向かって鋭く展開するアール(写真4枚目)はこの会館の特徴です. 港湾関連の施設ということで、全体としては船舶をイメージさせるデザインになっているのが面白い. コーナー上部分をみると何やら文字の痕跡(写真3枚目)が残っていますが、かつては漢字とローマ字で『新港相互館』と記されていたようです. 入口は閉まっていましたが、傍にはアール・デコ装飾の照明(写真6枚目)が確認できました.
0226:新港貿易会館 南側外観①

0226:新港貿易会館 南側外観②

0226:新港貿易会館 南側外観③

0226:新港貿易会館 南側外観④

0226:新港貿易会館 アールデコの丸窓

0226:新港貿易会館 コーナーも丸く

0226:新港貿易会館 地下への階段

こちらでは建物南側で撮影した写真を掲載. 何気に奥に「神戸ポートタワー」が見えている1枚目の写真がとても気に入っています. 最上階に見える色付きステンドグラス(写真3枚目)の丸窓が非常にいい. 水平性が強調された1階の庇(写真4枚目)はF.L.ライトを思い起こさせるデザイン. 軒庇や建物の角には徹底してアール(写真6枚目)がつけられ、お硬い雰囲気を感じさせません. 東端には地下階段(写真7枚目)も発見. 当時流行の意匠が上手く折衷されたモダン様式の設計者ですが、設計は『新港相互館』としか記載されず人物不詳扱いに. 誰なのか気になるところです.
0226:新港貿易会館 西側外観

0226:新港貿易会館 神戸税関から

0226:新港貿易会館 北側外観①

0226:新港貿易会館 北側外観②

0226:新港貿易会館 北側外観③

0226:新港貿易会館 スクラッチタイル拡大

では最後は西側・北側の外観です. 交差点が綺麗な十字路ではない関係から、西側外壁(写真1枚目)をみると北側壁がわずかに見え、両側から建物が細まるような錯覚を受けます. こういうのも船舶のようなビルとしての一因かもしれません. 建物の裏手にあたる北側外壁(写真2・3枚目)ですが、こちらも丁寧に仕上げられています. これは生糸検査所との間に貨物線が走っており、オモテの扱いとして作られたためです. 軒庇(写真5枚目)は出隅は丸く仕上げられていますが、入隅は直角でした. 無装飾の大窓が整然と並ぶ様は、モダニズムへの過渡期を連想させます.

外観のみですが、今回はここまでとなります. 休日訪問だったため、館内に入れなかったのは残念でした. 階段とかステンドグラスのデザインが素晴らしいらしいので、館内に入れる日を狙ってみるといいかもしれません. ただし現役のオフィスですので、マナーと良識の範囲内での見学をお願いします. 税関・KIITOと併せて見ておきたい近代建築にぜひ. では今回はここまで〜


◆ このスポットに関連する建築マップ
神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

プロフィール

的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

風景写真・デザイン活動のページ

インフォメーション

【2023.1.22】 「鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ」の「21.山梨県【中部】」を公開しました.

写真使用依頼等はページ上部のメールフォームにて受け付けております.(※返信は遅めです. 当日中の返信はあまりできません. 申し訳ありません.)

紹介する建築スポットの情報は、原則的に投稿日時点の情報になります. 現在と比較して古い情報や記事内の誤字・脱字等がありました場合は、該当記事内の各コメント欄またはメールフォームでご意見いただけますと幸いです.

活動実績(写真提供・寄稿等)

◆『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました. 『近代建築』バックナンバー

◆『トラベル.jp たびねす(現:トラベルjp 旅行ガイド)』のライターとして、以下の建築スポットガイド記事を寄稿しました.【2016〜2018年在籍】

・大阪狭山野池美術館リンク
・松柏美術館リンク
・みんなの森 ぎふメディアコスモスリンク
・秋野不矩美術館リンク
・植村直己冒険館リンク
・南方熊楠記念館リンク
・中谷宇吉郎雪の科学館リンク
・生きた建築ミュージアム【2017】リンク

最新記事

日本全国 JR特急路線図
松江建築マップ
鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ
弘前建築マップ
芦屋市民センター
大阪中之島美術館

スポンサーリンク

Twitter

Facebook

スポンサーリンク