チャータードビル - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

チャータードビル

           
0232:チャータードビル メイン

0232 - チャータードビル(旧チャータード銀行神戸支店)
竣工:1938年
設計:J・H・モーガン
住所:神戸市中央区海岸通9

皆様どうも. 今回からの神戸特集では、旧居留地エリアの南を走る『海岸通り(国道2号線)』に建つ近代建築ビル群にスポットを当てていきます. 「神戸市立博物館」「旧居留地38番館」など数多くの戦前近代建築が残る旧居留地ですが、とりわけ集中して残っているのが海岸通に面するこのエリア. 何件も連続して建つ近代建築ロードに残る歴史的建築スポットを1つ1つご紹介. 1件目では、その東端に建つチャータードビルを取り上げていきます.
0232:チャータードビル 海岸通

0232:チャータードビル 南側外観①

0232:チャータードビル 南側外観②

0232:チャータードビル 南側外観③

0232:チャータードビル 東側入口

写真1枚目は海岸通の反対歩道から撮影したもの. ビルは手前に建つ地上4階建ての建物で、すぐ奥に建っている塔屋付きの建物は「新港ビル」です. 神戸港海岸線の主要ルートである海岸通り. 居留地時代、このストリートからすぐ南には大阪湾を望む海岸線でした. また神戸居留地は勅許が遅れるといった歴史背景から一括造成ができず、番地の若い順に造成を進めながら拡大していったため、1桁台の番地が中心となるこの場所はまさに居留地のスタートとともいえる場所です.

その9番地に建つ当ビルは、英国銀行『チャータード銀行』の神戸支店として1938年に完成しました. 特徴的なのが、建物の上下で印象の全く異なる外観です. 下層部はイオニア式ジャイアントオーダーと水瓶の装飾が目立つ彫りの深い新古典主義のスタイルながら、上部はそれらが取り除かれたシンプルモダンな仕様になっています. 現代の腰巻ビルに似たビルが戦前からあったことに内心驚きです. 窓周辺の微細な装飾(写真4枚目)やメダリオン(写真5枚目)も見事な装飾です.
0232:チャータードビル 角地入口①

0232:チャータードビル 角地入口②

0232:チャータードビル カフェの入口①

0232:チャータードビル カフェの入口②

0232:チャータードビル カフェの入口③

角地となる部分には、三角ペディメントが乗っかる立派な入口(写真1枚目)が両方向に設けられており、青銅製の照明装飾(写真2枚目)も見事. ビルの設計を手掛けたのはアメリカ人建築家であるジェイ・ヒル・モーガン(J・H・モーガン). 『日本フラー建築会社』の技師長として来日し、その後は横浜を拠点として活躍しました. 「ベーリックホール」や「横浜山手聖公会」など横浜に代表作が残る中で、このビルはモーガンの没年と同年に竣工した遺作となります.

戦争間近という完成もあってか銀行としての使用歴は短く、建物は戦時下に伴い没収. 1967年の売却後は長らく積極的に利用されていなかったようですが、現在は営業室だった吹き抜け空間をカフェとして活用しているようです. そのカフェの入口は当時からのものと思われるレトロな回転扉(写真3枚目)となっており、当時のものらしきフォント(写真5枚目)が残っています. 時間の都合でカフェには入れなかったのが悔やまれます.
0232:チャータードビル 西側外観①

0232:チャータードビル 西側外観②

0232:チャータードビル 当時の看板?

0232:チャータードビル 北側外観

こちらは西側の外観の様子です. 列柱はドリス式(写真1枚目)と簡素になっていますが、それ以外のデザインは海岸通り側と同様といった印象. こちら側にはアパレルショップがメインとして入居していました. 植栽に隠れていましたが、当時からのものと思わせるプレート(写真3枚目)も発見. 北側(写真4枚目)までいくと彫りの深かった装飾は途中で切れてしまいますが、コーニスの水平帯だけは簡素化してでも伸ばしていました. 裏側であっても2層構成は維持したかったのでしょう.

外観のみ紹介のため、今回はここまでとなります. ネットで調べると、どうやら今後はホテルとしてのコンバージョンが計画されている「こべるん」ブログ記事URLようで、ホテルとしての新しい活用が期待されます. 神戸は本当に近代建築を愛していますね. 今後のチャータードビルに注目です. 外観だけでも一見の価値あり、できればカフェにも寄っておきたいところです. それでは今回はここまで〜


◆ このスポットに関連する建築マップ
神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ


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