ソニービル - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

ソニービル

           
0241:ソニービル メイン

0241 - ソニービル
竣工:1966年
設計:芦原義信
住所:東京都中央区銀座5-3-1
選定:DOCOMOMOセレクション(100選:No.85)
特記:2017.3.31. 閉館・4月より解体工事着手

皆様どうも. 今回は特集でもなく単発で、投稿日である本日(2017年3月31日)で閉館するソニービルの探訪レポートをお送りしていきます. ソニー製品のショールームビルとして半世紀、銀座を象徴する建物の一つであった当ビルは解体され、より公共性の高いオープンな建物に建て替わることになります. しかしながら戦後モダニズムの名建築がなくなるのはやはり寂しいもので、今回これを見るだけのために東京日帰り弾丸で行ってまいりました.
0241:ソニービル 数寄屋橋交差点より①

0241:ソニービル 数寄屋橋交差点より②

0241:ソニービル 入口

0241:ソニービル 低層部の様子

0241:ソニービル ルーバー拡大

0241:ソニービル アートウォール

まず初めは外観の様子から. 銀座エリアの西に位置する数寄屋橋交差点は「銀座和光」で有名な銀座4丁目交差点と並ぶ中心的交差点のひとつで、JR有楽町駅から銀座へ入る際の玄関口となっています. 近年は「東急プラザ銀座」ができたことでも話題となったこの交差点の南角地に建つ白いビルがソニービルです. 様々なハコ型のボリュームが立体的に組み合わさり、ルーバー部分はピロティとなって持ち上がった外観. 構成はシンプルながら、実にユニークです.

日本を代表する世界的電機メーカー『SONY』のショールーム施設である当館は、高度経済成長真っ只中にあった1966年に完成. 設計は「オリンピック駒沢体育館」や「東京芸術劇場」等の作品を手がけた芦原義信(あしはら よしのぶ)氏が担当しています. 晴海通り側の壁面に2,300個のブラウン管をはめ込みビル全体を電光広告塔にしたり、銀座の一等地の超贅沢な角地を『ソニースクエア』という公開型ショースペースにしてしまうなど革新的な試みが話題となりました.
0241:ソニービル 1階エントランス

0241:ソニービル It's a sony展①

0241:ソニービル It's a sony展②

0241:ソニービル It's a sony展③

0241:ソニービル It's a sony展④

0241:ソニービル 花びら構造模型

では館内へ. スタッフに聞いて撮影&掲載OK. 兼ねてから行きたいと思っていたソニービルですが、これが本格的な最初で最期の訪問です. 館内ではカウントダウン展覧会である『It's a Sony展(Part-2)』が行われており、ご覧の通りショースペースは人工芝でビッシリと覆われていました. Part-2でテーマとなっていたのは『未来』ということで、壁面にはウォールアートが横幅いっぱいに展開し、プロジェクターによって様々な演出がされているのが素晴らしかったです.

館内空間最大の特徴は『花びら構造』(写真6枚目は模型)と称された田の字型スキップフロアです. 田の字に分割されたスペースが高さ90cmずつズラされ、1階から7階までをスパイラル状に上(のぼ)るというユニークなもの. これはらせん状に作品を鑑賞する「グッゲンハイム美術館」をヒントに考案されたものです.
0241:ソニービル 花びら構造をよく見る

0241:ソニービル Hello Sony Park

0241:ソニービル ルーバー販売

0241:ソニービル ストラップガチャポン

さて更に上の階へ. 構造を理解した上で改めてフロアを遠目に見てみると(写真1枚目)、上下の各フロアが階段で緩やかに繋がるのがとても気持ちよかったです. 各スペースは十分な広さ(100㎡)があり、階段を少しずつ上るのであまり疲れない. こんな空間全国にありそうで、実際はなかなかない気がします. 他にはソニーパークへのコメントでビッシリと埋まったフロア(写真2枚目)や、外壁ルーバーの販売(写真3枚目)・ソニー関連のガチャポン(写真4枚目)がありました. ガチャポンは1回500円と高価でしたが、私は初代ウォークマンを当てました.
0241:ソニービル イノベーションラウンジ①

0241:ソニービル イノベーションラウンジ②

0241:ソニービル イノベーションラウンジ③

0241:ソニービル フロア最上部の天井①

0241:ソニービル フロア最上部の天井②

人工芝のSony展は4階で終了ですが、螺旋型のスキップフロアはまだまだ続きます. 真っ白で現代的な5階『イノベーションラウンジ』(写真1〜3枚目)や6階本屋など、通常はガラス壁でで仕切られて入りにくく感じる他ジャンルの店舗が、螺旋階段と連続することで気楽に入り込めるのはとても良かったです. 階段のゴール部分(6階?)を見上げると、蜂の巣デザインをしたユニークな天井がみられるのも素晴らしい. 降りても上っても全く飽きない本当に楽しい空間でした.
0241:ソニービル ソニーパーク

0241:ソニービル Goodbye Sony building!

さて最後は今後のソニービル跡地の動向について. 2017年4月より現在のソニービルは解体され『SONY PARK』(写真1枚目は模型)という公開緑地のような空間として整備されます. さらに2022年にはこのパーク空間の真上に新生ソニービルを建設.『銀座の街に対してオープンな施設』をコンセプトに進めていくようです. 私もビル内で色々と見ましたがとてもワクワクしました. こういうイノベーティブな試みを、これからもソニーはぜひやり続けて欲しいものです.

さて本日で閉館となるソニービル. SNSを見ているとブラウン管を覆っていた外装が外され『SEE YOU IN 2018!』と映し出されているのにウルっときてしまうほど、個人的に解体されるのが惜しい建物です. 半世紀にわたってこの場所にあり続けた銀座の顔が、また一つ姿を消します. 今回はグッパイソニービルですが、数年後にはハローソニーパークと笑顔で言えるような素晴らしい空間ができることを、私は待っております. それでは今回はここまで.


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