




三宮駅から朝日ビルへは、フラワーロードから花時計が面する交差点を西へ進むと到着です. 8本イオニア式オーダー
(写真2・3枚目)による古典様式の佇まいですが、特筆すべきはこれらが大きくカーブしながら並ぶところ. 一般的な並びは直線で、ここまで綺麗にカーブしながら並ぶケースはなかなかありません. 上部中央でキラリと光るメダリオンもいい感じ. 見上げると奥には高層棟
(写真5枚目)がみえますが、途中階に1本だけ存在する水平ラインが非常に気になりました.
戦前に存在した9つの証券取引所の一つであった『神戸証券取引所』の完成は1934年で、村野藤吾氏の師としても知られる渡辺節氏の設計によるものです. ほぼ三角形状の敷地の1辺方向をカーブする列柱で表現し、両脇に5階建てのボリュームを挿入することでシンメトリーを構築しています. 古典様式の取引所ということで
「旧大阪証券取引所」とはまた違った華やかさがあります. 現在は柱が独立してゲートのようになっていますが、元々柱間は大壁で覆われていました.





豪華な装飾を拵(こしら)えて取引開始された取引所ですが、実際に本来の取引所として建物が機能したのは僅か10年と短命でした. 第二次世界対戦後、建物は米軍に接収. 返還後は4層抜き抜けの立会場を映画館『朝日会館』とした神戸朝日ビルとして活用していました. しかし予てからの老朽化と、阪神・淡路大震災による損壊が重なり建て替えが決定. 旧取引所の一部のファサードが残る高層ビルとして生まれ変わり、旧居留地のレトロ景観として親しまれています.
ファサード保存というと外観丸ごとのケースが多いですが、こちらは特徴的なデザインのみを現代空間に相応しいように再構築したパターン. 壁面の一部だったイオニア柱を独立柱にするという発想は、今見てもなかなか斬新なものです. 柱を抜けるとそこは広場
(写真4枚目)として整備されており、かつて映画館だった場所は雨宿りもできる都市の広場として見事な生まれ変わりをみせています. グネグネしたシェルのような天井は、恐らく4階ホールの座席のラインだと思われます.
短めですが今回はここまでです. 当日はフラッと通り過ぎる感じで撮影したのですが、朝日ホールへの入口やエントランスを取り損ねていたことが後日判明したので、機会があればそちらも追記して紹介したいところです. かつての近代建築を現代ビルの一部として見事にデザインさせた朝日ビルは、三宮駅から居留地やハーバーランドへの道中探索にピッタリです. では今回はここまで〜
◆ このスポットに関連する建築マップ
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神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ
※ Googlemapではホール施設である「神戸朝日ホール」が表示されています
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