






建物があるのは第3突堤交差点の北東角地で、交差点から北を見ると
「神戸税関本関」や先述した「クリエイティブセンター神戸(旧生糸検査所)」が奥に立ち並ぶ近代建築の町並み
(写真1枚目)を楽しめます. そんな建築ロードの一番南に建つ貿易会館は、現在でも神戸港湾関連の会社が入居する現役のオフィスビル. 奥の2施設は大きく改修されましたが、こちらは内部の意匠のほとんどが残っておりとても貴重. 2011年には国指定登録有形文化財に登録されています.
褐色スクラッチタイルで覆われた会館は、RC造の地上4階建て. 交差点に向かって鋭く展開するアール
(写真4枚目)はこの会館の特徴です. 港湾関連の施設ということで、全体としては船舶をイメージさせるデザインになっているのが面白い. コーナー上部分をみると何やら文字の痕跡
(写真3枚目)が残っていますが、かつては漢字とローマ字で『新港相互館』と記されていたようです. 入口は閉まっていましたが、傍にはアール・デコ装飾の照明
(写真6枚目)が確認できました.







こちらでは建物南側で撮影した写真を掲載. 何気に奥に
「神戸ポートタワー」が見えている1枚目の写真がとても気に入っています. 最上階に見える色付きステンドグラス
(写真3枚目)の丸窓が非常にいい. 水平性が強調された1階の庇
(写真4枚目)はF.L.ライトを思い起こさせるデザイン. 軒庇や建物の角には徹底してアール
(写真6枚目)がつけられ、お硬い雰囲気を感じさせません. 東端には地下階段
(写真7枚目)も発見. 当時流行の意匠が上手く折衷されたモダン様式の設計者ですが、設計は『新港相互館』としか記載されず人物不詳扱いに. 誰なのか気になるところです.






では最後は西側・北側の外観です. 交差点が綺麗な十字路ではない関係から、西側外壁
(写真1枚目)をみると北側壁がわずかに見え、両側から建物が細まるような錯覚を受けます. こういうのも船舶のようなビルとしての一因かもしれません. 建物の裏手にあたる北側外壁
(写真2・3枚目)ですが、こちらも丁寧に仕上げられています. これは生糸検査所との間に貨物線が走っており、オモテの扱いとして作られたためです. 軒庇
(写真5枚目)は出隅は丸く仕上げられていますが、入隅は直角でした. 無装飾の大窓が整然と並ぶ様は、モダニズムへの過渡期を連想させます.
外観のみですが、今回はここまでとなります. 休日訪問だったため、館内に入れなかったのは残念でした. 階段とかステンドグラスのデザインが素晴らしいらしいので、館内に入れる日を狙ってみるといいかもしれません. ただし現役のオフィスですので、マナーと良識の範囲内での見学をお願いします. 税関・KIITOと併せて見ておきたい近代建築にぜひ. では今回はここまで〜
◆ このスポットに関連する建築マップ
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神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ
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