2017/02/19





最初は百貨店の顔である北東側から撮影したものを掲載しています. 規模や存在感そのものはザ・百貨店ともよべるものですが、基壇部をベージュ調の石材で仕上げ、そこから上を真っ白なファサードで覆う姿は見てて非常にオシャレです. 玄関手前に展開するドリス式の列柱(写真3・4枚目)は旧居留地に多く残る西洋建築に調和したものになっているのも実にいい. 壁面両脇にあるプレート(写真5枚目)は「大丸心斎橋店」の東玄関にあった孔雀と同じデザインにみえます.
近畿発祥の呉服系百貨店『大丸』というと、最近取り壊されたヴォーリズの心斎橋本館が有名ですね. 神戸店が現在の場所から営業を開始したのが1927年で、先代となる本館ビルの設計は村野藤吾氏が手がけていました. しかし1995年の阪神・淡路大震災により本館部分が損壊. やむなく建て替えとなり、1997年に日建設計の下で完成したのが現在の本館です. 『神戸の灯を絶対に消さない』という熱意から工期わずか1年で完成させた、震災復興のシンボルです.




玄関も西洋的で立派なものですが、個人的に見てて素晴らしかったのが玄関両脇から伸びるアーチ(写真1枚目)と、その内部に展開するポルティコ空間(写真2枚目)です. 特に交差ヴォールト(写真4枚目)が連続するポルティコ空間はどこのゴシック建築だよと突っ込みたくなるほどエレガントなもので、そこでカフェを楽しむ人々の様子(写真2枚目 奥)は、およそ日本の風景とは思えませんでした. やっぱり旧居留地の景観に合ったデザイン志向が伺えますね.




こちらの写真前半2枚はメリケンロードに面する西館の外観. 西館はもともと日本生命のビル施設として存在していたようですが、現在はファサードも綺麗に本館と統一されています. ファサードは開口両脇に設けられた細長ルーバー(写真2枚目)が細かい垂直性を連続させているのが特徴で、当初見たときは上から下まで一本の材が伸びているのかと勘違いしました. 後半2枚は南館なのですが、こちらは記事を独立させて「旧居留地38番館(大丸神戸店南館)」として別枠で紹介しておりますので、そちらをご拝見ください.





内部の商業スペースの撮影は控えましたが、フロアガイドでみつけた屋上庭園が面白そうなのでそちらへ. 季節が夏場ということもあり、植栽が綺麗に緑に生い茂っています. 『山の見える広場』と書かれた看板に従って階段を上っていくと、そこは神戸の街の奥に広がる六甲山脈(写真4・5枚目)を一望できるスポットになっていました. 北側にあまり大きい建物がないので「神戸ポートタワー」の展望台よりも山が間近にみえるのがナイス. 残念ながら港は見えにくいです.
というわけで今回はここまでです. 村野デザインが好きな自分としては一度旧本館も拝見したかったのですが、西洋風情のある居留地の景観に合わせた外観は、震災復興への思いとともに旧居留地への熱いリスペクトを感じました. 時間があったらポルティコでお茶したかったな〜と、今更ながら後悔していたりします. 居留地観光にはこちらの外観にも是非目を通してみてください. では今回はここまで〜
◆ このスポットに関連する建築マップ
・ 神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ
- 関連記事
コメント