神港ビル - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

神港ビル

           
0233:神港ビルヂング メイン

0233 - 神港ビル(旧川崎汽船本社)
竣工:1939年
設計:木下益次郎
住所:神戸市中央区海岸通8

皆様どうも. もうすぐ2月も終了間近となるのですが、神戸特集は3月も引き続いて行う方向でいきたいと思います. 神戸のスポットが予想以上に多く、他の月よりも2月が主な理由ですが、やはり個人的には2月短すぎと毎年思ってしまいます. さて旧居留地海岸通の近代ビル2件目は、前回の「チャータードビル」の西隣となる旧8番地に建つ神港ビル(神港ビルヂング)をご紹介していきます.
0233:神港ビルヂング 外観全景

0233:神港ビルヂング 塔屋①

0233:神港ビルヂング 塔屋②

0233:神港ビルヂング 南入口

0233:神港ビルヂング 南側地上部

0233:神港ビルヂング ファサード

今回は先にビルの概略をさらっと説明. 日本郵船・商船三井に並ぶ国内3大海運会社のひとつ『川崎汽船』の本社ビルとして1938年に建造された当ビルは、阪神・淡路大震災に耐えて残る数少ない戦前ビル. 本社機能は東京に移転しましたが、登記上の本店は現在でもこのビルになっています. 微細なアール・デコ装飾が目立つガラス張りの塔屋(写真2・3枚目)など特徴的な部分以外は装飾を配したシンプルモダンで仕上げており、モダニズムへの過渡期を印象付ける建物です.

RC造の石張りというスタンスは旧居留地における他の近代建築でも散見されるものの、この"窓だけが並ぶ8階建ての石張りビル"をいうストレートなファサード(写真6枚目)は一見素っ気無いながら、その力強い佇まいには目を見張るものがあります. 海岸通側の玄関(写真4・5枚目)は2階の窓までを囲む大きな門のデザインと『神港ビルヂング』という昔ながらの表記が印象的. しかしながら、こちらは法人事務所の入口につながるため入館はできません.
0233:神港ビルヂング 東側外観①

0233:神港ビルヂング 東側外観②

0233:神港ビルヂング 東側地上部①

0233:神港ビルヂング 東側地上部②

0233:神港ビルヂング 北側外観

0233:神港ビルヂング 北入口

こちらは建物東側を走る道路を北上しながら撮影した東側・北側ファサードの様子です. ビルは海岸通りに面している8階建て部分だけでなく、街区の端から端まで南北に細長く伸びています. 道路から見ると途中から5階建て(写真2枚目)に、さらに北端で6階建て(写真5枚目)に変わる高さが不均一なファサードになっていますが、これらの上階はセットバックにより見えないだけで、大方は8階建てになっています. これらはGoogleEarthを参照してもらうと分かりやすいですが、ファサードだけだと増築を重ねてできたような無骨感を感じてしまいます.

ビルの設計を手掛けた木下益次郎(きのした ますじろう)氏は現在の工学院大学の前身となる工手学校出身の建築家. 当ビルの他に「川崎病院」や「甲南病院」といった病院建築を神戸に残していますが、それ以上の経歴等に関する情報の多くは語られていないようです. ビル自体は戦後GHQの神戸基地司令部として接収・利用され、現在もビル内には英語の落書きが残っているそうです.
0233:神港ビルヂング 東玄関①

0233:神港ビルヂング 東玄関②

0233:神港ビルヂング 東玄関の手摺

0233:神港ビルヂング 共用廊下①

0233:神港ビルヂング 共用廊下②

訪問時はテナントビルという用途上、ビル関係者しか入れないと思っていたのですが、東側玄関(写真1〜3枚目)はカフェも入るなど比較的オープンな感じ. 念のため守衛さんらしき人に挨拶して、一般の方でも歩きやすい一階部分の写真を撮らせてもらいました. 共用廊下に装飾的な絢爛さはないものの、近代レトロの雰囲気がしっかりと感じられるのがいいですね. 竣工時のものと思われるタイル床(写真4枚目)やアール・デコ調の照明(写真5枚目)等の内装デザインにも注目です.

今回はここまでとなります. 内観写真に写る『Cafe rest 8番館』は、ショーケースにコ◯・コーラのアンティークグッズが並ぶレトロ感満載のカフェ. レトロ建築巡りをした後には最適のカフェスポットということを知り合いに聞きましたので、今度は入店も兼ねて訪問したいところです. では今回はここまで〜


◆ このスポットに関連する建築マップ
神戸建築マップ(神戸港編) - 神戸港周辺をメインとした建築マップ


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

プロフィール

的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

風景写真・デザイン活動のページ

インフォメーション

【2023.1.22】 「鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ」の「21.山梨県【中部】」を公開しました.

写真使用依頼等はページ上部のメールフォームにて受け付けております.(※返信は遅めです. 当日中の返信はあまりできません. 申し訳ありません.)

紹介する建築スポットの情報は、原則的に投稿日時点の情報になります. 現在と比較して古い情報や記事内の誤字・脱字等がありました場合は、該当記事内の各コメント欄またはメールフォームでご意見いただけますと幸いです.

活動実績(写真提供・寄稿等)

◆『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました. 『近代建築』バックナンバー

◆『トラベル.jp たびねす(現:トラベルjp 旅行ガイド)』のライターとして、以下の建築スポットガイド記事を寄稿しました.【2016〜2018年在籍】

・大阪狭山野池美術館リンク
・松柏美術館リンク
・みんなの森 ぎふメディアコスモスリンク
・秋野不矩美術館リンク
・植村直己冒険館リンク
・南方熊楠記念館リンク
・中谷宇吉郎雪の科学館リンク
・生きた建築ミュージアム【2017】リンク

最新記事

日本全国 JR特急路線図
松江建築マップ
鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ
弘前建築マップ
芦屋市民センター
大阪中之島美術館

スポンサーリンク

Twitter

Facebook

スポンサーリンク