2017/03/01





ビルは前回紹介した「商船三井ビルディング」(写真1枚目 奥)から道路を挟んで西隣に建つ、ホワイトカラーが眩い4階建ての建物. 当時の三井財閥の中核企業『三井物産』の神戸支店として竣工した当ビルは、建築家・河合浩蔵氏の設計. 司法省技師の後に「神戸地方裁判所」の設計を機に神戸へ移住し、多くの作品を神戸に残します. 以前紹介した「新井ビル」の4年前に完成し、装飾分解されたセセッション様式が特長. しかしそのシンプルさに劣らない密な量の装飾が、建物外壁に独特のユニークさをもたせています. 各フロアの窓間に施されたペディメント等の幾何学装飾もバラエティ豊かで、探すだけでも非常に楽しいです.
そんなビルの真上を見上げる(写真5枚目)と、いかにも現代的なガラス張りのビルが建物の真上に浮いているかのように建っています. 実はビル自体は1995年の阪神・淡路大震災で全壊認定を受け、旧外壁を保管しつつ1996年に解体. 保管していた旧外壁を再建したビルの低層部に再構築しています. 新築された高層部分が浮くように建つのに驚きながらも、昨今よくある腰巻ビルという感じがしなかったのは、見た目的にビルの独立感が上手くでているからだと感じます.





こちらは東側外観の様子. こちらも海岸通側と同様のシンメトリーを構成し、幾何学装飾が外壁をユニークに表現します. 再建前と大きく異なるのは中央部以外にも開けられた入口(写真2枚目 両脇)で、元々この部分は窓でした. 柱スパンが短い・窓が縦に長いといった特長から、オフィスビルというよりはアパートのような外観だなと思ったりも. 1階のペディメント装飾(写真4・5枚目)を見ながら、単純そうで複雑なこの装飾のモチーフはどこからきたのかと考えていました.




最後は建物内から撮影した様子です. 探訪前情報としては『ファサード保存』ということだけ頭に入れていて、内部は綺麗にやりかえたかなという程度の認識だったのですが、実際は構造体とファサードの裏壁だけしかない真っ白な空間(写真2・3枚目)でした. あくまでもファサードの保存だけに注力し、内部は構造体と壁というミニマルな吹き抜けで済ませる姿勢はある意味で清々しい. 外からだとこの雰囲気がなかなかわからなかったので、入館したときは驚きました.
Wikiをみてみると『東側玄関に竣工当時から受け継がれてきた木製ドア・1階エレベーターホールに南玄関ホールを飾った6本の御影石柱(写真4枚目 奥)・南正面玄関の内扉2枚も店舗の出入口に再利用』と書かれており、外壁以外にも内装の名残が残っています. 写真には収めていないものもありますが、探訪時にはぜひ探してみてください. それでは今回はここまで〜
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